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2010年 03月 28日

コッヘル114番 鰆(さわら)の刺身

b0061413_2048187.jpg コッヘルシリーズは蕗の薹(ふきのとう) に続いて春の味覚。今回は魚編に春と書く鰆(さわら)が刺身で登場である。長島茂雄さんは鯖(さば)について 「鯖は魚編にブルーですねぇ」 と言ったことがある。きっと鰆についてはは 「魚編にスプリングですねぇ」 と言ってくれるに違いない。 最初はコッヘルの上に刺身などの 「いかにも日本料理」 というべきものを盛ることにいささかの抵抗があったものの 「船上でさっそく刺身にして食べる漁師さんになった気持ち」 というイメージ力をはたらかせて食べるととてもいい。何でも美味しくいただくための最後の調味料は自分のイメージ力である。もっとも刺身は醤油がないととても苦しい。醤油の偉大さを思い知らせてくれるシンプル料理である。
b0061413_20483254.jpg この立派な鰆は近所のお兄ちゃんにもらった。昨年の夏にうちの息子(現在8歳)を鰺(あじ)釣りに連れていってくれたお兄ちゃんだ。そして昨年、美人の婚約者という超大物も釣り上げたナイス・ガイである。新潟東港の堤防に釣りに出かけて 「大漁大漁!」 と帰ってきたところにバッタリ会って 「相変わらずいい腕してるねぇ!」 とほめたらこの立派な鰆を3本 (匹と数えるべきなのかもしれないが、サンマと同じく本が似合う) くれたのだった。 「いやいや、そんなつもりじゃ・・・」 といいながら体は正直ですでに手にとっていた。 久しぶりにサイズ比較用のオブジェ(ブログペット)である ウニ の登場。 大きいです。長いです。そして美味しいです。そして春です。

b0061413_2049235.jpg この三本のうちの一本をせっかくなので刺身にすることにした。柳刃包丁などは持っていないので、普段は新潟県三条市製の小さな鰺切り包丁か、もしくはスノーピーク(本社新潟県三条市)製の釣りナイフでさばく。今回はその釣りナイフでさばいた。東京生まれで東京育ちのシャラポア(妻・日本人)は私が今回の基本的でありなおかつ大まかな3枚おろしをしていても毎回驚く。 「すごいスピード!」 と感心する。刺身で食べる鰆などは身がかなり柔らかい部類に入るのでスパッといかないといけない。 こうして写真に撮ったものを見ると(それは板前さんや魚屋さんがやったものと比較するつもりなんかは最初からないけれども) アマチュアとしてもそんなにいい出来というわけでもない。結局、上手なのはシャラポアの 「おだて」 であり、それにのせられる形で私が分担する部分の仕事量が増えていく。

b0061413_20492992.jpg 「うちの旦那は全然家事をしてくれない」 という女性の愚痴をよく耳にするのだが、多くの場合、けっこう初期段階での 「おだて力」 が足りないと思う。 たとえば珍しく男が奇妙な菩提心(ぼだいしん)をおこして料理を作ったとして、彼なりに合格点ギリギリのものを仕上げてきたとしても 「これじゃダメね」 とか 「まだまだね」 とか最初から言われてしまうとデリケートな男は萎縮して二度と台所に立たなくなってふてくされてしまうのだ。ギリギリでも合格点であれば大絶賛し、合格点以下であったとしても 「素晴らしい!この味は私には出せない」 などの言葉を用意しておくべきだと思う。どうしても料理が苦手な旦那には 「あなたの洗った皿は輝きが違う」 とか、「この掃除機を使いこなせる人はそうはいない」 などのほめ方を用意しておくべきである。 もしも苦言を呈するなら図にのるところまでのせておいて、有頂天になった状態で軽く締め上げればいい。最初から菩提心の芽は摘まない方がいと思う。 さて、鰆だがたまに寿司ネタなどで見かけることはあるものの、このようなまとまった量の鰆の刺身を味わえる機会はそんなにない。 食べたシャラポアの感想は 「淡白であるけれども、悪い意味での淡白ではなく、たとえるならば舌の上で溶けていく春の雪を味わっているよう。冬の雪のように積もっていく感じの雪ではなく積もらない繊細な春の雪」 というものであった。結婚当初の大絶賛(おだて)とはひと味違うものの、私が提唱する 「イメージ力でさらに美味しく」 という意味では満点の批評である。 


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2010-03-28 21:50 | 草外道


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