2011年 01月 17日

コッヘル127番 焼ガニ

b0061413_23103951.jpg 私の息子(8才)のいちばんの大好物といえば、カニである。3才の頃だろうか、夜中にうなされていた。「おい、どうした?具合でも悪いのか?」と声をかけると「・・・カニ」とつぶやいた。続いて「お姉ちゃん、僕のカニをとらないで!」と、妙にハッキリした寝言を言った。たいへんな悪夢をみていたというわけだ。そんな息子なので、テレビなんかで外国人観光客などにも人気があるという「かに道楽」の巨大オブジェを目にすると「ここに行きたい!」と言う。彼はそこをディズニーランドよりもずっといい場所だと思っているようだ。かに道楽の新潟店は閉店してしまったし、さすがにその目的だけに大阪や京都(三条寺町に支店有り)に連れていくわけにはいかない。私は『美味しんぼ』の山岡士郎のような口調で「いいか、お前にホンモノのカニ道楽をさせてやる」と、まずは浪速のモーツアルトであるキダ・タロー作品のなかでもその美しい旋律が際だつ ♪獲れ獲れピチピチかに料理♪(かに道楽の関西スポットCM)の歌をシャラポア(妻・日本人)との2声でのハーモニーで伝授し、魚市場へと向かった。

b0061413_23112398.jpg 北海道産のズワイガニの生きているものがトロ箱のなかにあった。ズワイガニではなくて、ここは風流に松葉ガニと呼びたい。いや、一種の産地偽装と言われても、ここは景気よく「越前ガニだよーん」と息子には教えた。山岡大岡越前による裁きのように、息子にとっての父・母・祖父の三方一両損でこのカニを購入したことでもあるし。これは越前ガニ。北海道産とはいっても、越前沖からはるばる移動してきたのかもしれないし。 この状態の殻をとったら上の写真になる。食べた息子は「どっぴゃー!」という声をあげた。そして、踊り出したくなるような気持ちとよく言うが、本当にその場で踊り出した。FIFAワールドカップでファインゴールを決めたアフリカ人選手のような歓喜のステップを踏んでいた。

b0061413_23114822.jpg 調理は薪ストーブ上のスキレット。調理器具としての薪ストーブもいろいろと試したが、火が元気な時に置いたスキレットが、250度ぐらいになっているホットプレートと同じような感覚で使えて具合がいい。そして、これは心理面での加点もあるけれどもホットプレートよりもずっといい。カニはまだ生きているので何を使っても私の原罪にはかわりないのだが、ホットプレートよりは薪ストーブにスキレットの方がふさわしく感じた。一種、ワイルド系調理でもある。なので、食器としてのコッヘルも違和感が少なく感じた。いろんな調味料が合うのであろうが、結局これは何も使わないのがいい。何を使ってもせっかくカニが海のなかで独自につけてくれたオートマチックにして至高の薄塩味を邪魔するような気がした。「お姉ちゃん、僕のカニをとらないで!」と、5年前と同じ言葉を正夢の世界で息子は言った。「へへへ、こんな贅沢はなかなかできないけど、もう一匹買ってあるんだ」と言って安心させてやった。そう、こんな贅沢はなかなかできないと思いつつ、来週あたりにもまた自宅でのカニ道楽がしたくてたまらない私だ。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2011-01-17 00:07 | 草外道


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