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2011年 02月 01日

草仏教経済学(16) もう一つのカード地獄

 

 一般市民の日常生活のなかで「天国か地獄か」という極端な選択肢はあんまりない。プロの野球選手が一打逆転の場面で打席に立っていたり、その場でのマウンド上の抑えのエースなどにとっては配球ひとつで「天国か地獄か」である。競馬などの勝負事は大好きだが、さすがに「天国か地獄か」というような金の賭け方は控えている。どうも心の世界のGPSでは天国はすぐ背後に地獄があるポイントにあるみたいだ。昔は「イチかバチか」「白か黒か」という生き方こそ正しいと思っていたが。

 マイナス面ばかりの選択肢というのもある。「どっちがましな地獄か?」 昔のガキ大将なんかが「富士山と雑巾、どっちがええか?」と尋ねてきて「富士山」と答えると皮膚を富士山の形になるまでひっぱられる。「雑巾」と答えると、腕を雑巾のように絞られてしまう。こんな得るものがまったくない選択肢を迫られるのは嫌だ。それに比べてプラス面ばかりの選択肢は喜びにつながる。たとえば子どもの夏休み中の休日前なんかに「海がいいか?山がいいか?」と聞いてやると、その選択肢があるだけで子どもにも自由というものを感じることができるみたいだ。娘は海の良さを活き活きとプレゼンテーションし、息子はそれに圧倒されつつも山のいいところを少年弁護士のようになりきって反論する。これは楽しい。




世の中で「どちらの方が最小不幸社会か?」というような富士山と雑巾を選択肢とする
ようなことを論議するケースが増え続け、それだけでいささか暗くなる。
それに比べると、どんなにささやかでもどっちを選んでもプラスの選択肢があることは
喜びにつながる。

「僕、紅茶はアールグレイしか飲まないんだけども、ある?」
なんてほざけるのはファーストクラスにでも乗っていないとダメだろうが、
エコノミーでも 「コーヒー?or ティー?」という選択肢を客室乗務員が
与えてくれるだけでも何だか幸せな気分だ。
私はほぼコーヒーしか飲まないのであるが、
(つい最近、家族で「相棒」を見ているので紅茶の消費量が増えた)
それでも黙ってコーヒーを出されるよりは、ティーという選択肢もあるという
だけで、ものすごく豊かな気分だ。

「フィッシュ?or チキン?」
この、客室乗務員が機内食の選択を訊くような問いかけを
自問自答として日常的に私たちはしている。楽しいからだ。
スーパーマーケットで今夜は鱈鍋にするか鶏鍋にするかを考えるとする。
どちらを選択してもアレルギーと好き嫌いがなければ
プラスとプラスからの選択である。
私たちは、本能的にといっていいほどに、ささやかなことでも
このプラスとプラスの選択肢を多くもつようにし、常に自問自答している。
その自問自答が人生を豊かにしてくれるから。
そしてこれは、資本主義経済のなかのメリットの方のひとつだ。
生活実感からすれば、これが最大のメリットといっていい。

ところが売り手の方から
「この選択肢を客になるべく持たせないでおきたい」
という風潮が出てきた。
特に、高額家電などはY電気とYカメラがそれぞれポイントカードを作って
「常連にはおまけする、という昔からあるものをシステム化しましたよ」
と得意気(に見えるんだなぁ)である。

まあ家電でいえば、案外と街の小さな電気屋さんの底力
(例えばHの特約店でもSやP社のいい在庫を格安で買えるんだなぁ)
に気がついてきたのだが、たとえば、こういう経験はないだろうか?

大型ショッピングモールに家族で行くとする。
(たとえばAのJね)
専門店街にかなりの数のお店がある。
その専門店が、それぞれ独自のポイントカードをもっている。
その店頭にある商品を珍しく衝動買いしたくなったのだけれども、
またポイントカードがひとつ増えちゃうと思うと、
(紙幣や、せめて硬貨で財布が重くなるならいいけれども)
気が重くなっちゃって、衝動買いしたくなった気持ちが冷めちゃった・・・
なんていう経験は、ないだろうか?

衝動買いを抑えられた、ということも言えるかもしれないが、
こういうものは「出会い」と「直感」のモノということもあり、
今まででも衝動買いしたものが意外なほどの愛用品になったことは
けっこうある。(もちろんハズレもあるけどね)
ポイント特典争いは、案外とラットレースで消費が縮小するのではないか。
そういうことってあるのではないか。

そして、そういうところはレストラン街とかフードコートとかいう場所でも
店ごとに何らかのポイントカードがあるところが多い。
買い物だけでなくて食事もだ。
家族でそういうところで食事をする時にシャラポア(妻・日本人)が
「あっ、ここのポイントカードは車のなかにある」
と言った時に
「わざわざポイントのために車まで走っていかんでよろしい!」
と言ってシャラポアを制して私が払ったのだが、
食後に車に戻ると、小市民なので損をした気分で胸がいっぱいになった。
なんで「得だ得だ」と謳っているポイント制度のせいで
なぜこんなにも損をした気分だけが残るのか。
本来、家族での買い物時に 「さて何か食べるか?」 というのは
日常のプラス選択肢のなかでもかなり幸せ度が高いものではなかったか?

だから、ユニクロやサイゼリアのようにポイントがなかったり
ポイントカード制度をやめたところにかえって行くようになった。

政治家で「全ポイント一元化法案」を主張するヤツは選挙通るかも。

ところで、冒頭の動画である。
そういうわけでカード嫌い、ポイント嫌いの気が出てきた私である。
ブラック(センチェリアン)カードを持っているよりも
ツケが利く店があることがステイタス。
「Do you know me?」 と尋ねたら
「Yes.」 とか 「Sure!」とか言われるのがステイタス。

そう思い始めた私であったが、年末にスノーピークから累積10万円以上の
買い物をしてきた人に届くというシルバーカードというものが郵送され
た時にはちょっと感動した。
このカードだけは例外!
これをあんまり宣伝していないスノーピークも奥ゆかしく思うが、
何とチタンでできているのだ。
レア・アースだぞ。
もちろん、累積10万円以上であるぐらいスノーピーク製品を愛用しているが、
そのなかでも特にチタン製品はコッヘルやマグカップなどほぼ毎日愛でている。
チタン仮面(ツタンカーメン)になってやろうかと思うぐらいのチタン好きだ。


喜んでスノーピーク製品を扱っている店舗なんかものすごく少ないのに
キャッシュ機能もないのに、他のカードを押しのけていつも財布に入れている。
このカード自体を持っていることが嬉しくてしょうがない。

ただ、スノーピークにひと言だけ苦言を呈したい。
「創り出す製品は永久に修理保証」を謳うスノーピークだけに
あえてこの苦言を受け止めて欲しい。

ポイントも、せっかく付けてくれるなら、期間は設けずに
セゾンカードのような永久不滅ポイントにしてください。


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2011-02-01 16:32 | 草評


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