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2011年 05月 02日

コッヘル137番 鯖の押し寿司 (宮城県沖金華サバ使用)

b0061413_21521490.jpg コッヘルに料理を盛る連載どころか、アウトドアクッキングという自分の趣味自体がどうかと思った。アウトドアが大好きであるが、それはちゃんと拠点になる家があるからだと言われたらそれはそうだ。アウトドアクッキングは私の趣味であるが、それは日常ではなくて非日常だからだと言われたらそれもそうだ。家庭で作った料理を他の器がないのならともかく、わざわざ調理器具も兼ねた食器であるコッヘルに盛りつけていることを改めて「あまりいい趣味ではないかもしれない」と自問したりもした。(実際に野外で調理しているのは連載7回に1回ぐらいの割合だろうか) そして、最近コッヘル関連での検索ワードでこのブログに辿り着かれる方が増えているのも気になる。ただ単に本格的アウトドアシーズンが到来したというだけなのか、それとも震災も関係しているのだろうか? 今さらながらだが「わざわざコッヘルで食べてみる」ということの意義は少ない。しいて言えば「これを野外で食べたらどうだろうか」という思索にはつながる。あとはせいぜい「飾りを捨てる」ということぐらいか。フレンチやイタリアンなどは真っ白い皿の上でないとほとんど美味しそうに見えない。日本料理となるとさらに形状といい色彩といい多様な器の必然性がわかる。であるから、これも「飾りを捨てる」というよりも「飾りの重要性」の方をより認識することがほとんどである。

b0061413_21524454.jpg さて、とにかく久しぶりのコッヘル写真の題材は鯖寿司である。私は京都生まれであり、鯖寿司には特別な思い入れがある。ハレの日の食べ物なのである。ただし、いづう などの老舗の鯖寿司のお土産ものは230年以上前からずっと「美味い!」と言われ続けてきた歴史的な逸品であり、味わう価値が大いにある名作であるが、なんせ値段も高価なものになっているので押し寿司用の木枠を所有しつつずっと自作をしている。この鯖の押し寿司に使った鯖の産地は宮城県沖の金華山周辺で獲れた金華サバと呼ばれるものである。京都の鯖寿司の名店が使う若狭湾のものに勝るとも劣らない太さと味の良さである。写真を撮った日付を見れば今年の震災の直前であった。震災の直前に私と妻の結婚記念日があったのだ。私がこのコッヘルのブログ掲載をやめるのは今ではなく、モーツアルトのケッヘルナンバー(元々そのパロディとして始めた)のレクイエム(鎮魂歌)にあたる626番を書き上げてからと思っている。その時までに被災地のほとんどが復興を成し遂げ、平凡のなかに非凡をひしひしと感じられるハレの日のご馳走として、この金華サバが再び登場することを心から願っている。単なる食い意地だけで願っているのではないつもりだ。石巻、釜石、気仙沼、宮古などの三陸の海岸の漁港に大漁旗で迎えられた漁船が入ってくる光景を思い描きながら、それを味わいに加えつつ、私は子どもに食事を与え育んでいきたいのだ。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2011-05-02 23:07 | 草外道


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