2011年 07月 11日

追悼記事(19) ピーター・フォーク (Peter Michael Falk)

もう先月中旬のことだけれども、
ピーター・フォークが亡くなった。

中学生の頃から『刑事コロンボ』のファンだった。
先日NHKでは追悼番組として、若き日の青年スピルバーグが
監督をした「構想の死角」(MUDER BY THE BOOK)
を放映していた。

私のなかでは「構想の死角」はおもしろいけれども中の上ぐらい。
私のなかでは刑事コロンボ初登場にして、そのおもしろさの要素が
ほとんど詰まっていて、後のシリーズ化の原型となっている
「殺人処方箋」(PRESCRIPTON:MURDER)と、
よくできた詰将棋のように犯人を追い込む
「二枚のドガの絵」(SUITABLE FOR FRAMING)と、
ピーター・フォーク自身が監督をしていて、シリーズでは珍しく
殺人状況から始まらない
「パイルD-3の壁」(BLUEPRINT FOR MURDER)
の3作あたり(3作とも比較的初期だなぁ)が私にとっての上のなかの上。

滅多なことでは通販でエンターテイメント・メディアは買わないのだが、
5年ほど前に『刑事コロンボ完全版22枚組DVDボックスセット』は
買っちゃった。
だってファンだもん。

しばらくピーター・フォークの追悼とは関係ないことを書くけれど、
今見て思うのは、
「1976年頃までのアメリカ人の体型は正常だよなぁ」
ということである。
これは俳優のみならず、エキストラと街の背景に映っている
アメリカ人全体を見ていてそう思う。
コロンボファンであると同時に野球、特にMLBも昔から好きなので思うが、
テレビに映る観客がものすごく窮屈そうに立ったり座ったりしているのが
最近のMLBだ。
1980年以前のVTRなどを見ると、ほとんどの観客が適正体型だ。
コロラド州に住む従妹が言うには
最近、合衆国のマクドナルドでは「スライダー」(slider)という
薄型ハンバーガーが発売されて流行っているということで、
さすがに合衆国もメガサイズ崇拝からの脱却をしたのかと思いきや、
そのスライダーを5個も6個も買って次々に口の中にスライドさせる人が
多いとか。

ピーター・フォークがおんぼろ車(シトローエンだそうです)で行く
道の多くは、どこか見覚えがある。
実は私、ロサンゼルス市警本部から徒歩5分の場所に住んでいた。
大体、ロサンゼルスでは実際には初めてなのに映像で刷り込まれている
デジャヴ現象が頻繁に起こったのだが、観光地でも何でもない場所の場合、
それはコロンボに起因するというケースが私には多かった。

ますますピーター・フォークの追悼文にはならなくなっていくが、
小池朝雄による吹き替えと、日本語版脚本というものもおもしろい。
小池朝雄による吹き替えがモノマネされるほどインパクトがあり、
味があることもさることながら、
「草仏教」の主宰者として見逃せないのが
コロンボが死体のことを 「仏さん」 と言うところだ。
イギリス人俳優(ピーター・フォーク)が、ロサンゼルスの
イタリア系アメリカ人刑事を演じている彼の口から
「仏さん」 という言葉が吹き替えとはいえ発せられていること自体が、
考えたらおもしろい。
違和感があるというよりは、おもしろいとしか言いようがない。
仏教の、特に浄土真宗では
「亡くなった人のことを仏と呼ぶことは正しいか否か?」
ということが、かなり昔から論じられてきたわけであるが、
今まで、このブログで指摘する以前には
「コロンボと仏さん」の関係というものは、あまり問題にされたことがないだろう。
これは実際の警察のなかでの隠語・符丁文化と、刑事物テレビドラマの伝統と、
仏教の伝統や民間信仰・習俗の伝統が実に複雑に混合して
日本語版の脚本の文字となって成り立っていて興味深い。

とにかく、死体を直視することは苦手な設定になっているコロンボであるが、
この「仏さん」の状況によって示唆される事象によって、
それが直接的なダイイング・メッセージとなっている場合でもそうでなくても、
「仏さん」が教えてくれたことによって解決した事件がけっこうある。

そういえば、日本語吹き替え版でのコロンボは、
伴侶のことを 「うちのカミさんがねぇ」 と言う。
日本語で女性の伴侶を「カミさん」と呼ぶ場合、
それは料亭や旅館の女主人を「おかみさん」と呼ぶ場合でも、
漢字で書けば「女将」であるが、音からすれば「山の神」と言ったりする
オヤジがいるように「カミさん」の「カミ」の音象が指すものは
「神」であり、実際それが語源であろう。

何と、コロンボは仏と神が示唆するものによって数多くの
難事件を解決してきたのだ!

何だかまったく追悼文になっていないが、
私が今までテレビ画面でもっとも多く見てきた俳優に
間違いないと思う。
さよならピーター・フォーク!


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2011-07-11 01:31 | 草評


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