2012年 04月 01日

カリオストロの城のルパン三世と耳四郎と南無阿弥陀仏

4月1日付けのブログ記事であるが、エイプリルフールの嘘ネタでは
ないことをお断りしておく。
(こういう但し書き自体、エイプリルフールは面倒くさいなぁ)
あんまり明確な根拠はないのであるが、4月1日は
親鸞聖人の誕生日であるともいわれている。

先週の金曜日の『金曜ロードショー』では、
もう何回目の地上波放映になるのかわからないが
『カリオストロの城』をやっていた。

観るつもりはないけれど観ている子どもたちといっしょに居ると、
短いシーンではあるものの
カリオストロ城に侵入したルパン三世(山田康雄の声)が
「ひゃー、なまんだぶ、なまんだぶ」
と言っていたことに気がついた。

宮崎駿が監督をしている作品では、他に
『となりのトトロ』のなかで、
めいちゃん の靴とおぼしきものが池から出てきた時に
お婆ちゃんがやはり手を合わせつつ
「なまんだぶ、なまんだぶ」
とお念仏をとなえていた。

『カリオストロの城』というフィクションのなかでルパンはヒーロー的な立場である。
そしてこの「なまんだぶ」は危険なところに侵入したルパン三世の心理描写を
お手軽に行った演出であるというだけだとは思っても、
「泥棒が南無阿弥陀仏をとなえている」
ということの妙味を感じた。
だから「トトロ」の時の発見よりも今回の「カリオストロ」での
発見の方により驚いた。
そして、「耳四郎伝説」を思い出した。

昔、摂津国(大阪府)の幣島というところに耳四郎という泥棒がいたという。
犯罪歴を積み重ね、京都に流れ込んで姉小路の白河御殿の縁の下に忍び込み、
夜が更けるのを待っていたという。
ところが、その夜に白河御殿で法話をしていたのが当時の
スーパースター法然上人であった。
夜が明けるまで法話は続いたというのだから、
オールナイト聞法会であったのかな。
縁の下で聞き耳を立てる耳四郎。
(もっとも、この行為によって後に耳四郎と命名されたのだね)
法然上人のご法話であるから
「どんな大悪人でも救われる
 むしろ、大悪人こそ大悪人の自覚をもって弥陀の誓願によって救われるべきだ
 南無阿弥陀仏をとなえ、ともに救われていこうではないか」
という内容は必ず含まれていたことであろう。
オールナイトでもあったことであるし。
「聴講生」という言葉はあるが、
ひょんなことから「盗聴生」となった耳四郎。
その法然上人のご法話が、まるで自分一人のためにしてくれている話の
ようにその耳底に聞こえ、感涙にむせび、ひと晩にして
法然上人の熱いフォロアーになったという。

これで、翌日から耳四郎がスパっと足を洗ったというのなら、
法然上人のスーパースター度を上げるために装飾された逸話ではないのかな?
と感じてしまう私であるが、伝承によれば
「でも、それからも耳四郎はしばらくはやめられなくて泥棒稼業を続けていた」
ということになっている。
そこに私はリアリティを感じる。

それでも、もしも耳四郎という個人は実在しなかったとしよう。
しかし、その場合でも落語で語られる伝説の大工である「左甚五郎」のような
形で存在していたのではないかと思う。
中世の名工が作った建造物や彫刻で作者名がわからないものは多い。
そのような中世の名工たちは確かに実在し、名を残さないその名工たちに
江戸の庶民は「左甚五郎」の名を与えたのだと私は思う。
最低限、そのような形で「耳四郎」は実在していたのだろうと私は思う。

法然上人の語る言葉を大衆のいちばん後ろか、
はたまた「盗聴」というような形をとりながら、
しかし全身を耳にしながら聞いていた人というのは
確かに実在していたはずだ。


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2012-04-01 23:02 | 草評


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