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2012年 04月 29日

フクちゃんのちょっと不思議な話

b0061413_081315.jpg ちょっと前に、近所にいた「フクちゃん」というシーズ犬が寿命をまっとうした。フクちゃんがいなくなってしまって、私もちょっと寂しい。フクちゃんの写真が案外となくて、6年前の夏のものになってしまった。このフクちゃんは大人しい犬だったが、私の長女に「異様に」といっていいほどなついてくれたのだ。昔からお散歩中に私の長女を見かけると、激しく尻尾をプロペラのようにフリフリしながら「キュオーン」という甘え声を出し、長女が「わーいフクちゃんだぁ」と駆け寄ると、本当に嬉しそうにウサギのように飛び跳ねるのだった。フクちゃんは大人しい犬なのだが散歩の時にいつも家の前で座り込む。どうも長女に会いたいみたいなのだ。飼い主さんの「ほら、もう行くよ!イッちゃん(長女)は学校に行っているから今は居ないよ!」という声をドア越しに聞き、フクちゃんが家の前からズズッーと引きづられていく砂利の音を聞きながら私とシャラポア(妻・日本人)はいつもクスクス笑った。「しかし、こんなにうちの娘になついてくれて嬉しいよね」という言葉をいつも交わしていた。それがフクちゃんが生きている時の日常だった。




私の長女が生まれたのが、1998年の12月の中旬。
まだ母子ともに産院に入院している日曜日、
その年のJRA(競馬)の年末グランプリである「有馬記念」のレースがあった。

普段、語呂合わせで馬券を買うことなどほとんどなかったが、
初めての子どもが生まれてきたということで競馬新聞やスポーツ新聞に
目を通して馬券戦略を練るということはまったくせず、
まったくの語呂合わせで馬券を買うことにした。
買ったのは生まれたばかりの長女につけた名前にちなんで
「1−5」
である。
馬連の1−5 と
枠連の1−5
という2種類の馬券を5000円づつ購入した。

語呂合わせの馬券にそれまでは1000円以上の金をつぎ込むことは
あんまりなかったのだが、その年の有馬記念の出走表で1枠1番に
「マチカネフクキタル」
という名前の馬が入っていた。
「縁起がいい」
という思いもあったのだが、
マチカネフクキタル
という馬の名前が、その時の私の心情にピタリと合ったのだ。
「幸せは求めるものでもあるかもしれないけれど、
 本当の幸せとは望外のことが満を持してやって来てくれることではないか」
というようなことを、初めての子どもに恵まれた1998年の年末に、
初めて父親というものになってみて、何となく感じていたのだ。

娘の名前にちなんだナンバーと、マチカネフクキタルという名の馬が
1枠1番に入った有馬記念、これは馬券を外しても構わない。
その代わり、合計1万円を賭けてワクワクしながらレースを観戦し、
1998年の有馬記念というものを初めて父親になった実感とともに、
時間にしたらポップス1曲分でしかないその2500メートルのレースを通じ、
その時の自分の心情的感触を忘れない記憶として大切にしよう。
そういう心境の、勝負感覚とはちょっと違う馬券購入だった。

結果からいえば、注目して見ていたマチカネフクキタルは凡走に終わった。
しかし、何ということだろうか。
同じ1枠に入っていたグラスワンダーが1年以上のブランクから復活の激走をし、
優勝馬として1着でゴールした。
そしてゴール前で伸びて2着に飛び込んできたのがメジロブライト。
5枠から出走していた。
つまり、マチカネフクキタルは来なかったが、
私は枠番連勝の1−5を的中させたのだ。

払戻金は約12万円。
そのお金で私は初めての赤ちゃんを当時住んでいた
三条市のアパートに迎え入れるための家具を色々と揃えた。
アナログから薄型デジタルに変わってしまい、今ではちょっとヘンだけれども
棚を兼ねた大きなテレビ台などは今でもずっとその時のものを使っている。

つい先日、
とても可愛がっていた愛犬を失い、以前と違って少し寂しそうに
一人で歩いている飼い主さんに私は話しかけた。
「フクちゃんがいなくなって寂しいですね」
という話になった。
「ところで…」
私は、そういえば初めてする質問を投げかけてみた。
「フクちゃんという名前の由来は何なんですか?」
「…オホホホ。ちょっとお恥ずかしい由来なんですけれども…
 うちの息子が競馬が大好きで。フクが生まれたばかりの子犬の頃に
 その時いちばん好きで応援していた馬の名前からとったんです。
 えーと、確か、その馬の名前は…」
 私はちょっと震えながら
「もしかしてマチカネフクキタル?」
「そうそう、副住職さん、よくご存知で!」

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2012-04-29 00:09 | 雑草


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