2012年 12月 15日

一見さんお断りの店

今の京都で
「一見のお客さんはお断りだす」
なんてお店はどれぐらいあるだろう?
『ミシェラン』の関西版で星が与えられるはずであったのに
掲載許可を出さなかったお店が京都で複数あったと聞いた。
だから、今でもあることはあるのだろうと思う。
ただ30年前から今では半減どころか、ほとんどなくなっていると思う。

名前を聞いただけでビビっちゃうような旅館でも料亭でも、
たとえば「一休.com」なんかで検索すると
そのまま予約ページに進めたりなんかする。
いけね、調子にのって予約なんかしちゃうところだった。

まあともかく、ネットを閲覧できる環境にあって
クレジットカードを持っていて
あとはそれを使った後で引き落とされる銀行の口座に必要な残金さえあれば、
まあ紹介者なしで初めてであったとしても入ることを断られることはない。
そしてクレジットカードにしても
「使えるのはアメックスとダイナースだけ」
なんていうお店も天然記念物なみになっているはずだ。

30年前の京都には
「一見さんお断りのお店」
というものがあったように思う。
それは必ずしも有名だったり高額だったというわけではない。
また、昔からそれは多くあったわけではないが、確かにあった。
京都に数多く滞在している観光客や学生と地元の常連客とを識別するための
ものであったのだろうか?
「一見さんお断り」とは、
何とスノッブ(見栄っ張りの気取り屋)な態度なのだろうかと
ずっと思っていた。

しかし、今ではちょっと考えが変わってきた。
サービスという言葉の語源が「礼拝、身を捧げること」ということでもあり、
そうすると「元祖サービス業」とも言える業界にあって
「一見さんお断り」などというようなことは言わないにしろ、
(そうじゃないと初めての人とはずっとご縁がないことになっちゃう)
ずっとお付き合いがある人たち、先代からのお付き合いがある人たちと
実際に対面する役割が生業の中心にあるということにおいては
「顔が見えるお客さんを相手に尽くしたいだけなんです」
という一見さんお断りのお店なり旅館なりの論理の正当性が見えてきた。
「不特定の多数の方々」というものの存在を抜きにしているわけではない。
まずはこのブログや道行く人のための法語掲示板などは
「会うべき未来の一見さん」のためにやっているようなとこもある。

AEON(ジャスコ)やファミリーマートが葬儀産業の世界に入ってきて数年経つ。

ポイントカードはお作りになりますか?

というのはサンドウィッチマンの葬儀産業を題材にしたコントのネタであるが、
このネタを笑えなくなっているのが今日。
とても大きな資本をもつ流通業界の大手が参入してきた。

従来の(とはいっても30年前にセレモニーホールのようなものはなかった)
葬儀産業と呼ばれるところも大きな渦に巻き込まれることになった。

葬儀産業を否定するわけでもAEONやファミリーマートの参入を
否定するわけでもないが、ここでどうも
「価格競争」
というものが行われているようだ。
価格競争が起こって出費が減るのはどんな分野でもいいことではないか?
という考えがある。
(葬儀が安い!と言われても安いとは思わない人も多いと思う、あっ一般論です)
家計簿の上ではいいことにしか見えない。
でも、
安いことを威張られても困る。
安いことに甘んじて手を抜かれても困る。
コストパフォーマンス最優先ですべてを合理性で仕切られても困る。

デフレは 「賃金が安くなる」 という弊害がある。
数字にできることでは、これが弊害としていちばんわかりやすい。

数字にできないことで言うならば、
人間が安っぽくなる。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2012-12-15 02:10 | 草評


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