2013年 01月 29日

NHKスペシャル 「"世界最強"伝説 ラスベガス 世紀の一戦」を観て

5〜6年前のサラリーマン川柳(第一生命保険主催)での
 「無理をさせ 無理をするなと 無理を言う」
という作品は、実に大傑作であった。
読んだその日から覚えられ、見事な風刺にもなっている。

しかし、最近は若い女の子の 「ムリ!」 という言葉遣いが気になっていた。
もっとも身近なところで中学生の長女の「ムリ!」という言葉に腹を立てていた。

「もうちょっと髪を短めにした方がお前には似合うんじゃないか?」
「あ〜ムリムリ!私はこれがいいから」

などという用語例で使われると
「んじゃお前を養うのもムリっぽい!」
と返してしまって、しなくていいケンカをしてしまうことになる。

シャラポア(妻・日本人)も実は私と同じ気持ちであって
「無理、ムリの言葉の軽さは気になるよね」
と、ちょうどそういう話をしていた日曜日の夜(21時)に、テレビで
NHKスペシャルの「世界最強"伝説ラスベガス 世紀の一戦」を観た。
50分間ぐらいの番組であったが、映像と構成は作りこまれて
そのすごいキャラがそろって演技ではないドキュメンタリーを見せつけられ、
上質な映画を何本も観た気持ちになってしまった。

アメリカ合衆国・ラスベガスで
「ここはボクシングの聖地だ」と
ボブ・アラムというモハメッド・アリと出会ってその試合もマッチングしてきた
老獪な敏腕プロモーターが語るところから始まった。
そのプロモーターが、現在、いちばん目をかけているボクサーがマニー・パッキャオ。
そのボクシングの本場アメリカで6階級制覇(体重差20kg)という
前人未踏の偉業を成し遂げたマニー・パッキャオがドキュメンタリーの主役。
どんな名優を揃えた映画よりも
マイク・タイソンやシュガー・レイ・レナードという名ボクサーが出てきて
そのマニー・パッキャオというボクサーに無条件の賛美を語るので、
それだけで今回の主人公がタダモノではあり得ないと感じていきなりひきこまれる。
1時間前には「名前を聞いたことがある」という程度であったマニー・パッキャオが、
番組が終わる頃には唯一無二のスーパースターとしてその顔は焼付けられた。

身長167センチの小柄なフィリピン人は、
目に見えないほどの高速左ストレートを武器に、
自らよりも上の階級のボクサーを次々に倒していき、
ボクシング界のスーパースターの座に上り詰めた。

フィリピンのミンダナオ島の極貧から身を起こしたパッキャオは
今でもフィリピンのその島に住みトレーニングに明け暮れる。
父親がいなかった少年パッキャオは、母親がいなかった幼馴染をトレーナーとして
ボクサーとなっていった。

12月8日にこれまで3度拳を交えた宿命のライバル、
ヒスパニックの英雄との世紀の対戦が交渉で決まった。
メキシコのプロモーター、ベルトランが推挙したメキシコ人ボクサーは
ファン・マヌエル・マルケス。
ペーパービュー(番組・スポーツの試合ごとの有料放送)での数十億円の
売り上げを重視して決まった。
現在のアメリカ合衆国ではボクシングでもヒスパニックの人気が絶大だ、

さて、ここから先は、ネタバレをおそれて私はあえて書かないようにしたい。
これだけ映像と構成のひとつひとつに力が入った優れたドキュメンタリーだから
必ず再放送があるだろう。(深夜になるかもしれないけれども)

ともかく、ラスベガスでの、その「世紀の一戦」を終えた後で
マニー・パッキャオがフィリピンのミンダナオ島に戻ったところのシーンで、
私は久しぶりにテレビの前で涙してしまった。
そこで涙をこらえるなんて、私にはムリ!

そう、最初は長女が口にする「ムリ」の話だった。
マニー・パッキャオも、ファン・マヌエル・マルケスも、
その高度で厳しいトレーニング中に
「いいぞ、勝てるぞ」
「やれるぞ」
と口にしていた。
軽々しく「ムリ!」と口にするのとは対極の世界だ。

マーヒー加藤

※ 出張中のため、このブログ記事はタイマーによる予定投稿で書いております。
  コメントへのお応えなどは遅れると思いますがご了承ください
 
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by kaneniwa | 2013-01-29 00:01 | 草評


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