2013年 03月 01日

名曲草鑑賞(33) 伊奈かっぺいの「雪やどり」

b0061413_23212063.jpg FMーNIIGATAという、もちろん新潟のFM局で、毎週日曜日の深夜0時から30分「週刊アコギ倶楽部」というラジオ番組がある。邦楽・洋楽を問わず70年代のアコーステックな音楽を愛するDJのワカを中心に芥川賞作家の藤沢周がレギュラー。毎月1回登場する準レギュラーが山木康世(元ふきのとう)などというメンバーで、まるで30年前の学生生活の下宿での会話が「アコーステックギター」というキーワードをかろうじてたて糸としてとりとめもなく交わされている。その準レギュラーで月に1回登場してくるパーソナリティーにテレビ新潟(TeNY)の堀敏彦アナウンサーが居る。テレビ新潟で夕方のニュースを読む時の顔とは全く違い(もっともラジオなので表情まではハッキリとは見えてこないが…)マニアックなフォーク・ミュージックの大ファンとして出てくる。アナログ・レコードを持って番組にやってくるのだが「堀アナウンサーが選んだ曲はFMーNIIGATAで初めてかかる曲がほとんどで、しかも次はいつかかるかわからない」というもっぱらの評判(ネット上でね)である。その堀アナウンサーの選曲で「伊奈かっぺい」の「雪やどり」という曲がラジオから流れた。キャッチーなメロディもさることながら、その正統派の歌声での歌詞がスッと入ってきたのだ。久しぶりに歌に一聴惚れをしてしまったのであった。「青空から落ちてくる雪 そんなに珍しいわけじゃないさ 星空から流れてくる雪 ゆうべもそうだったよ 下から吹き上げる雪 いつものことだよ でも雨上がりの後 虹といっしょの雪は今日が初めてだったさ 雨あがりの後 君と雪やどり これも初めてだったさ」 何とカラフルな歌詞だろうか。頭のなかに青空と星空と白い雪の対比が交錯した後、「でも雨上がりの後」からがいわゆるサビの部分になっているのだが、「虹」という言葉がキラメキ、そして「君」といっしょに居ることの喜びが沸き上がってくる歌だったさ。『涅槃経』にも引用されている古くからある喩え話に「盲亀の浮木」(もうきのふぼく)というものがある。深海に目が見えない亀が住んでいて100年に一度だけ海面に上がってくる。その時に浮木に出会ってその浮木のなかの穴に入るぐらいの確率が、人間としてこの世に生まれてきて仏教に出会うということの希少価値なのであると説かれる比喩である。伊奈かっぺい、青森放送(テレビ)の美術部勤務からタレントとなり(一時期はホリプロにも在籍していた)その津軽弁でのトークの面白さは知っていたが、こんな素晴らしいフォークソングを作る人であるとは今まで知らなかった。このラジオから流れてきた「雪やどり」のメロディーと歌詞がまだずっと頭に残っている昨今、寒波の後の青空の下で白い梅の花が咲くのを見た…と思いきやそれは錯覚で、柿の木の葉の上の氷が花に見えたのであった。カメラを取り出して撮ってはみたものの、花と錯覚した時の光の加減はシャッターを切った時にはもはやなかった。風景写真もスポーツ写真のようにシャッターチャンスが大事なんだなぁという風景を撮る人にとっては常識のようなものを噛み締めつつ、虹といっしょの雪というものを一度でいいから見てみたいと思った。

マーヒー加藤

ようやくネット上で音源を見つけました。
2分40秒目からが「雪やどり」です。
最後が切られているのと、リズムが合っていない手拍子は
とても気になってしまいますが、他には見つかりませんでした。
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by kaneniwa | 2013-03-01 23:22 | 草評


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