2013年 03月 07日

名曲草鑑賞(34) 阿知波一道 ファースト・アルバム 『器』

b0061413_13542153.jpg 昨日、うちの台所で会議があった。キッチンは別名「真宗大谷派善良寺・第一井戸端会議室」と呼ばれている。(そう呼ぶのは約5名だけだが…)薪ストーブの上にいつでもお湯が湧いているのでコーヒーを飲みながらカジュアルに会議ができる。会議がカジュアル過ぎるものになってしまうのが会議室としては欠点か。5月の月末にある講座の打ち合わせ会をやっていると、休憩時間(第一井戸端会議室では審議する時間と休憩時間の境目は極めてファジーであるのだが…)にゆうメールが届いた。夕刻、打ち合わせが終わってすぐに開封すると、丁寧な送り状とともに阿知波一道さんからの贈りものでファースト・アルバムが同梱されていた。会議のメンバーに北海道に住んでいて阿知波一道さんを知っている方もいたのでさっそく近くにあったディスクトップパソコンでありがたく聞かせていただく。タイミングよく11歳の息子も小学校から帰ってきた。大の鉄道ファンの息子は、2トラック目の「まだかね今金」を一聴して大好きになったようだ。私の世代と違ってブルースハープの音色に汽車の汽笛を連想するわけでもないだろうし今金(いまかね)という地名に馴染みもないはずなのに、初めて聴いて「まだかね今金」という歌詞のフレーズに笑った。音源のライブ会場に入っている地元の今金の地名に馴染みがある聴衆の笑い声と息子の笑い声は、ほぼ同時だった。小学生の息子にも、歌詞のひとフレーズづつが、しっかりと耳底まで届いているのだ。阿知波一道さんが55歳の時の5月5日に北海道の長万部の「クラフトたかの」という場所で55曲を5時間55分で唄い演奏したライブ音源(CDRにして6枚)から京都のシンガーソングライターの楠木しんいちさんがそれを聴きこんで選曲されたのがこのファースト・アルバムである。収録時間は51分40秒。聴いた人がそれぞれに4分15秒の曲を足して「55分55秒」の至福の時間を過ごして欲しいというメッセージも込められているとか込められていないとか。
b0061413_13543580.jpg パソコンで再生しているので「曲名とアーティスト名は後から打ち込むとして、いつでも聴けるようにiTunesに取り込んでおこう」とすると、打ち込むまでもなくiTunesに曲名と「阿知波一道」というアーティスト名、そしてCountry&Forkというジャンル分けまでしてあった。これはCDにデータが入っていると勘違いしている人も多いようだけれども、iTunes(アップル)が制作物としてちゃんと認識しているということでスゴイことであると思う。作成元の よりみち工房 さんがどのような販売ルートにのせてくださるのかはまだわからないけれども(現段階ではAmazonでは購入できないみたいだ)定価も1,500円(税込)となっている。このブログ記事に特に新潟県内から反響があれば、寺院の「第一井戸端会議室」にも取置きで何枚か置いておきたいと思う。阿知波一道さんとは面識があるので、ヨイショとかお世辞とか提灯記事ととられてしまいがちであるけれども「こういう唄が聴きたかった、こういうサウンドに身を浸したかった」とストレートに感じている。JRでたとえるならば東海道新幹線のようなサウンドではなくて野山を行く鈍行列車、もっと言えば全体を薪ストーブのような鋳鉄で身を包んだSL的なサウンドである。阿知波一道さんのギター弾き語りで、その唄の素晴らしさとともにマーチンのO(シングルオー)というやや小ぶりなアコーステックギターがあまりにもいい音で鳴っていたのでアフターセッションで恐る恐る借りて弾かせてもらったけれども私だと阿知波さんが弾き語る時ほどにいい音で鳴らなくて苦笑いするしかなかったことを思い出す。全11曲、マーチンのO(シングルオー)がとびきりいい音で響いている。そしてそのサウンドをリズムもまたメロディであるかのように暖かく包むパーカッション(ソロパートもあるがアフリカの打楽器のようだ)の山北紀彦さん、歯医者さんらしい端正さ(ここはA、ここはCという感じで丁寧に患者さんの歯を看る時の視線でベースのフレットを見つめる空気感)で根底から支えるベースの鈴木邦明さん、ギターのサポートと間奏のフィドルに北海道への旅情をかきたててくれる芳賀健太さんら音響、録音、編集のサポート全体を含めて「こういうサウンドをどこかでずっと求めていたんだよなぁ」と感じた。飛行機ではなくて船(新日本海フェリー)か新幹線以外の列車で北海道に行きたくなってしまったなぁ。そして、今日はパソコンではなくて木目があるスピーカーからどうしてもこのサウンドを響かせたくなった。



マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2013-03-07 14:54 | 草評


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