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2013年 06月 18日

コッヘル213番 天然鯛茶漬け

b0061413_1525312.jpg 神奈川県の横須賀市の安針塚(あんじんづか)の長願寺ご住職である海法龍(かい・ほうりゅう)先生にはとてもお世話になった。ライツミノルタを駆使されたモノクロ写真を中心とする写真家としても評価が高く(著作に写真詩集『東京断章』などがあります)、浄土真宗のことのみならず実にいろいろなことを学ばせていただいたのだが、今回は教えていただいたことのなかで「天然の鯛と養殖の鯛の見分け方について」がその記述の中心となっていく。海先生は鯛の漁場としても名高い熊本県天草市のご出身である。「あのね、今は養殖する方もけっこう考えていて刺身では熟成の具合(鯛の刺身は新鮮ならいいというものではないらしい)とかもあってとても区別がつきにくいこともあるよ。でもね、鯛茶漬けにするとね、養殖の鯛は表面をよく見ると嫌な感じの油が必ず浮いてくるけれども天然の鯛ではそんなことはないね。味の違いも鯛茶漬けがいちばんよく分かるんじゃないかな?」ということであった。

b0061413_1531067.jpg スーパーマーケットで「粟島産天然鯛780円」というものを見かけた時に、この海先生のありがたき教えが頭をよぎった。旅行先などでスーパーマーケットを訪ねて観光用ではなく地元の人たちの愛好する品を購入することは楽しい。(京都の漬物などは断然この手法をオススメしたい)生鮮食品、しかも生魚であるからこの鯛はお土産用には向かないけれども。徒歩5分のところにある新潟県内では有名なスーパーマーケットチェーンである「ウオロク」は、その名前どおりに魚屋さんがルーツであるだけに野菜などもいいけれども何と言っても海産物が充実していて、特売品というわけでもないのに「天然鯛780円」というような掘り出し物が見つかりやすくていい。佐渡産のものも入っていることが多いけれども粟島はさらに近く「地物」の「天然物」であるといえる。さらに、鯛はアラの部分も含めて捨てる部分がほとんどなくていい。しいていえばコンタクトレンズを1000枚まとったような鱗をとるのがちょっと面倒なぐらいだろうか。迷わず即購入である。構想するメニューのなかのメインはもちろん「鯛茶漬け」である。

b0061413_1533224.jpg 刺身もちょっといただきつつ、主な部分を酒・醤油とちょっと味醂を入れて漬け込む。この時点で息子につまみ食い被害に遭遇する。つまみ食い被害には困ったものであるが、逆にいえば作製過程において息子がまったくつまみ食いをしない料理には魅力がないと言える。農薬や除草剤をまったく使わずに育てた農産物が虫に喰われてしまうことと同じだろうか。脱線するが、随分と昔のテレビドラマで主演が桃井かおりで主題歌が上田正樹の「ミッドナイト・トランスファー」で原作が山口洋子だったもので(これだけデータがそろっていたならば検索してドラマの題名が出てきそうだけれどもなぁ…)主婦であった桃井かおりが銀座のクラブに初出勤した時、洋服にかすかにナフタリンの香りがついていることを先輩ホステスに指摘されて言われたセリフである「あんたねぇ、この商売はねぇ、悪い虫がつかないとお金にならないんだよ!」という言葉を私はずっと忘れずにいる。私も、この分野にはかなりお金を使ってきたなぁ…と感じる。海先生にはかなわいけれどもね。

b0061413_1535835.jpg さて、今回は立派な天然鯛の頭の部分も含め、内蔵などのアラの部分、骨、尾など鱗を除くすべての部分を炊いて天然鯛の天然コンソメスープをとることにした。ほんの少しの塩を入れて写真のように出てきたアクをすくいとった。その天然コンソメスープを鯛茶漬けにもベースに使ってその上から濃い目の粉茶をかける作戦だ。ヅケとして漬け込んだ鯛の身からも熱い粉茶をかけたならばダシは出てくるので「お茶漬け界のダブルスープ」と名付けたい。ラーメン界のダブルスープは動物系のダシと海産物系のダシとの融合を指すようだが、このお茶漬けのダブルスープは海産物系でしかも同一の天然鯛ベースでダブルである。「鯛のコンソメ」をとった後のものは醤油で炊いて翌日に「天然鯛のあら炊き」という別な一品として食卓に登場したし、まったく無駄がなかったし美味かった。こうしてまったく無駄なく使えるということも天然の良さだろう。さて、写真の一枚目に戻ってカメラのシャッターを押して急いで食べる直前に、私はダブルスープの表面を凝視した。海先生がおっしゃった通りに、嫌な色をした油はまったく浮いていなかった。そしていただいた。「鯛の食べ方でいちばん美味しいのは鯛茶漬け!」…海先生はまったく正しいことを教えてくださっていたと実感する。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2013-06-18 16:00 | 草外道


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