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2013年 11月 11日

東北新蕎麦探訪記(2) 山形県南陽市 荻の源蔵そば(2)

b0061413_14385815.jpg というわけで、茅葺屋根の民家のなかの蕎麦屋さんに入っていく。付き出しというのだろうか、注文をする前に刻みネギと大根の漬物、そして蕎麦つゆが出てきた。茅葺屋根の民家の前に収穫したての大根が積み上げられていたのでいっそう美味しそうに見えた。念のため、ウニはサイズ比較用の食品サンプル(東京美研製)である。山形県というところは「おみ漬け」や食用菊を漬物にした「晩菊」など、あるいは冷奴の上に刻んだ浅漬をのせる「ダシ」と呼ばれるものなど、独特にして素晴らしい漬物文化をもっている(しかも海も山も盆地もある圏内の各地方によっての独自性とバリエーションも豊富だ)土地だが、この薄味たくあんというのかシンプルな大根の漬物がシミジミ美味しかった。ちなみに、この蕎麦屋さん、ワサビは使わないというかお店に置いていない。しかし、これは後日に言及したいが、ここの蕎麦にはワサビは不要であった。

b0061413_14392129.jpg それらの付け出しを味わいながら、メニューから冬季限定メニューである「大根煮」をまず注文する。何と、冬季限定メニューであるというこの大根煮は、われわれが訪れたこの11月2日が解禁日というか今シーズンの華々しいデビューの日であった。われわれ(家族)は開店してからそんなに時間が経っていない11時30分頃にお店(茅葺屋根の民家)を訪れたのだが、あと20分ほど早く到着していたら「今シーズン発の大根煮注文のお客さん」という栄誉にあずかれるところだった。実は蕎麦屋さんのご本尊たる蕎麦について言及するブログ記事は次回にならないと登場しない。今回はひたすらサイドメニューのようなものの紹介となる。しかしながら、このひと皿200円の大きくカットしてある大根のしみじみした美味しさは感嘆ものであった。おそらく、蕎麦つゆの味で煮込んで、仕上げに味噌だれのような感じのものをかけてあるように拝察したけれども、この分厚さからモウモウと出てくる湯気についたいい香りもごちそうとして味わった。この厚いカットの大根の隅々まで味は染みわたり、実にいい感じだ。このブログ記事にせずともわれわれ(家族)は山形県のこの土地で何を食べてきたかをずっと記憶し続けると思う。

b0061413_14393743.jpg さて、今回はこの荻の源蔵そばの、素晴らしいこのシンプルメニューをご紹介したい。コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授の講義をNHKで拝聴した。教授の講義のテーマは 「幸せになるための選択は何か」という内容であった。「選択」という言葉を思わず仏教用語としての選択(せんじゃく)と読んでしまいそうになるぐらいに示唆を与えられた授業であった。女性教授にしてもそのとても甲高い音にはちょっとビックリしたけれど。選択肢が多種であるということはあたかも幸せであるように思えて情報がありすぎて直感がはたらなかくなってしまう苦しみさえ伴い、そしてよくわからないまま選んだことは選ばかなったものへの後悔ばかりということもあり得るのだと感じた。実際にアメリカのスーパーマーケットでシーナ・アイエンガー教授の理論によって品数を絞ったところかえって売上は伸びた例も紹介された。さて、コロンビア大学の名物教授の名を上げずしても、この蕎麦屋さんのメニューの潔さといったらない。まず、蕎麦は「もりそば」と「半もり」だけである。ここに温かい蕎麦は存在しない。その時に適切なもりそばの分量を選択することだけに集中できる。鴨南蛮などがメニューにあると「鴨南蛮かぁ…」などという迷いが生じるが、その余地なし。ただ「何か温かいものも食べたいなぁ」という時に先ほどの「大根煮」も冬メニューとしてあるし「野菜(山菜)天ぷら」という選びもある。それもエビとか鱚の天ぷらではなく潔く野菜と山菜だけの天ぷらである。これも試しに取ったが、素晴らしいものであった。場所柄表示などせずともすべて地物に間違いない。この素晴らしいメニュー表の裏は飲み物で、こちらも潔くビールと日本酒のみ。今回はシャラポア(妻・日本人)も手根管の手術をしてからギブスかとれて10日目ぐらいだったのでずっと私が運転をしていたから難しかったが、来年も今頃の時期に出かけて大根の漬物と大根煮で日本酒をいただいてから、素晴らしい蕎麦(ようやく次回に登場予定)をいただきたい。


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2013-11-11 14:59 | 草評


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