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2014年 01月 07日

コッヘル226番 自家製のり弁当

b0061413_11203565.jpg 今年もやりますコッヘルシリーズ。ケッヘル番号によって整理されたモーツアルト作品のパロディでもあるので、ちょうどあと400本をこれからもやる予定なのです。あと10年はかかるでしょうか。まだお正月でもあるので豪勢なものでスタートさせたい気持ちもありましたが秋の天然舞茸特集に続いて冬の鱈(タラ)をしばらく特集してみたいと思っています。特集を組むというと聞こえはいいのですが、こうしないと何を載せたかということをつい忘れてしまいがちになるのです。というわけで色々な料理に使える冬の味覚の白身魚なのですが、真っ先に掲載しておきたいのが自家製のり弁当であります。昨年、実に久しぶりにHottoMotto(お弁当屋さんチェーン)の「のり弁当ランチタイム特価270円」を家族分買っていただきました。忙しかった時のその場しのぎのチョイスだったのですが、そこに「涙した」と言っても過言ではないぐらいにその美味しさにしみじみ感激したということがあったのです。いろんなお弁当屋さんでも最安値であることが多いのり弁当の実力を今さらながらに認識し、心底驚いた、ぶったまげたということです。学生時代に京都で私はのり弁当を実に多く食べてきました。それはお弁当屋さんで手軽に昼食なり夕食をゲットできるということの他に安かったということがあります。ちょっと高い本やアナログレコードやCDを買った日の夕食がのり弁当であったということは学生時代にとても頻繁にありました。なので「若い頃にちょっと食べ飽きた」ということがあってのり弁当に対して実は密かな愛着をもちつつもどこかでのり弁当を直視せず、むしろ意図的に避けてきたという人生であったとことに気づき、私はそれを後悔したのでありました。

b0061413_113832100.jpg HottoMotto中条店のすぐ近所には私も頻繁に出入りをする葬儀社のホールがあるということも、のり弁当を意識しつつも遠ざけてきた理由のひとつのように思えます。ただ、実に久しぶりの「のり弁当」を食してみて、変わらない値段(もしかしてランチタイム特価の場合なら安くなっていないか?)にも驚きつつ、その美味しさにも驚きました。ひとつには全国一律に思えるコンビニエンスストアのおにぎりでさえも新潟県内のお店のものは美味しいと思うほど違うように、お弁当屋さんチェーン店も米の生産者が多くお米の質と味には敏感な地域性のなかで確実に質の高いものを出しているのではないかという推測が確信に変わったことでもありました。これは唐揚げ弁当やとんかつ弁当でもある程度は推測してきたことではありましたが、のり弁当ぐらいのシンプルさに徹して浮き彫りになったことでございました。まず米(ごはん)の美味しさがダイレクトに感じることができました。さらに米の質もさることながら白身魚の質と味についても、それがたとえ輸入物であったとしても自然と思い入れをもつ地域性もありましょう。それがフライとなり、ウースターソースや時にはタルタルソースなどの異文化にもまれたとしてもなおかつ白いごはんとの相性の良さを見せつけてくれるような白身魚の実力も大したものです。そんなのり弁当は「どっぴゃー!」という種類の美味しさとはちょっと違うのかもしれませんが食べながら「うーん、これだね!」と静かに首肯しつつ、若き日々の何かを肯定しつつ味わったことでございました。


b0061413_11212646.jpg 年末の大掃除においてものり弁当を家族分買い込み「これだね!」の私の表情に影響を受けたのか息子などものり弁当のファンとなりましてとうとう自家製のり弁当を作成することと相成りました。たとえば美食家・北大路魯山人であればどんなのり弁当を作り上げるのでありましょうか?魯山人であれば陶芸家でもありましたので「コッヘルなんかで喰えるか!」と一喝されることとも存じ上げましたがやってみたことでございます。自家製と言ってもたとえばバレンタインデーの手作りチョコレートも「どの時点から製作するか」という問題がございます。カカオ豆を栽培しつつサトウキビ畑で砂糖を精製するような手作りチョコというのもあるにはあるかもしれませんが、今回は「お弁当屋さんでの作成過程はなぞるようにしつつなるべくいい材料で贅を尽くしたい」というコンセプションでございます。のり弁当の名アシスタントである微量のきんぴらや漬物、そしてちくわの磯辺揚げなどは今回は省略でございましてのり弁当の中核を担う部分を作ってまいります。お米は旧黒川村の米作りの名人と言われる方からいただいたものを炊飯用の土鍋で炊き上げました。コッヘルそのもので炊き上げるという手もございましたが、そこは万全を期すことにしたのでございます。そこに「東京名物の錦松梅のようなおかか主体の佃煮はないかなぁ?」と妻(シャラポア・日本人)に問えば、何と錦松梅のようなものではなく錦松梅そのものがございました。昨年、新宿区の専行寺様がお土産に錦松梅を持たせてくださったことで東京出身のシャラポアは自分にとっての「うーん、これだね!」に目覚めたようなのでございます。それを炊きたてのご飯にまぶします。炊きたてのごはんはその一粒一粒が白い妖精のような愛おしい存在でございましたが、その妖精たちが金平糖を手にしているようでございました。ちょこっとお味見をしてみますと「ああ、もうこれで何も要らないのではないか」とさえ思いましたが、ここで止まってしまったら、昼食や夕食はまかなえてもブログ記事にはならないので続けたことでございました。そこに三条市の乾物屋さんで手にいれた寿司海苔を置きます。海苔は黒々としつつも素晴らしき光沢をもち、写真でも室内のLED電球を反射させております。よくよく見れば自分の姿を映し出す鏡とさえなりそうな見事な黒き光沢でございました。白い妖精たちとの見事なブラック&ホワイトでございました。「のり弁当」というもののご本尊でありつつ名前さえ全面には出てこない鱈のフライでございますが、近くの市場のなかの魚屋さんで地物の日本海の巨大鱈の豪快3枚おろしの一片を購入したことでございます。薄塩をまとってはいるものの、冷凍ではなく正真正銘の地物の鮮魚でございまして、この3枚おろしの鱈はこの冬のテーマ食材ともなりそうな逸品でございます。それをダッチオーブンを使って揚げました。2枚目の写真は腹身部分でございましたが、やはりのり弁当ということでは一枚目の写真の尾っぽ部分が何だかしっくりくるような気がいたします。さて、お弁当屋さんののり弁当にも静かに感動いたしましたが、それよりもさらにシンプルに徹した今回の自家製のり弁当、炊飯専用の土鍋で多めに炊いたのですが家族のお代わりが止まりません。白いごはんも黒い海苔もお取り寄せの錦松梅も巨大鱈の切り身も、みんな影も形もなくなってしまったのでございました。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-01-07 13:31 | 草外道


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