2014年 01月 10日

追悼記事(30) やしきたかじん

やしきたかじんという人は、たぶん、おぼっちゃまだったような気がする。
それは大阪のキタの新地や札幌のススキノの一流店の常連だったからではなく、
ほぼ全国ネットであるのに本人の
「東京発のマスコミ嫌い」(東京という都市が嫌いだったわけではないと思う)
ということでほぼ全国ネットであるのにわざと東京だけでは放映されていない
『そこまで言って委員会』で教育問題がテーマであった時に
「実は私の弟は学校の校長なんやけど…」
とさらりと言っていて、それが中学校だったか高校だったか、
公立だったか市立だったかは忘れたが、それを聞いて意外なようで妙に納得した。
それから、YouTubeで探しまわったけれどもあまりにも昔なのか関西のローカル番組だからか
見つからなかったけれど、ピアノの弾き語りをしているところを覚えている。
「ピアノを弾くからおぼっちゃま、弟が校長だからおぼっちゃま」
なんて、はずかしいぐらいの偏見に近いのかもしれないけれども、
そのピアノ演奏というものがギターのコードを鍵盤に移しただけのようなものとは違って、
何というかその時の技巧はともかく
「昔、クラシックを叩きこまれたのかも」
というような、意外なほどに端正なものに聞こえたからだ。

さらに、おぼっちゃまとしてチンピラ的なものに憧れてそうなっちゃった、
という雰囲気をその発言の端々に感じたものであった。

やしきたかじんが亡くなったと聞いて
朝のニュース番組や昼のワイドショー的ニュースなども含めてテレビをつけてみたが、
おそらく関西での扱いとまったく違い東京をキー局とするニュース番組のなかでは
扱いは小さいものに思えた。
週末のニュースのまとめではどうなるかわからないけれども
大沢樹生と喜多嶋舞との間の16歳の息子が父親とはDNA鑑定の結果血縁がなかったという
話題や、渡邉有三さんという山本リンダから工藤静香まで多くの芸能人のヒット曲を
プロディースしてきた方が亡くなったということや
本田圭佑がセリエAの名門ACミランに所属することになって
ミラノでの英語を中心にした記者会見のことがより大きく取り扱われているような印象をもった。

ただ、その本田圭佑の英語での発言を聞いていて
「ああ、大阪やなぁ」
というようなことを感じた。
別に英語が大阪なまりだったわけではない。
確認すると、やはり彼は大阪府摂津市の出身だった。
高校時代は石川県の星陵高等学校で過ごしているし、
Jリーグは名古屋グランパスエイトに所属していたし、
その発言は注目を浴びるが関西弁の雰囲気は常にあるけれども
そんなにストレートな関西弁ではない。
感じたのはボケもかましつつ言いたいことをハッキリ言って、
お笑いのオチにも似た区切りのようなことも言う気風からであった。

日頃サングラスをかけているという点も共通している。
目の奥の表情を読まれることを嫌うからだろうか。
やしきたかじんのことでなく、本田圭佑のことばかりになったが
両手に腕時計をしてあのファッションは、もしもサッカーがドヘタだったら笑われるが
スーパースターは妙なかっこをすればするほどにウケるということがある。

さて「空気を読む」ということばかりが優先される世の中にあっては
「空気さえ変えてしまう、空気をつくりだす」という人間の貴重さがある。
討論番組やトーク番組でのやしきたかじんのその才能は際立っていた。
安倍晋三首相との交流や橋下現大阪市長を府知事として立候補する時に背中を押したことから
「右寄りだったのではないか」
という声もよくきくけれども、思想的に右か左かということよりも
やしきたかじん本人にすれば
「格上か格下か」という、左右よりも上下のようなものが
優先順位として非常に高い人だったと思う。

本田圭佑が「奇跡のヤンキー」だとするとやしきたかじんは「奇跡のチンピラ」だった。
私がタクシーの運転手だとすると、奇跡だろうと泥酔したチンピラが乗り込んできた時が
いちばん困るのだろうけれども。

マーヒー加藤
[PR]

by kaneniwa | 2014-01-10 06:17 | 草評


<< 富山第一を決勝へ導いたPK専門...      コッヘル226番 自家製のり弁当 >>