2014年 02月 14日
吉田耕二さんというアマチュアカメラマンがいてその吉田さんの個展が胎内市のロイヤルパークホテルであった時に私はシャラポア(妻・日本人)とともに観に行った。その時に新潟県北部や山形県の美しい風景写真に混じって長年にわたって寺院を支援してくださっていたMさんの姿を写真のなかに見つけ、シャラポアとともに「Mさんだ!Mさんだ!」と声を上げることになった。後日、カメラマンの吉田さんに会って「どうかプリント代実費であの写真を分けていただきたい」と申し出たところ、快く承諾してくださった。吉田さんが言うにはMさんは根っからの鍛冶職人であり、仕事場を撮らせていただくことを何度も申し出ていたが「仕事場はダメだ」と首を縦にふらなかったそうだ。それがMさんが亡くなられる前、入院生活を送られるようになる数ヶ月前に「今日ならいい、撮りに来い」という電話が吉田さんの自宅に入ったそうだ。飛ぶ火花でニコンのデジタル一眼レフのボディに傷が入り、フィルター(レンズもだったかな?)をひとつダメにしてしまったらしいが、この「奇跡の一枚」を撮り上げた。吉田さんは「作業をするMさんの鋭く燃える目がキャップに隠れてしまったのが残念だ」とおっしゃったが、私としては慰めでも社交辞令でもなく本心で「いや、目が隠れていることでMさんのあの目をかえって想像することになって、これは感動の一枚です!」とキッパリと言った。 私はガラスなどの反射をおさえる偏光フィルターを持っていないので、写真をアップで撮ると自分のシルエットが写り込んでこの写真の魅力の何分の一かも伝えられないのだが、どうかしばらくは玄関に飾ってあるので是非とも観に来ていただきたい。Mさんは強くて優しい人であり、根っからの職人気質であった。私の趣味のダッチオーブンを見せると「昔のアメリカ人はいいモノを作っていたなぁ…」と言った。そんな鉄人のMさんに「…あのぉ、テネシー州で今でも同じものを生産しているんですが…」とは言い返せず、代わりに「このダッチオーブンのリッド(蓋)の部分に大量の炭をのっけるための鋳鉄製のリングなんて作っていただけますか?」と言うと、笑いながら「いいよ」と言っていた。ただ、晩年のMさんは全国で鍛冶屋さんが減っているなかで京都や奈良の寺院やその保存委員会からも特注の金具の再現の仕事も受けて大忙しであったので、私のもとにその特注リングが届くということはなかった。息子さんは首都圏に住んでいるがアマチュアながら職人気質を受け継いだアコースティック・ギターを弾きながら力強くてウォームで大きな声量ながら優しく美しい歌声をもっている。寺院でMさんも見つめるなか、私のギターで一曲やってもらったこともあった。来月のMさんの三回忌も近づいてきた。 マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2014-02-14 14:36
| 雑草
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