2014年 05月 28日

名曲草鑑賞(43) モーツアルト交響曲第36番ハ長調ケッヘル425番「リンツ」

b0061413_0294278.jpg 2006年5月8日まで京都の四条木屋町に「みゅーず」という名前のクラシック音楽が流れる喫茶店があった。学生時代に時々立ち寄って、書店や古本屋で買ったばかりの本などをよく読んでいた。ある時に「これはいい感じの曲だなぁ」と思いつつ、演奏中のアナログレコードのLPジャケットを見に行ったら、モーツアルトの交響曲第36番の「リンツ」であった。それから数年後、大学はとっくに卒業していた時に久しぶりに「みゅーず」に立ち寄って、時代もアナログLPからとっくにCDになっていたのであるけれども、その時に店内に流れていた音楽があまりにいいのでその演奏中のCDのジャケットを見にいったら、またまた「リンツ」であったのだ。つまり、何が言いたいのかといえば、私はどうやらこのモーツアルトの「リンツ」という交響曲を「いい感じだ!」と思える感性はもっているようなのであるが、その曲がどのような曲であったかを思い出すことがまったく出来ないということなのである。私以外の人にとってはおそらくどうでもいい不思議さではあると思う。ただ、覚えられないのにもかかわらずに再度、あるいは再三に耳にした時に初めて聞いたみたいに「いい感じの曲だ!」と思っちゃう自分を不思議に感じてしまったのだ。そこでブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団の演奏のCDを購入したのであった。そして今月中、15回ぐらい再生してみた。わはははは、不思議だ。「リンツ」の音の響きにはうっとりと魅せられているというのに、旋律(メロディ)がまったく覚えられない。わはははは、単なるバカなのかもしれないけれども、不思議なんだなぁ!上手い喩えさえもなかなか出てこないのだけれども、仮に私がものすごい珈琲通だとしよう。たいがいのコーヒーは香りを嗅いで飲んで味わって「ふむふむ、ブラジルサントスをベースにしてキリマンジャロとマンデリンとコロンビアをブレンドしてあるのだな」なんてことが瞬時にわかるほどの鼻と舌をもっていたとしよう。しかし、この「リンツ」というコーヒーには数多くの産地や違う焙煎具合のコーヒー豆がブレンドされているのにも関わらず、そのブレンド具合が実に完璧であるために、それが極上のコーヒーであるということだけが分かるのだが成分のようなものに関しては何がどうなっているのやらさっぱり分からないというような、そんな感じだろうか?ハ長調(Cメジャー)という調性のこの交響曲であるが「30分間の山登り」というイメージをもって実際に聴いてみる。10歩歩くたびに風景はどんどん変わり、天候もどんどん変わり、草花やら野生動物やら雨やら雲やら晴れ間やら虹やら、色んなものがどんどん出てきて景色も次から次へと変わっていって、何がなんやら分からないけれども「とにかくいい山登りであったなぁ」とは確実に思える、みたいな。将来、モーツアルトも一時期だけ住んでいたオーストリアのリンツという都市(現在の人口は19万人)を訪ねてみたならば、そこがどんな街だったかさっぱりと思い出せないのに何だかいい感じだけが残っちゃうのかもしれないなぁ。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2014-05-28 01:17 | 草評


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