2014年 07月 01日
今まで、このシリーズは自分の愛用品とそれについての愛着なり思い入れを記してきたが、このたびは「かつて愛用していたのだが失くしてしまったもの」について書く。したがって愛着というよりも執着が先にくる。写真はかつて愛用していたのだがどこかに置き忘れてしまったルネ・フランソワ・ギスラン・マグリット (René François Ghislain Magritte)の空の絵が描かれた傘である。かつてシャラポア(妻・日本人)がプレゼントしてくれた象印(ハンティングワールド)の高級な傘をどこかに忘れてこっぴどく怒られて以来、高級な傘などもう絶対に持たないと心に決めていた私であったが、マグリット展をやっていた時の新潟県立近代美術館(長岡市)のショップで売っていたのを見つけて一目惚れをして買ったものだ。まず雨の日や雪の日に傘をさせば青空が広がるということ自体がシュルレアリスムそのものであるなぁと思ったからであった。冠婚葬祭の葬には不適切であるが、一時期は自慢気に愛用した。雨の日にこれをさしてキャバクラやスナックに得意げに行った。このように目立つというか素晴らしくアウトスタンディングな傘であれば置き忘れる心配はなく、もしも忘れたとしてもすぐに見つかるはずだと思ったものの、どこかに痛恨の置き忘れをしてしまった。どこか、なんて場所はないのだが、どこかが特定できるぐらいであれば忘れない。というわけで、外から帰ってきて水滴が付いている様子も実にシュールだなぁと写真を撮っていたぐらい好きな傘であったのだが失ってしまった。「傘を忘れるのは必ず晴れている時である」という名言なんだかマーフィーの法則なんだかわからない言葉が生まれてきたことだけが収穫であった。やはり傘をなくさないようにするためには千利休がその七則の第一にあげた「雨はなくとも傘の用意」というぐらいの心がけを常にもつようでなくてはいけないのだろう。 話にオマケを付け加えるとして、NASAが開発中の超音速旅客機が実にネギに似ているとネットなどで評判である。なるほどひと目でネギに馴染みがある多くの日本人にとっては超音速で飛ぶネギなのか?と思い、さらに見ればみるほどにネギである。念の為に解説すると、写真の上のほうがNASAの産業パートナーであるロッキード・マーティンが作成したデザインであり、下のほうがネギである。これだけでも似ているがネギの根の方の先端を細い機首を表現するように斜めにカットすればさらに似てくる感じがする。 そこでブログ記事のマグリットの傘と併せて思い出したのが「台湾製のネギの傘」のことであった。アマゾンや楽天やヤフーでは取り扱っていないのだが、なかなかいいなぁ、もっとストレートに言えば欲しいシロモノだなぁと思ってしまった。パソコン画面にこのネギの傘の写真を出している時に近くに居た末娘(8歳)に「ほら、こんな傘があるんだよ」と言ってみると笑いながらも即座に「私はスイカの傘が欲しいなぁ、外側は緑のシマシマで、傘を開くと内側は真っ赤で黒い種が描いてある傘があったらいいなぁ」と言った。うーんバカ親としてのひいき目があることを承知で、先日の雪ダルマの和菓子のデッサン画もそうだったが、この末娘の発想は独特でユニークである。絵を描いたりキャラを考えたりすることは現在は高校1年生の長女の少女時代もそうだったのだが、さらに末娘ものもは妙にプラグマティック(実用主義)でありなおかつどことなくシュールなのである。スイカの傘、絵を描かせて別注するか? 末娘に負けじと私もシュールなものの創作をしたくなったが、思いついたのは「ネギを背負った鴨の像」というオブジェを作りたくなってしまった。彫刻、というものはやったことがないので粘土細工でチェレンジしてみようかなぁ。本願他力(他力本願などという言葉は本来はないのです)を「棚から牡丹餅」という用語例で使われることには不快な思いをもっているが「幸せとは掴むものでもあるけれども基本的にはやって来てくれるものである」ということは確かであると思う。その恵みに対する感謝感激も忘れてはならない。そのやって来てくれた幸せに対して「おお!ダブルラッキー!」と叫びたくなるダイナミズムを表現するのに「ネギを背負った鴨の像」というものはなかなかいいのではないだろうか。上手くいけば粘土細工で作ったものを3Dプリンターで増産して各ご家庭で鮭を咥えた木彫の熊の置物にとってかわるオブジェとして広まっていく可能性があるのではないだろうか? と妄想の暴走をしつつ、実は私が発想する「ネギを背負った鴨の像」も「スイカの傘」も、もしかしたらすでにこの世にはあるかもしれないともちょっと思う。 ただ、大事なのは想像して創造すること。マグリットは散歩中、路上に絵を描いている子どもに出会うと、その絵を踏まないように、絵を描く子どもの作業を邪魔しないように遠回りして歩いたという。この世にすでにあろうがなかろうが「スイカの傘」の想像を私は大事にしたいなぁ。 マーヒー加藤 草煩悩バックナンバー
by kaneniwa
| 2014-07-01 14:26
| 物草
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