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2014年 07月 27日

空に浮かんでは、そっと消えていった

b0061413_035496.jpg この15年間ほど、年始回りなどの寺院としてのお正月行事が一段落した1月5日前後になると、同業者(寺院関係者)で仲のいい4家族か5家族のグループで広い新潟県内のどこかの温泉旅館に泊まり、子どもたちを含めて25人前後で新年会をやることが恒例であった。新年会の後は好きな時間に温泉に浸かりつつ、男部屋(時にはマージャンをやって過ごしたこともあった)、女部屋、子供部屋などに分かれて好きなように過ごした。うちの子どもたちもこの泊まり込みの大新年会を毎年楽しみにしていて、冬休みの宿題はお正月の三が日の間に何とか仕上げていた。そんな会の欠かせないメンバーにメグ・ライアン(日本人)が居た。「メグ」と呼べば馴れ馴れしく、「メグちゃん」と呼べばよそよそしい感じがするという微妙な距離感のなかで、ある時に顔を合わせて「よぉ!メグ・ライアン!」と声をかけたら予想外に嬉しそうな顔をしたので、それからずっと「メグ・ライアン!」と呼んでいた。ハリウッド女優のメグ・ライアン(アメリカ人)とはまったくタイプの違う美人であったけれども、美人であったことは間違いない。メグ・ライアン(日本人)は関西出身であり、慕っていた関西出身のアキ姐さんとともに関西文化の話をすると非常に喜んだ。たとえば「やっぱ土曜日によしもと新喜劇がテレビで放映されてないと一週間の生活にリズムが出んなぁ」というような話。メグ・ライアン(日本人)は基本的にはゲラ(笑い上戸)のクセに人前で大声を出して笑うことを恥ずかしいと思っているようなフシがあり、私とシャラポア(妻・日本人)のトークを笑いをこらえながら聞いていたメグ・ライアン(日本人)の表情や姿勢というのはなかなか可愛いものであった。そして、メグ・ライアン(日本人)が我慢できずにとうとう大声を出して腹を抱えて笑い出した時には、私とシャラポア(日本人)はアイコンタクトの後でガッツポーズをしてハイタッチをしたものであった。 新年会だけではなく、真夏に福島潟キャンプ場で、やはり4組みの家族での泊まり込み大バーベキューパーティを盛大に執り行ったこともあった。その時に「さあメグ・ライアン、俺の得意料理を食べてみてくれ」とダッチオーブンのリッド(蓋)を開けて丸焼きチキンを見せたら彼女は「きゃぁあああああああ!」という大きな悲鳴を上げた。そうだった、彼女は鶏肉がダメだったのだ。なのでお口直しというよりは機嫌直しということでコールマンステーキ(コッヘル123番)を作ると、そっちの方は「美味しいし、何だかオッシャレ!」と喜んでくれた。そういえばお酒はワインが好きだった。 数年前、そんな彼女が難病にかかってしまったということを聞いた。難病は治療もまた難しいものであったことは想像に難くない。ただ、恒例の新年会は彼女自身がとても楽しみにしていて、その場には元気に姿を現していたことを見て、希望的な観測も含めてではあるけれども治療が功を奏していることを感じていた。最近になって彼女は4日間の予定で実家に静養のために帰った。お子さんたちを含むご家族に「すぐに帰ってくるからね」と言って。そしてそれはその通りになった。ただし遺骨という形になって。 つい最近、新潟空港から大阪の伊丹空港へ行く飛行機に乗った。彼女が帰省の時にはいつも使っていたであろう路線だ。機上から見るトワイライトのなかに、笑いを堪える彼女とこらえきれずに笑い出す彼女の顔が浮かんではそっと消えていった。

合掌 マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2014-07-27 02:05 | 草仏教


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