2014年 10月 05日

コッヘル247番 りんごとチーズクリームオムレット

b0061413_11123100.jpg 非常にしっとりとしたチーズ生地はふわふわであり、新潟県産牛乳を使用したホイップクリームとチーズクリームが内包されている。そしてこの逸品のご本尊として鎮座しているのがカラメルで味付けをしたリンゴである。この極上デザートの作者はいったい誰なのであろうか?ジャン・ミエか、ジャン=ポール・エヴァンか、ピエール・エルメなのか、はたまた辻口博啓かそれとも妻の血が赤ワインで出来ているという鎧塚俊彦なのか?そのいずれでもなかった。新潟県立中央高等学校とコンビニ大手のサークルKサンクスとが新潟県内産の食材を使いつつ共同で商品開発し、176円(税込190円)で新潟県内のサークルKサンクスの店舗で今月の20日までの限定販売のスイーツである。地域限定(新潟県内)で期間限定(今月20日まで)ではありますが、この極上デザートが何と2ユーロ以内ですよ!円安の今では2ドル以下なんですよ!とはいってもこういうデザート類は「お得で、安い」ということは主題ではない。世に流通する商品である限りは原価率などのコストパフォーマンスも大切であるが、お得であることは感動することの世界ではオマケに過ぎない。感動するには「物語」のようなものが必要である。たとえば伝統的な京菓子でさえも新作であった時代はあったわけで、そこには春夏秋冬というサイクルに彩られつつ、そのお菓子を囲んで語り合われるであろうストーリーのようなものがあって極上デザートはさらに至高の嗜好として愛されていくのである。新潟中央高校に通う長女がその帰り道に家族分の「りんごとチーズクリームオムレット」を買ってきた。長女はこの商品の開発にタッチしていたわけではないけれども、その誇らしい気持ちのままに語られる学園ストーリーはこのコンビニ商品に深みを与えてくれる。

b0061413_1115342.jpg 長女が通う新潟中央高校は1900年5月1日に新潟県高等女学校として設立され、114年の伝統がある。学究コース(特別進学)、普通科、音楽科と調理師免許が高校で取得できる食物科がある。今回のこのコラボ商品については調理、栄養、食品、食品衛生、食文化、公衆衛生、衛生法規などを専門的に学べるこの食物科の存在が光っているようである。 今年の6月に「中央祭」と呼ばれる体育祭を父兄として見学させてもらったのだが、私はこの学校のファンになった。特に数少ない男子生徒たちの大ファンになってしまった。公立高校はco-education(男女が共に学ぶこと)の方針からこの新潟中央高校もすべての学科に男子も出願できるのであるが、やはり歴史ある女子校であった伝統から男子生徒の数は少ない。それでも特に音楽科と食物科に関しては精鋭の男子が「その専門分野を極めたい」とその門を叩き、乙女坂と呼ばれる正門前の坂を登って通学している。体育祭では連合ごとの男子バージョンの衣装を身にまといつつ、生徒会の歌などは乙女チックな振り付けを何かに耐えているような表情で黙々とこなす。しかしながら音楽科があることもあってすべての音楽は生演奏であり、体育祭の応援歌であっても高度なハモリを効かせるところにその存在感を存分に示し、リレーなどの体育競技ではまさに各チームのキーマンとして乙女たちの声援を浴びつつ輝きを放つ彼らに心底感動した。「男のなかの男」というよりは「女のなかの男」という感じはするが、武士(もののふ)という表現はももいろクローバーZのサポーターよりも彼らにこそ相応しい。写真の商品の右下には校章であるイカリのマーク(海が近いのです)が入っている。 このコンビニデザートを食べながら長女とした話は「あのね、ソフトボール部で内野手をしていて福岡ソフトバンクホークスの大ファンのクラスメイトの女の子がね、うちのお父さんと野球の話がしたいって言っているんだよ」「そうか、じゃあ今度うちに遊びに来てもらって、大阪球場を本拠地にしていた時代からのホークスの歴史について55分間の特別授業をしてやろう」というようなものであった。会話がはずむこと、その会話のなかにわずかでも甘さがあること、それがデザートの真骨頂であり醍醐味ではなかろうか。



マーヒー加藤

コッヘルバンクナンバー
[PR]

by kaneniwa | 2014-10-05 11:40 | 草外道


<< 草仏教掲示板(72) 「花子と...      名曲草鑑賞(46) ボブ・ディ... >>