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2015年 03月 01日

石川一雄さんに会ってきました(3)

b0061413_2326168.jpg 狭山事件の再審を求める現地事務所内には、すでに焼失されている石川一雄さんの当時のご自宅が再現されていた。これは焼失された家の設計図が大工さんのところに残っていたために、その設計図にしたがって当時の家を映画の舞台美術チームが力を貸して忠実に再現したと伺った。この家が再現されたことによって石川さんの強要された自白のなかのつじつまが合わない部分が浮き彫りになってくる。これもひとつの「映画の力」であると感じた。この再現された家を訪問させていただいた数時間後、新幹線のなかで読むために何気なく書店で手にとった町山智浩著の『USAカニバケツ/超大国の三面記事的真実』という本の冒頭部分にウエスト・メンフィス3と呼ばれる事件について、それはホラー好きやオカルト好き、パンクロックやブラックメタルと呼ばれるものを愛好していた青年三人が犯人に違いないという偏見に基いての冤罪事件ではないかということをドキュメンタリーとして撮った『パラダイス・ロスト』という映画の紹介であった。ロックバンドのメタリカはこの映画のためにオリジナル曲を提供し、俳優のジョニー・デップはアメリカのCBSのテレビ番組で三人の無実を訴えた。

b0061413_23262350.jpg 忠実に再現された石川さん宅の鴨居である。強要された自白によれば、この鴨居から被害者の女子高校生が所有していたピンク色の万年筆が見つかっているという。私の写真では赤いサインペンとなっているが、ピンク色の万年筆であれば目立つことには違いがない。私は179センチの長身ではあるが、別に脚立や椅子の上に乗って撮影したのではなくてその場で背伸びをしての撮影だ。1963年の5月1日に事件が起こり、石川さん宅から女子高生が所持していた万年筆が発見されたというのが2ヶ月近く経った6月26日のことである。その間に、捜査が行われていなかったわけではなく、少なくとも2回の家宅捜索が10名以上のプロの捜査員によって行われている。実際にかなりの時を経てからになるけれども1986年の11月12日にはその家宅捜索に関わった元刑事7人が「鴨居に万年筆はなかった」と証言し、1992年の7月7日に第1回の家宅捜査に関わっていた元刑事が「鴨居は捜査済みであった」と証言をしている。その万年筆には当然のごとく石川さんの指紋は付いておらず、しかも入っていたインクは前日まで被害者であった女子高生が使用していたライトブルーのインクではなくブラックブルーのインクであったという。 狭山事件について知れば知るほどに、なぜこれで有罪判決が出るのか分からなくなってくる。他にも色々なものがあるのだが有罪証拠というもののほとんどが石川さんの無罪を証明しつつ、改ざんと捏造の方の証拠となっているとしか見えないのだが、この鴨居にあったという万年筆はまさにその筆頭である。他にも数多くのことが裁判記録を読むだけでもその不自然さは実感できるのであるが、こうして「映画スタッフの力」というものもその無罪を証明する力に加わって焼失された石川さんの家を忠実に再現していることに無条件に感銘を受けた。その感銘が感動に変わるのは、実際に再審(裁判のやり直し)が行われて石川一雄さんの無罪判決が出る日である。


加藤 真人 (ブログ文)
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by kaneniwa | 2015-03-01 23:25 | 草評


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