2015年 04月 25日

コッヘル272番 筍(タケノコ)のポタージュ

b0061413_6515010.jpg かつてマキシム・ド・パリ東京(銀座)のフランス人料理長が、筍(タケノコ)を使ったポタージュスープを作って好評を得たという話をどこからか聞いたことがあった。今年も筍の季節がやってきて、このコッヘルシリーズでも筍料理はすでに30作ぐらいを数え(素材別で断トツのナンバー・ワン)、毎年「筍料理はもはやネタ切れか」と思いつつ、年間を通じて筍料理のレシピには意識を向けているのでネタはまだまだ枯渇しない。「筍のポタージュか、よし、次の旬には作ってみるか」と、今年のお正月ぐらいからずっと思ってきた。 掘りたての筍を皮付きのままに大鍋で水から茹でて沸騰してから8分ぐらいで火を止めて、冷めたら皮を剥いて1センチ角ほどに切っていく。そして、普段は洗うのが面倒くさくてあんまり使わないフードプロセッサーをつかってきめ細かくする。中型の筍3本をそうやって、バターで炒めた玉ねぎにコンソメスープを加え、さらに塩と牛乳と生クリームを加えて弱火で煮た。最後にハーブとして境内に生えている山椒の木から葉っぱをいただいて手のひらの上でペシペシと叩いて香りを出してスープに浮かべる。 飲んでみて心底驚いた。いかに掘りたての筍を使ったとはいえ、こんなに鮮烈なスープがあったのか、と思った。ただ、筍であるという先入観なしでは何のスープかわからないと思う。コーンポタージとかビシソワーズ(じゃがいものポタージュ)に近い感じもするが、筍から濃厚な出汁のような成分がにじみ出るので、むしろクラムチャウダーを連想したりする。連想はするけれどもやっぱり違う。ただ、クラムチャウダーの貝を連想させる生命力を強く感じる。なるほど、フレンチのコースのなかで出てきてもその完成度は高い。牛乳に加えて生クリームも入っているので和風の要素はほどんどなくフレンチである。 私が「このポタージュスープは傑作だなぁ」というと、長男から「ポタージュはフランス語でスープの意味だから、ポタージュスープという言い方はおかしいよ」と注意される。なるほど「いにしえの昔」とか「危険があぶない」などという重複表現ということか。いいではないか、マキシム・ド・パリというパリ以外にあっては違和感がある店名(早稲田や青山学院など地名由来大学もそうだな)に「東京」だの「銀座」だのついているんだもの。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-04-25 07:22 | 草外道


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