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2015年 06月 10日

コッヘル280番 サンマの炊かず飯

b0061413_22101522.jpg 『同朋新聞』という真宗大谷派(東本願寺)宗務所出版部発行の月刊新聞の今月号(6月号)に2面(2,3面)にわたって上田勝彦さんのインタビューが掲載されていた。最近、私にはいろんな分野で「年下の師匠」というべき人が増えてきたような気がしているが上田勝彦さんは直接の面識はないものの私にとって「ひとつ年下の魚料理の師匠」とさせていただいている。上田勝彦さんは漁師を経験した後に水産庁に勤務する。いわゆる「お役人さん」となった。(現職はウエカツ水産代表で東京海洋大学客員教授)まずは漁師さん経験者が水産庁に勤務するということが素晴らしいと思った。他の省庁でも天下りとは正反対の流れがもっとあっていいのではないだろうか?それはともかく魚を知っている上田勝彦さんのレシピは文化の結晶でもあり合理的でもあり「魚を食べてきたDNAも喜ぶ」という料理が多い。すでに水産庁勤務時代からの仕事である「魚を食べる文化を再興しよう」という一種の啓発活動、PR活動として作成された資料が水産庁に残っていた。 このなかの【炊くか炊かぬか“炊かず飯”】の項目を、上田さんの一切の無駄がない趣旨説明とレシピを引用させていただこう。 魚を用いた炊き込みご飯は、鯛飯などのように出来立てはおいしいものですが、冷めると急に生臭くなってしまうのが難点。これは、100 度以上の高温で長時間加熱することによって、冷めた時に脂が酸化しやすくなるからです。炊くときの調味料の合わせ方も悩ましいところ。そこで、炊き込まずに、調味料の分量も気にせずに、冷めても生臭くならない魚のご飯を伝授いたしましょう。① ご飯は研いで吸水させてザルに上げておく。② タイ、サワラ、スズキ、サケ、マグロ、カツオ、その他刺身の残りなどを 5 ミリ程度の粗みじん切り、粗塩と酒少量を加えて、干物程度の塩加減に調味しておく。なお、この状態でジップロックに入れて板状に伸ばして冷凍しておけば、流水で解凍するだけで、いつでも魚のご飯が楽しめます。③ 固めの水加減で飯が炊き上がったら、魚を飯の上に加え、玉にならないようざっくり切るように魚と飯を混ぜ合わせ、蓋をして 3 分置く。④ みじん切りのネギや大葉、三つ葉など、好みの香味野菜を加え、混ぜ合わせて再度蓋をして 1 分おけばできあがり。味が薄ければ薄口醤油で追加調味を。⑤ 1 回食べ終わったら、保温のままにせず別容器に移しておけば臭みも出ないので、翌日の朝食や弁当、茶漬けや、冷凍しておいて焼き飯などにも使えます。 これは揶揄するのではなくて賞賛の意味での「霞ヶ関文学」である。 このメニューは新サンマが出てくる晩夏から秋にご紹介させていただこうと思っていたのだがやってきた「魚の炊かず飯」のなかでも特にサンマが最高だったので紹介を少し早めた。2日間にわたってこの「サンマの炊かず飯」を食べてサンマ好きの私のサンマ観が見事に変わった。サンマは焼いて熱々のうちに食べるのが最高であると思っていたが「炊かず飯」の世界を知ってしまうと「焼き魚としてのサンマは確かにものすごく美味しいが、それは熱々から熱いまでを保つ間のほんの15分間ぐらいのタイミングで美味しいのであり、温いから冷たいものへと成ったらそれはあまり美味しいものではないものに変化していた」ということに冷静に気がつく。この「炊かず飯」は時間が経っても美味しさはまったく変化しない。熱々の焼き魚の魅力も私は一生捨てるつもりはないけれども「サンマでご飯」ということになれば私はこの「炊かず飯」をチョイスしていくことになるだろう。 最後に『同朋新聞』を読んで親鸞聖人と上田勝彦さんの共通点をひとつ発見した。インタビューのなかで上田さんは「単なる島の連なりに見える我が国は、実は六千以上の島からできていて、海岸線が米国や豪州よりも長い」と述べていらっしゃるのだが、親鸞聖人の国土認識もまた「粟散片州」(源空和讃・真宗聖典499ページ)なのである。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-06-10 23:08 | 草外道


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