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2006年 02月 23日

荒川選手と安藤選手のショートプログラムBGM比較

昨日、(と言っても10分前)フィギアスケートの選手にがんばれと言っても
何をがんばれと言っていいか、わからないと書いた。

ジャンプの方法ひとつにしても、アクセルというのは唯一前向きに飛ぶのでわかるが、
あとは何がループで何がサルコウで、トーループでフリップでルッツかわからない。
アナウンサーか解説者が言うまでわからない。

しかし、フィギアスケートというのはジャッジ(判定員)だけが見るのではなく、
(TVの前を含めて)観客が見る。着地の成否だけでなく、出来の良さ、
美しさなどは感じることができる。そしてまた、荒川、村主、安藤の三選手は、
観客に何かを感じて欲しい、喜んで欲しいという発言をくり返してくれていた。

そういう意味で、あくまでフィギアスケートは素人であるが、
演技とBGMが合っていたかどうか、ということは語ることができると思う。

安藤選手がショートプログラムに選んだのは坂本龍一作曲の戦場のメリークリスマスだった。
年末のNHK杯だったか、ちょうどクリスマスの日に、安藤選手はやはりこの曲で
ショートプログラムをやっていたので、かなり滑り込んでいるように思う。

私も昔に京都の映画館で戦場のメリークリスマスを観て、ストーリーの詳細どころか
大筋さえあやふやになっているにもかかわらず、この坂本龍一の作った曲は忘れていない。
名曲だと思うが、フィギアスケートの演出には難しすぎると素人ながら思った。

その理由の第一は音質である。ドルビーサウンドシステムの行き届いた
映画館のなかと違って、スケートリンクという場所では、(テレビのスピーカーなんかを
通して何がわかる、と言われそうだが) 明らかに、無指向性スピーカー特有の歪んだ
ピアノの音がした。非常に極端に言えば、昔、メガホンを通して聴いたラジオ体操の
伴奏のピアノの音質である。まあ、さすがにそこまでは酷くはないけど。

また、メロディは、オリエンタル(東洋)の魅力たっぷりの静かな曲だが、その分、
メリハリのある動きには、どうも合わない気がする。映画のなかでさえ、この曲は
静かなシーンにくり返し使われていた。ジャンプする、スピンするというような激しい
動きに、どうも合わない感じがした。

あのワダエミさんデザインの重厚な感じの衣装を着こなし、戦場のメリークリスマスを
踊りこなす、という難しいことができるのは、これも勝手な感想だが、ショートプログラム2位
のロシアのスルツカヤ選手ぐらいじゃない?という印象がある。

荒川選手の選曲は、ショパン作曲の幻想即興曲だった。荒川選手は1ヶ月前に
ショートプログラム、自由演技ともに曲を変えた(ということは演出も変えた)という
ことらしいが、この幻想即興曲は自由演技に使っていたものを短縮して使ったそうだ。

まず、もとはピアノ曲とはいっても、こちらはピアノの音がしないオーケストラ版の編曲だ。
やっぱりオケの音はスケートには得だと思う。これは勝手な主観だが、やはり弦楽器が
固まりで流れるように聞こえてくる音とスケートの滑るイメージは非常にマッチする。

即興曲という、たぶんショパンが即興でピアノを弾いてみて作ったこの曲は、
めまぐるしく展開するフィギアの演技に非常にマッチしている。
(もちろんマッチさせる荒川選手の技量がスゴイのだけど)
ジャンプ、スピンはもちろん、微妙なバランスを保ちながら滑るシーンにも
スリリングさを観る人に重ねていく印象だ。

もちろん、これは特別な用途でのBGMとしての感想で、今、部屋でどっちを
聴きたいかといえば、弦楽にアレンジされたショパンよりも坂本龍一が断然いい。

さて、荒川選手が変えた自由演技の曲がプッチーニ作曲の 「誰も眠ってはならない」で、
プッチーニ作曲を選んだということはイタリア開催のオリンピックを意識しての
ことだと単純に思うが、この曲が開会式で世界三大テノールの一人である
パパロッティによって開会式に歌われたという偶然には荒川選手自身が驚いた
という。

自由演技の生中継は日本時間では午前2時頃からの中継ということになりそう
だけど、誰も眠ってはならないというのは、こりゃキツイっすね。


マーヒー加藤  草仏教ホームページ

by kaneniwa | 2006-02-23 00:13 | 草評


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