2006年 08月 28日

人類の基本的関数を身近なところで考える (6) 映画編

カナダの歴史学者であるウイリアム・アーヴィン・トンプソンは、
世界の狩猟民族の形態を研究し、試行錯誤のうちに最終的に身につける
四つの役割を 「人類の基本的関数」 と呼んだ。

その四つの役割とは、
頭目(指揮官)祭司(作戦参謀)狩人(兵士) そして道化(トリックスター)である。

さて、今回は、黒澤明監督の3時間27分の超大作、『七人の侍』を例にとって考えたい。
『七人の侍』は、締めのセリフまで同じという、『荒野の七人』をはじめ、多くのハリウッド映画
にも影響を与えた映画である。マーヒーは、けっこう『ポリスアカデミー』なんかもこの影響下
にある映画ではないかと思っている。

さてさて、七人の侍の登場人物とその設定を簡単に整理してみると

島田勘兵衛(志村喬)   絶対的リーダーで、まさに頭目であり、まさに指揮官である。
七郎次(加藤大介)     勘兵衛の旧友、沈着冷静な作戦参謀
岡本勝四郎(木村巧)    美白の若侍 純粋な性格
林田平八(千秋実)     絶対絶命のピンチに活躍するひょうきん剣士
久蔵(宮口精二)       寡黙な剣豪であり、求道者タイプ
片山五郎兵衛(稲葉義男) 地道な熟考タイプ
菊千代(三船敏郎)      武士でもなく農民でもない まさにトリックスター

という具合になる。菊千代(三船敏郎)というキャラクターは、この脚本の制作中に、
「農民でもなく、武士でもなく、この二つの世界を自在に行き来できうる存在の必然性」に
気がつき加えられたキャラクターであると聞いているが、これが日常と非日常を自在に
往来できるという、トンプソン博士の定義するトリックスターの特徴と合致する。

おそらく、その最終段階の脚本に行き着くまでは、林田平八あたりの役割にトリックスター
の要素を盛り込むようにさせたかったのではないかと考えるが、トリックスターは単なる
道化役ではなくスターであり、菊千代の存在でこの映画は超大作になったと考える。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2006-08-28 11:56 | 草評


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