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2007年 02月 14日

釈尊(お釈迦さま)の沈黙

ジョン・ケージの4分33秒について書いて、しばらく、
何となく「沈黙」ということについて書いてきたので、久しぶり(なんですね)に、
法語掲示板以外の「草仏教」のコラム(記事)を書いてみようと思う。

『観無量寿経』(かんむりょうじゅきょう)というお経を読経した後で、
「いやぁたいへんにありがたいお経をありがとうございました」などと言われると
少し複雑な気持ちになる。
仏説(お釈迦さまが説かれたお経)なので有難いのは間違いないとして、
こういう会話での「ありがたい」には違和感があるほどの、
現代から見ても非常に血なまぐさい事件を背景としている経典なのだ。

これはダイバダッタという男がインドのアジャセ王子に秘密の過去をバラし、
(これは長くなるので省略します) 怒り心頭のアジャセ王子は父のビンバシャラ王を
牢屋に閉じこめた。そこに王妃はでっかいイヤリングにぶどうジュースを入れ、
体に蜜を塗り込んで王にペロペロ舐めさせて命をつないでいたのがバレてしまい、
アジャセ王子は母のイダイケ夫人を殺そうとして剣に手をかけるが大臣に止められる。
そしてイダイケ夫人本人も王宮の奥深いところに軟禁されてしまうのだ。

 ※ 観無量寿経の序段をわずか6行でムリヤリ書いてしまいましたが、
   どうかご容赦ください。 

その失意のどん底でイダイケ夫人は釈尊(お釈迦さま)と対面することになった。
お釈迦さまを目の前にしたイダイケ夫人はまずイヤリングを投げ捨て、身を投げ出して
号泣する。そして、お釈迦さまに言ったことは超訳ではあるが、次のようなことである。

・なんかこの私が悪いことをしたのでしょうか・・・こんな悪い子を産んで・・・
・息子をそそのかしたダイバダッタはあなたの従兄弟(いとこ)じゃないですか!
 なんでまたお釈迦さまがあんな奴と親戚なんですか?

おそらく実際の現場(さまざまな検証から、実際にこの事件は起こっている)では、
もっといろいろなことを言ったと思う。

さて、それに対するお釈迦さまの応答は・・・少なくとも『観無量寿経』には書いていない。

おそらく、どれぐらいの長さかはわからないが、お釈迦さまは沈黙していたのだ。

その沈黙が破られ、お釈迦さまが説法をするのは
イダイケ夫人が(これも超訳であるが) 
「こんな私はどこに行けばいいの?」
という問いを発した時である。

なぜ、お釈迦さまは沈黙していたのだろうか?
言葉がなかったので沈黙するしかなかったのか?
沈黙そのものが答えということなのだろうか?
イダイケ夫人の心が開かれるまで沈黙して待っていたのだろうか?
聞く人の資質に合わせてお話をするということを対機(たいき)説法というが、
これがホンマのたいき(待機)説法、ということなのだろうか?

その答えは風のなかにあるのでマーヒーにはわからない。


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2007-02-14 00:46 | 草仏教


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