2007年 03月 13日

大人のための子ども向け映画講座 (3)

これは、まだ子どもが2才の長女だけの頃だったので、2001年の秋のお話だ。
2001年の夏に、はじめて2才の娘に宮崎駿アニメの『となりのトトロ』をビデオで
見せた。2才半といった頃なので、ストーリーのようなものが理解できるかどうかと
思っていたが、娘にトトロの影響力は絶大で、トウモロコシを食べたがったし、
新鮮なキュウリを見ると「めいちゃんみたいに食べるぅ」と言って丸かじりをした。

何だか、その様子を見ていると、木を育てる力をもつトトロというのは、何だか
生命力のようなものの象徴のような気がしてきた。
子どもの味覚はバカにできない。それまでも、鮮烈な生命力をくれる新鮮な
旬の味には子ども大人より敏感なのかもしれないと思っていた。
正確に言うと味よりも生命力というものに直感的に敏感なのだ。

当時は3人家族でアパート暮らしをしていたのだが、夏が過ぎ秋が来て、
トトロを見てから3ヶ月か4ヶ月後という頃にマーヒーの妻が急性の腸炎で突然倒れ、
すぐに夜中に診断→検査入院→入院、ということになってしまった。
結果的に10日ほどの入院生活となった。この腸炎の原因はいまだによくわからないが、
手術のようなものはなしに幸いに10日目で完治して帰ってきてくれた。

今になるといい経験でもあったし、いい思い出のように感じることもできるようになったが、
しかし、その時はまいった。たまたま私の実家にも妻の実家にも用事が押し寄せ、
お互いの両親の体調も良くなかったので応援をたのむことができなかった。

車で10分ほどの場所にある保育所が、事情を聞いてくれて
朝の8時から夕方の6時30分まで娘をあずかってくれることになったので、
毎日保育所に送り、仕事に行って夕方の6時30分に迎えに行って一緒に
スーパーに買い物に行く生活が10日間続いた。
娘は、毎日、コーンスープを買ってくれとせがんだ。
トウモロコシが、いちばん生命力を与えてくれる食べ物だと、トトロを観て、
教えられたのだろう。
マーヒーは、家事のなかで料理だけはもともと得意分野であったのだが、
娘の要望で必ずコーンスープが付く夕食を毎日食べていた。

娘と二人で風呂に入る時、どうしても意気消沈(いきしょうちん)している娘を見て、
マーヒーもふと
 「そうだ、こういう時こそトトロに出てくる、あのパパみたいにならなきゃ」
と思って、バカ笑いをしながらお風呂のなかで娘と水遊びをした。
しばらく二人で笑いながらお風呂に入っていたが、娘は半開きになっていた
お風呂の窓から月が出ている外に向かって、突然
 猫バス来て~、猫バスぅ、ママのところに連れていって
と、大泣きしながら叫びはじめた。

そして、泣きじゃくりながら、

 ママがいないと楽しいことが楽しくない

と言った。このひと言は、このマーヒー、たぶん一生忘れない。
病院には、(もしかしたら伝染性の難病かもしれないので)お見舞いに来ても
面会はできないと言われていたが、泣きじゃくる娘を抱きしめて
「パパが猫バスになってやる」 と何度も言った。
何度も言ううちに、こっちもすっかり涙腺がやられてしまった。

結局、原因はよくわからなかったのだが、伝染性のものではないということが
わかり、腸にも異常が見つからなくなって妻は10日目に退院した。
退院の日に(その前日にもようやく許可が出て娘とお見舞いに行けたのだが)
ようやく猫バスになれたパパは車に娘を乗せ、帰りは3人でトトロを歌って帰った。

お医者さんからも「今日は軽めのお食事にしてください」と言われていたので、
妻が退院したその日の夕食は・・・コーンポタージュスープ。


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2007-03-13 00:17 | 草評


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