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草仏教ブログ

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2007年 06月 08日

超訳徒然草・吉田くんのブログ(第139段)

家に有りたき木は、松、櫻。松は五葉もよし。花は一重なるよし。
八重櫻は奈良の都にのみありけるを、此の比ぞ、世に多くなり侍るなる。
吉野の花、左近の櫻、皆一重にてこそあれ。八重櫻は異樣の物なり。
いとこちたくねぢけたり。植ゑずともありなん。遲ざくら、又すさまじ。
蟲の付きたるもむつかし。
梅は白き、薄紅梅。一重なるが疾く咲きたるも、
重なりたる紅梅のにほひめでたきも、皆をかし。
遲き梅は、櫻に咲きあひて、覺え劣り、けおされて、枝にしぼみつきたる、心憂し。
「一重なるが、まづ咲きて散りたるは、心疾く、をかし」
とて、京極入道中納言は、なほ一重梅をなん軒近く植ゑられたりける。
京極の屋の南むきに、今も二本侍るめり。
柳、又をかし。卯月ばかりの若楓、すべて萬の花紅葉にもまさりてめでたきものなり。
橘、桂、いづれも木は物古り、大きなるよし。

草は山吹、藤、杜若、撫子。池には蓮。秋の草は、
荻、薄、桔梗、萩、女郎花、藤袴、紫苑、吾亦香、刈萱、龍膽、菊、黄菊も。
蔦、葛、朝顏、いづれもいとたかからず、ささやかなる牆に、繁からぬよし。
此の外の世に稀なる物、唐めきたる名の聞きにくく、花も見なれぬなど、
いとなつかしからず。

大方、何も珍しく有り難き物は、よからぬ人のもて興ずるものなり。
さやうのものなくてありなん。

(吉田兼好法師 『徒然草』 第139段)

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家庭に植えておきたい樹木といえば松とサクラだね。
松は五葉の松というのもいいもんだね。
サクラは一重のものがいいね。
八重桜は昔は奈良の都にだけあったのに、最近は大ブームだね。
あの有名な吉野山の山桜も、宮中の左近のサクラもみんな一重である。
八重桜というのはスタンダードではないよ。
あくどくて、何だか素直じゃないって感じかな。
別に植えなくてもいいだろう。
遅咲きのサクラも、季節違いのような感じで興ざめだね。
毛虫にまみれて咲いているというのも気味が悪くてマイナスポイントを加算。
梅の花は、白と薄ピンクのものがいいね。
その白いのが、やはり花が一重なのが、単発の時期よりも早く咲いているものいいし、
八重の薄ピンクのものがいいアロマを放っているのもナイスだ。
遅咲きの梅はサクラの満開シーズンと重なってしまって、世間からは圧倒的に
サクラの方がもてはやされるから、何だかサクラに圧倒されている感じで、
情けなく枝にしぼんでくっついちゃっているような感じ。
「一重の花びらの梅が、他の花より先に咲き出して、
やはり他の花よりも先に散っていくというのは、気が早いやつみたいでおもしろい」
藤原定家くんだが、彼もやはり一重の梅を自宅の軒の近くに植えていた。
藤原くんの家の南側には、今でも二本あるようだ。
柳の木も、なかなかのエンターティナーだ。
陰暦だけど四月頃の楓(かえで)の若葉は、この世の中の、どんな花や紅葉よりも美しく
ものすごくナイスだ。
橘(たちばな)や桂(かつら)といった樹木は古木でなおかつ大木なのがいい。

草と言えば、山吹(やまぶき)、藤、かきつばた、なでしこがいい。
池の水草は、はちすッス。
秋の草はおぎ、やはぎ、すすき、ききょう、はぎ、おみなえし、ふじばかま、
しおん、われもこう、かるかや、りんどう、菊がナイス。
それから黄菊もナイス。
つた、くず、朝顔もナイス。
どれも、これも伸びきっていなくて垣にやたら生い茂っていないのがいい。
このほかの植物は、珍しすぎるものや、中国から来た外来語が難しすぎたりして、
そして滅多には見られないものなんかには全然親しみがわいてこない。

だいたい、珍品をもって喜ぶのはお馬鹿さんである。
そんなもん、もたない方がいい。

超訳BYマーヒー

by kaneniwa | 2007-06-08 16:54 | 徒然草


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