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2007年 10月 07日

正力くんとナベツネくん(2)

さてさて、年代をあっちこっちに飛んで正力松太郎さんが
1924年に読売新聞の経営権を買収してすぐに社長に就任し、
1934年 大リーグ選抜チームを招聘して巨人軍を創立する
というあたりまで前回は書いたでしょうか。

正力松太郎さんが読売の社長になったのは1924年。
この年は大正13年で、甲子年(きのえねのとし)
という年にあたり、あの甲子園球場が完成する。
甲子園の名の由来はここにあるのだね。
昨日の松坂大輔の投げたレッドソックスVSエンジェルスの
試合をちらりと見ていたら、ボストンにフェンウエイパーク(球場)が
できたのが1914年ということなので、同じ大正時代のことで、
日本の野球の歴史も深いなぁと思う。

この頃の野球の状況というのはよく分からないが、
1925年には若き日の昭和天皇の強い希望で
「宮内庁野球班」というチームが結成されている。
昭和天皇と野球との関係は、あの長島茂雄選手のサヨナラホームランで
締めくくられた「伝説の天覧試合」のみで語られることが多いのだが、
なーんだ、元々野球がたいへんお好きだったのだ。
戦中・戦後、やはり野球がアメリカ文化発祥のスポーツであるから、
相撲と違って純粋に「野球が好きだ」とは言いにくい立場に
おられたのだと思う。
「宮内庁野球班」の主な対戦相手は安田生命のような
今でもある実業団チームの他、変わったところでは
歌舞伎役者の「尾上菊五郎のチーム」との対戦もあったらしい。
今でいえば「たけし軍団」のようなチームだったのだろうか?

さてさて読売グループのトップとしての正力さんの企画者というか
プロデューサーとしての才覚は1924年の社長就任直後から発揮される。

読売社長就任直後に「納涼博覧会」を企画している。
国技館の中にお化け屋敷を作るという興行であるが、
強引に周囲の反対を押し切り、結果は大成功。
その興行でかなりの利益を出し、下町一帯に読売の名を知らしめたらしい。
巨人軍が誕生する10年前の昭和の初期のお話だ。

さて、調べれば調べるほどにおもしろい正力松太郎さんなのだが、
マーヒーは揚げればきりがない正力松太郎さんのすべての経歴の
なかで、この「国技館でお化け屋敷」(納涼博覧会)というものこそ、
最重要のエピソードだと思う。
この「国技館でお化け屋敷」の発想は、後の「武道館でビートルズ」や、
「後楽園で天覧試合」という発想の原点でもあるような気がするのだが、
そもそも
日本テレビの本質はお化け屋敷
と定義してみると、
なぜかとてもスッキリと腑に落ちる感触があるのだ。
その日本テレビの初代社長(1952年就任)も、この正力松太郎さんだ。

日本テレビは怪談が好きである。
日本テレビはおどろおどろしいものが好きである。
日本テレビの番組は、よくできたものほど見せ物小屋的である。
日本テレビはフリークスが好きである。
この特徴は2007年の今においても「隠れた伝統」のようなものとして
継承されているのではないだろうかと推論する。
たとえば「ビックリ人間大集合」というようなタイプの企画番組、特集番組を
好んで放映するのはどこの民放局かといえば今でも日本テレビである。

よくテレビを観ていた頃をふりかえってみれば、
「TVジョッキー」の「奇人変人コーナー」というのも日本テレビだったし、
プロレス中継の全盛期でいうならば、テレビ朝日系のアントニオ猪木の
「新日本プロレス中継」に比べて、ジャイアント馬場の「全日本プロレス中継」
の、特に外国人レスラーの扱いや演出が「お化け屋敷的」だったと言える。
アブドーラ・ブッチャーというプロレスラーの入場曲にあのピンク・フロイドの
「吹けよ風、呼べよ嵐」を選曲したセンスなどは、これは優れたお化け屋敷の
演出だったように思う。

批評として、的を得ているかどうかは別として、
今の巨人(ジャイアンツ)には「怪物がいない」という指摘ができる。
優秀な選手が集まっていることは一目瞭然だが、その分、主力バッターが
特大ホームランを打っても驚きがない。
活躍するのが当たり前のような経歴の選手ばかりで
怪しい奴が全然いないのだ。

長嶋茂雄選手の現役時代は、「何をしでかすかわからない人」という
ワクワク感とハラハラ感があった。
王選手は、一本足打法という変則フォームのホームラン王だった。

かつて、ホンモノのお化け屋敷もあった後楽園には江川という怪物がいたが、
東京ドームでは引退試合でスローボールを投げるだけに終わった。

怪物・江川が去った後の東京ドームに「ゴジラ」という怪獣が久しぶりに現れたのだが、
その活躍の場は主にニューヨークに移った。

甲子園にはまだ魔物が住んでいるらしいけれども、
後楽園にはくつろげる温泉はできたけど怪物がいなくなっちゃった。


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2007-10-07 05:35 | 草評


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