2008年 06月 24日
アメリカ人から心土不二(身土不二)を教えていただいた
敬和学園大学の准教授マーク・フランク先生
「食育がつくる健康な心と体」
と題された講演会が、近くの教会(プロテスタント)で
昨日あって、聴講無料ということもあり、妻から
「手が空いたら来なさいよ」
と言われていたのだが、その時間になったら
本当に急に空白の時間ができ、
こりゃ聞いた方がいいということだろうなぁ、と感じて
行ってみれば、「来てよかった」 ということになった。

防備録のようなことにこのブログを使うのは何だが、
このブログで漠然と書いてきたようなこと、
漠然とながら考えてきたことを掘り下げてくださるような
内容が多かったので、これはよい機縁を得たと感じている。


まず、マーク・フランク先生の日本語が素晴らしかった。
「お上手」 というほめ言葉はすでに失礼であって、
非常にマイルドでジェントルな印象がある。
最近の日本人でも、こんなに優しい雰囲気をもった日本語を
使う人は少ない。

おそらく、新発田市の上赤谷という山里にご在住であるということと、
マーヒーと同じく、ご伴侶が日本人女性であるということだったが、
その奥さんの使われる日本語がとても優しいのだろうと思った。

マーク先生自身の好物ベスト4が、

1、 納豆
2、 味噌
3、 (自家製)たくあん
4、 ぬかいわし

ということで、これは事実であるだろうが、ちょっとズルイと思った。
ズルイというのは、たった2分間で、発酵食品に関心を寄せ、
いかに日本という国と現在住む地域になじんでいるかを、これだけで
すぐに語ってしまえることが、不正という意味ではなく、「いいなぁ」という
意味でズルかった。
ちなみに、なれずし(飯ずし)も好物で自作されるそうだ。

マーヒーなんて、納豆を食べられるようになったのが社会人になって
からですよ。今はけっこう好きですが。

そして、いちばん近い海まで車で11時間で山も遠いという、
カンサス州の大平野で生まれ育ったマーク・フランク先生
の口から、その優しい語り口で新潟県の山と海の
美しさを絶賛されると、これでは好感をもたないという人の方が
珍しいと思える。

ただし、その優しい語り口で、厳しい指摘がなおさら響いた。
以下、私のメモからフランク大ザッパにご紹介したい。


日本人一人あたりのカロリー摂取量が2599キロカロリーとして、
日本の農業生産量は一人あたり1049キロカロリーに過ぎない。
日本の伝統的な朝ご飯でも(大豆が米国産ということが大きい)、
国産率は64%であり、ラーメンと餃子のセットでは
わずか7%である。

今の日本人がやりはじめている
「こ食」 はいけない。
粉モノばかりを食べる粉食。
家族がそれぞれ好きな時間に好きなものだけを食べる個食。
特に若年層のやせた体型を無理に作るための小食。
固定したものばかりを食べる固食。

今の和食は、和食といっても
「和食のようなもの」

食文化といっても、アメリカ人でもほとんどの人が
SUSHI(寿司)を食べた経験がある。
日本酒だって好きだというアメリカ人も少なからずいる。
日本酒を飲めるから日本人ではなく、日本酒を造ることが
できるから日本人だと思う。
(マーク先生は、実際に日本酒を造っておられ、すでに流通しているので、
ホンマもんの日本人やなぁ)


という、耳の痛いお話が続いたが、その現状に対しての
ご提言の数々が素晴らしく、同じく私のランダムなメモからだが、



「お金さえあれば手に入るもの」 から、
「お金では買えない」 ものを求めていこう。

「どこでもいい」 というものから、
「ここしかない」 というものを求めていこう。

※ 「還元された言葉」 から
具体的な言葉で味を語り、コミュニケーション力をもとう。

「消費者」 から
「参加者」や「役割をもった市民」になっていこう。

「ひとり」の世界から、
「みんな」の世界に。

バーチャルな世界から、
リアルな世界に生きよう。

※※ 「心土不二」
という言葉に教えられるように、心と土はともにあるということに目覚め、
「ここに生まれてよかった」
「この自分に生まれてよかった」
と感じられるようにしよう。


などなどである。

講演の終了後、妻のシャラポア(日本人)がマーク先生のところに行き、
「お寺の行事のためのお料理は、何百年も変わっていない
メニューが多いのですよ、よろしかったらゼミの学生さんといっしょに
来てくださいね」
と声をかけた。

マーク先生、かなり関心を示されたようなので、
そういう形で、またすぐにお目にかかれるかもしれない。


マーヒー加藤

※ 「還元された言葉」 というのは、マーク先生自身が使われて
  いた言葉だが、まあ、これもマーヒー流のフランク大ザッパで
  解釈させていただくと、テレビのグルメ番組のレポーターや
  評論家が語るようなありきたりでお決まりの感想の言葉などを
  意味するのではないかと思われる。

※※ 「心土不二」 は、最初はたいへん失礼ながら、
   「身土不二」 (往生要集など) のことを誤読されているのではないかと
   思ったが、調べてみると早くから 「心土不二」 という表現をとる書物も
   あり、特に食文化研究などの分野では、すでに大正時代から
   こちらの 「心土不二」 が使われているようだ。

by kaneniwa | 2008-06-24 05:53 | 草評 | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : http://kaneniwa.exblog.jp/tb/8871317
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by コスゲノカミ☆ at 2008-06-24 15:06 x
ほんと、びっくりでした。まさかアメリカの方に日本の食について教えていただくとは。
素敵な先生でしたね。
Commented by dekobokoミチ at 2008-06-24 17:42 x
ウン、ウン、とうなづきながら読みました。ほんと、いいこといっぱい言ってくれてますね。共感、納得、感銘でした。
Commented by kaneniwa at 2008-06-24 19:21
コスゲノカミ☆さんのブログにも、前もって講座を
ご紹介いただいていたので、忘れずに聴講申込みが
できました。
(でも、行けるかどうかは直前までアタフタしていたのですが、
行けて本当に良かったです)

和食(特に郷土色)もさることながら、
講座のなかで写真でご紹介いただいた、あの
巨大な自家製燻製ベーコン、実は狙っています。

薪ストーブがあるご自宅にお住まいのご様子が
お話から聞き取れたので、冬にダッチオーブンを
持参で、お礼にアーリーアメリカン食の良さを教えに
行きたいです。
(でも、食文化研究家なので、ダッチオーブンは
すでにご存じだろうなぁ・・・)

BYマーヒー
Commented by kaneniwa at 2008-06-24 19:26
ミチさんのお住まいの紅茶国の食物自給率は
マーク先生から示していただいた2004年の
カロリーベースのデータでは約80%でした。

国土の広さは同じぐらいなので、日本は紅茶国を
ここでも目指さなくてはならないのかもしれません。

マーク先生のご提言は、食文化だけへの提言では
ありませんね。

いいお話は、ジャンルを越えるのだな。

BYマーヒー
Commented by agsmatters05 at 2008-06-25 09:19
うーん、マーヒーさん、そうなんですか?カロリーベースのデータというのがよくわかりませんが、イギリスの食物自給率、そんなに高いとは思えないんです。野菜などは、ジャガイモとわずかのローカル品をのぞくと、大部分が南アフリカとかスペインとかヨーロッパ、中近東、あるいは南米や中国産も含めて輸入物でいっぱいだと思ってました。スーパーの野菜売り場なんか、イギリス国内産などほとんどない、という印象でしたが。だって、なにしろ寒い国で、国土面積が日本と同じと言ったって、ほとんどが牧草地か、森林か、って感じです。もっとも日本の国土は耕地面積で話をしないと、単純比較はできませんよね。
Commented by kaneniwa at 2008-06-25 14:27
いい勉強の機会をいただきました。
そう、その、ほとんどが牧草地か森林、ということが、
大きなポイントかもしれません。
特に日本にはほとんどない牧草地というものは、
間接的にも紅茶国の自給率に寄与しているはずです。

単純に農作物の耕作面積で比較しても、
今の日本は、イギリスやイタリアの
何と7分の1程度しかないようです。

かつて、多くの植民地を抱えていたダイエー帝国時代の
紅茶国の、かつていちばん自給率が低かった時代の
第二次世界大戦直後で46%
(それでも今の日本よりも高いのだなぁ)
しかし、これが特に日本の自給率が大きく低下しはじめる
1980年を取りだして見てみると、紅茶国はその後
グングンと上昇させ、日本はその後、急降下しているのです。

何よりも、第一次産業に携わっている方々と接する機会も
多いので、日本の現状はかなり深刻だと感じます。

でも、けっして紅茶国が安泰だと言うわけではありませんが、
その安泰ではない紅茶国にも、こと自給率のことに関しては
見習わなければならないほどの、今の日本の現状があります。

BYマーヒー

名前 :
URL :
非公開コメント
削除用パスワード設定 :


< 前のページ      次のページ >