2008年 07月 08日

仮想・裁判員制度 (6) エピローグ

マーヒーの頭のなかの、マーヒーが裁判員として加わらざるを
得なかった仮想裁判の判決がもうすぐ裁判長から言い渡されようと
している。

「牛の首」という落語のまくらなどに使われるお話がある。
「牛の首」というものすぐごく怖い怪談があるのだが、
それが怖すぎるために、その話を聞いた人はショック死して
しまうか、恐ろしさのあまりに言語能力さえ忘れるほどに
なり果ててしまうので、誰も 「牛の首」 を語れなくなったと
いうお話。

裁判員(仮想)である私は、被告に死刑が言い渡されるで
あろうことを事前に感知している。

その状態の私の脳裏に、それがこの 「牛の首」 と関係あるのか
どうかはわからないけれども、かつて聞いたことがある
怖い牛の逸話が思い出される。

日本のある村で、飼っていた牛が暴走して、
子どもを突き飛ばし、死亡させてしまった。
村では、その牛の公開処刑をすることになった。
公開処刑には、たいへん大勢の人が集まった。

竹槍をもった執行人が、竹槍で牛を突き立てていく。
大勢集まった村人たちは、
「いいぞ、もっとやれ!」 
「もっとついてやれ!」
といっせいに声をあげる。

そのうちに、牛は悲痛な声を上げつつ、
弱り果てた歩き方をして悲しい目で周りを見る。

その牛の様子を見ながら、
一人が
「かわいそうに、こんな残酷なことをせんでもいいのに」
とつぶやくと、大勢の人が集まった会場に沈黙が流れ、
牛の悲痛な叫び声だけが響いた。

大勢の人々の視線は牛から竹槍をもった執行人の方に集まり、
「何てひどいことをするんだ」
「かわいそうじゃないか」
「残酷だ」
などの声が次第に大きくなって響いていったという。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2008-07-08 02:56 | 草評


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