草仏教ブログ

kaneniwa.exblog.jp
ブログトップ
2008年 07月 20日

野茂英雄投手が笑わせてくれた思い出

1995年のMLBでの野茂英雄投手の旋風。

この年のオールスターゲームの先発投手をつとめ、
チッパー・ジョーンズ(アトランタ・ブレーブス)選手を僅差ながら
抑えてMLBナショナルリーグの新人王を獲ったこの年の思い出だけでも
今でも鮮明だ。
もっとも日本球界での野茂投手の凄さもデビューから見てきた私には、
MLBとはいえ新人王というタイトルはちょっと微妙な嬉しさだった。

ともかく、多くの野茂ファンの数々のブログが、このMLBへの
鮮烈なデビュー時のことを語ってくれているので、そこに
書き添えることにしたい。


当時のデイブ・ウォレス ピッチングコーチ(もちろんLAドジャース)が、
単語帳というのか、私が受験勉強の時に使っていたようなカードの束をもって
ドジャー・スタジアムのマウンド上で野茂英雄投手とどんな会話を
しているのかが気になってしょうがなかった。

1995年のある試合(相手はサンフランシスコ・ジャイアンツだった)を
昼間に録画していて、帰宅してからじっくりと観戦していた時のこと、
7イニング目のピンチの時にマウンドに単語帳を持って駆け寄った
ウォレスコーチと野茂の会話の様子が、センターからのカメラでアップ
になっていた場面があった。

読唇術というのはやったことがなかったのだが、
読書に 「百回読めばおのずから意味がわかってくる」 という格言
のようなものがあるので、このわずか1分のシーンを百回見てでも、
その会話の内容を知ってやろうと、その時に思い立ったのだ。

そのわずか1分のシーンは、ウォレス氏がマウンド上の
野茂投手に何かを言い、それに野茂投手は大きく首を振る。
するとウォレス氏は単語帳をめくりながら何かを野茂投手に伝え、
野茂投手はそれに小さくうなずくという、これだけのシーンだ。

マウンドに駆け寄って最初にかけた言葉、どうも最初の発音は
 TU、もしくは THU のように動いている。
マーヒーは、そのVHSビデオのスロー再生も活用しながら
ディクテーション(書き取り)のようなことをしていった。

「つ・か・れ・ま・し・た・か ?」

と言っている。
わはははっははっははは、日本語なのは予想していたが、
何と敬語ですよ、敬語。
場面は2-0でドジャースがリードしているもののジャイアンツが
ノーアウト1塁2塁のチャンスを作ってバリー・ボンズら強打者を
迎えるという緊迫した場面のマウンド上での

「つ・か・れ・ま・し・た・か ?」

という敬語のゆるさに笑ってしまったのだ。

その言葉に大きく首をふる野茂投手。
彼はピンチでも感情をおもてに出すタイプではないクール・ガイだが、
日本の近鉄時代から投手交代の時だけは感情的になる。
ポーカーフェイスという言葉があるが、
ゲームに対してはあくまでポーカーフェイスだが、
「もうポーカーをやめようか」 
と言った時には怒り出すタイプだ。 
麻雀のメンツでこういうタイプの仲間がいた。

単語帳(カード)をめくりながらウォレス氏がその野茂投手にかけた
言葉が、これもスロー再生も何度も活用しながらの再生をくり返して
マーヒーは苦労してウォレス氏の唇をついに読み取ったのだが

「ひ・く・め・に・な・げ・て・く・だ・さ・い」

という、これまたご丁寧な言葉を発して、
野茂投手はそれに小さくうなずくのだった。
そのうなずきを見てウォレス氏は

「OK! Here we go .」
(前のふたつに比べれば読唇は楽勝!)

と声をかけて小走りにマウンドから去る。

実に、その7回の野茂英雄投手は、丁寧な敬語での
真摯なウォレス氏のアドバイスに応えるかのように意識した
低めへの配球が冴え、受けるマイク・ピアザ捕手のゼスチャーも
「フォークボールも低めに投げてください
わたしくめはバッティングに比べたらキャッチングは決して
上手くはございませんが、
わたしめが体を張って、ワンバウンドのフォークボールも
後ろにだけは決してそらなさい覚悟でございます」
と 「言って」 いるかのような意図がおもしろいように見てとれた。

マーヒーにとっては、独身時代だから夜中までかかって
解読できた読唇術だった。

マーヒー加藤
[PR]

by kaneniwa | 2008-07-20 01:57 | 草野球


<< クリス・エバート      追悼記事(7) 竹内伸 氏 >>