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カテゴリ:草外道( 309 )


2014年 11月 02日

コッヘル251番 ニョッキ(男爵いも新じゃがバージョン)

b0061413_434275.jpg 北海道の先輩が男爵いもの新じゃがを送ってきてくださった。それも少量生産のため地元北海道でさえあまり見かけないという「今金男しゃく」というブランドじゃがいもである。北海道には今まで春先に1回、春に1回、夏に2回、真冬に1回と合計5回足を運んでいる。なぜか新じゃがの季節でもある秋はまだ1回もないけれども、それでも常々思うのは「何で北海道でジャガイモを食べるとビックリするくらいに旨いのか?」という素朴な疑問である。普段から男爵いもでもメークインでもジャガイモはほとんど北海道産を買っているのに北海道で食べるジャガイモとは何かが違う?なぜか?その問題を検証したい。一種のライヴ感覚というか北海道の湿気が少ない空気感のなかで味わっていたからということもあるだろう。しかし、結論めいたことを先に開陳すれば「ブラジルでコーヒーが旨いとか、新潟で米が旨いのと同じ法則」ということになる。読んでいる人はブラジルでコーヒーが旨かったり新潟で米が旨いなんて当たり前だろ?と思うかもしれない。ある意味、当たり前である。しかし、その当たり前に妙味があるみたいだ。たとえばブラジル産コーヒー豆のブランドである「ブラジルサントス」で言えば、その銘柄の一級品はほとんど合衆国、日本、ヨーロッパへの輸出用でブラジルの国内では二級品かせいぜい準一級品しか出回っていない。それでも「コーヒーへの思い入れの深さと生活密着度が違う」ので、一級品ではなくともその豆の焙煎具合などに合わせて濃ゆく抽出されたコーヒーは今でも飲みたくなるほど旨い。そしてサンパウロのような大都会では希少価値のある一級品を使ったホテルのカフェのコーヒーから市井のバールのオンボロマシンから抽出されたエスプレッソに至るまで、それぞれに味わい深い。新潟で米が美味しいというのも、新潟県民全員が魚沼産コシヒカリを食べているわけではないけれど、米の生産者が身近なところに必ず居ることもあって平素からの米に対する思い入れの深さが違う。その思い入れの深さは炊き加減をはじめとする調理への知らず知らずのうちの気遣いとなり、保管法などについてのケアの意識の高まりとなり各家庭での米の平均レベルはすこぶる高くなり「こりゃ許せん」という最低ラインも押し上げることとなる。かくして新潟県内ではお弁当屋さんでもコンビニや居酒屋チェーンのおにぎりでも、その最低ラインを下回るとすぐに不評となるので米が旨いのである。

b0061413_4344545.jpg 「香川県ではうどんが旨い」なんていうのも、すべての讃岐うどんが「さぬきの夢」のような地物小麦粉を使っているわけではなくむしろオーストラリア産小麦がその主流らしいのだが、信号機の数と同じぐらいうどん屋さんがあるという文化的環境(高松市内ではわずかに信号機の数の方が多いそうだ)のなかで、個性ととらえられる前段階で「許せんほどの低レベル」とされたら自然淘汰されてしまう。さて、そのジャガイモに対する思い入れの深さのレベルが違う北海道から届いた最高レベル希少価値男爵いもの、しかも新モノ。あまりの旨さに写真を撮ることも忘れて掲載できなかったが、まずはダッチオーブンで蒸し焼きにしたものを「じゃがバター」とした。バターの塩気だけでほぼ素材の蒸し焼きのままに食べたそのジャガイモ(男爵いも)に、まずは「モノが違う」ということを実感した。考えたら居酒屋の定番メニューでもある「じゃがバター」を私はあまり今まで注文してこなかった。いつもこの素材でじゃがバターが食べられるならば、常に真っ先に注文していたと思う。続いて私の出張中にシャラポア(妻・日本人)が「ジャガイモ主体のクリームシチュー」というものを作ったら、大量に作ったけど子どもたちが旨い旨いと食べまくって私が出張から帰ると全然残っていなかった。さて、野菜通の近所の八百屋さんで買い物をしている時に「ところで北海道産の新じゃがのいちばん美味しい食べ方ってどんなもの?」と聞いた時に「いも餅」というシンプルな食べ方を教わった。これは茹でた新じゃがをすり鉢で練りに練ってそれを和風だしで食べるか、きな粉などをつけてデザートとして食べるというものであった。そこでさっそくその「いも餅」の製作途中に、練っている途中に急用が入っておやつ時間から夕食時間になってしまったということもあり、練ったジャガイモをそのまんま団子状にするところまでは「いも餅」のプロセスとしてイタリア料理のニョッキとすることにした。コッヘル86番で「月見団子風ニョッキ」というものを作ったが「芋パスタ」とも言えるニョッキは団子や餅の仲間といえば言える。それに初めて食べてみる「いも餅」よりも馴染みがあるニョッキの方が「今金男しゃく」の素材のスゴさを実感できる気がした。そして、実感した。インド人もビックリのカレーというものがあるとして、それよりもイタリア人がビックリするニョッキではないのか?通常、ニョッキには強力粉などを混ぜて練り込むけれどもジャガイモ本体から上質のでんぷん質が粘り出てくるので必要なし。写真のトマトソース(ひき肉、えのき、刻みタマネギなど入り)も相性バッチリで良かったのだが、塩と粉チーズで食べたバージョンも良かった。仕上げの茹で加減も「偶然アルデンテ」で良かった。もっとも新潟県産コシヒカリの新米が固めに炊いたとしても軟らかすぎるぐらいに炊いたとしても、まあお粥だって美味しいのだから素材力で広い許容範囲をもっていることから、この「偶然アルデンテ」の「偶然」も、今金男しゃくの素材力からきた必然であったのかもしれない。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-11-02 06:12 | 草外道
2014年 10月 29日

コッヘル250番 アサリ&エリンギのクラムチャウダー

b0061413_2335050.jpg 私は「クラムチャウダー」という言葉そのものについて、あんまりよく理解していないが、まずクラムという言葉は二枚貝を指す。そしてチャウダーという言葉は、ハマグリらしきものを指すようだ。ハマグリは二枚貝のことであるから「クラムチャウダー」という言葉(料理名?)自体が何だか「馬から落馬」みたいな重複表現のニュアンスを含んでいる。キャンベルスープの缶を買いに行っていくつかの種類のなかから「クラムチャウダー」を選ぶという時にはとても明確な言葉であるけれどもどうも言葉として気になる。まずもって、ハマグリが名物である三重県の桑名市は義理の妻の姉(妻である日本人シャラポアの実のお姉さん)が今は住んでいるのでご縁のある土地だが、そこのハマグリ料理専門店でも正直に「今では桑名の地物のハマグリは希少価値の高いものでほとんどが輸入物のハマグリです」と言っていた。国産ハマグリと輸入物のハマグリの区別がつく自信などないけれども「そもそも日本人がハマグリと呼ぶものとチャウダーと呼ばれるものが同じものと言っていいのか?」という疑問をもってきた。その疑問が解消されないままにレストランのメニュー表に「アサリのクラムチャウダー」という文字を見たことはあるけれども、アサリのクラムチャウダーという表現は、何だが「黒豚の和牛頬肉」とか「豚のビフテキ」と同じぐらいに、意味は通じるもののよく考えたらおかしいものかもしれない。しかしながら「クラムチャウダーは美味い!」ということに関してはそのような理屈もひとっ飛び。美味い! そして、何はともあれクラムチャウダーという有名なスープが日常的なものであるところでは、クラムと呼ばれていようが、チャウダーと呼ばれていようが日常的な貝を使って作るのが当たり前だとすれば、あさりの味噌汁に馴染んだ日本人がそのアサリを使いつつそのスープを作るということも至極自然であり、言葉としてはとてもおかしな「アサリのクラムチャウダー」を好むこととなる。 そして、これも一考に値するが「焼いても煮ても味や食感がアワビそっくり」という定評のようなものがあるエリンギをここに参画させると私は盛り上がる。 一年ほど前に大阪の阪急ホテルなどであったバナメイエビを芝エビと不正表示したとか偽装したという事件は、これもまた言葉としては非常に変だけれども「バナメイエビの人権」という観点に立ってみればバナメイエビに大変に失礼な表現である。 同じように、エリンギをアワビの代用品のようなものとして使うならば、エリンギに失礼であるという見解も成り立つのであるが、おそらく、アワビをスープとして使う場合に主役ではなくサイドメン(これも変な表現だ)というか主役に寄り添う名脇役としてキャスティングするなら、考えようによってはアワビより上かもしれない。特に煮込んでいくとそう思う。 いつか、アワビを食べながら「まるで上質なエリンギのようだ」という感想を述べてみたい。そんな感想を聞いたシェフは怒るかもしれない。怒るかもしれないけれども、結局は希少価値と市場価値診断によってそういうものは日々変わっていく。そしてそこには下克上もある。 今回のコッヘルメニューとは関係のない話だが、つい最近もイワシとハタハタが同じ分量で同じ値段で売られていたことに軽くショックを受けたばかりだ。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-10-29 23:37 | 草外道
2014年 10月 23日

コッヘル249番 うす揚げ焼き

b0061413_14533937.jpg 料理番組でとりあげられることはまずないし、レシピ以前であるのかレシピ本にも登場しているところを見たことがないけれども「やっている人はやっている」という感触があるメニュー。(1)厚揚げではなく、きつねうどんやいなりずしでお馴染みのうす揚げをトーストを作る時の電気オーブンとかレンジのオーブンモードで軽く焦げ目がつく程度に焼く。(2)ネギか大根おろしか、ともかく薬味になるものを上にかけて醤油をたらす。  とまあこれだけであり、多少まわりくどく書いても(1)と(2)を合わせても114文字に過ぎないTwitterレシピである。昭和の時代によく使っていたトーストが飛び出るタイプ(ポップアップトースター)のものではかなり難しいけれども、焼き具合がよく見えるトースターなら、だいだい見た目で焦げ目がいい感じでついたらほぼ出来上がり。厚揚げとはちがってうす揚げをこういう感じで焼くと「クッキータイプ」の食感となる。食感はクッキーでも味は大豆がトースト的に香ばしくなった感じ。スナック感覚でビールに合うし、元々はお揚げさんなので日本酒にも合うし焼酎もOKの何でも来い。これを覚えてから、冷蔵庫にうす揚げが完備していると何だか安心するのだ。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-10-23 15:24 | 草外道
2014年 10月 15日

コッヘル248番 鮎の開き(落ちアユ)

b0061413_2201429.jpg 鮎の季節といえば夏を連想する人が多いと思う。特に、鮎漁が解禁されて間もなくの初夏の時期の塩焼き。そして酒は文句なしにビールが合う。うるか(鮎の内臓の塩漬け)には日本酒が合うとしても、相当に伝統的な日本料亭であったとしても夏の鮎の塩焼きにはビールを勧められるのではないだろうか。そしてまだビールを飲めない未成年者たちも含めて、うちの家族は全員が鮎の塩焼きの大ファンである。かつて広島カープで活躍しWBC日本代表監督をつとめた山本浩二氏が大好きな焼き魚で「打順」を組んでみたことがある。やはり4番にはカリスマ性のようなものが必要と考えたのかノドグロをもってきた。(テニスの錦織圭選手の大好物ということで有名になりつつある)この「打順」には焼き魚というカテゴリーとしては変則的な「8番タラコ」などが入っているのにも関わらずに川魚は入っていないのだが、私がオーダーを組むとなると鮎は焼き魚の4番候補である。そういうことを知ってか知らずかご門徒から「鮎の開き」をいただいた。秋の鮎、いわゆる落ちアユである。 流線型の天然鮎は開きにされて3次元世界のものではあるがシメントリーで2次元的なものに形を変えている。正直に言って、最初は落ちアユであっても丸焼きに出来る形のまま欲しかったということもちょっと思った。しかし、いただいてみて豊富な秋の味覚のなかでもまだまだ美味なるものが世の中にはたくさん隠れているということをしみじみ知った。もともと秋の鮎は身が引き締まりつつ塩で強調される甘みを含んだ夏の鮎の肉質こそないものの、成熟したしみじみした旨みがあってどちらがいいかは好み次第である。その、もともとの成熟に加えて、秋の柔らかい太陽に照らされての乾燥しながらの熟成までが加わっている。秋の太陽の味がする。もっと言えば鮎の短い一生が凝縮されて完結したかのような味わいがある。 真夏の鮎の塩焼きには文句なくビールがいいが、秋の落ちアユの開きというものには文句なく日本酒のぬる燗がいい。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-10-15 06:17 | 草外道
2014年 10月 05日

コッヘル247番 りんごとチーズクリームオムレット

b0061413_11123100.jpg 非常にしっとりとしたチーズ生地はふわふわであり、新潟県産牛乳を使用したホイップクリームとチーズクリームが内包されている。そしてこの逸品のご本尊として鎮座しているのがカラメルで味付けをしたリンゴである。この極上デザートの作者はいったい誰なのであろうか?ジャン・ミエか、ジャン=ポール・エヴァンか、ピエール・エルメなのか、はたまた辻口博啓かそれとも妻の血が赤ワインで出来ているという鎧塚俊彦なのか?そのいずれでもなかった。新潟県立中央高等学校とコンビニ大手のサークルKサンクスとが新潟県内産の食材を使いつつ共同で商品開発し、176円(税込190円)で新潟県内のサークルKサンクスの店舗で今月の20日までの限定販売のスイーツである。地域限定(新潟県内)で期間限定(今月20日まで)ではありますが、この極上デザートが何と2ユーロ以内ですよ!円安の今では2ドル以下なんですよ!とはいってもこういうデザート類は「お得で、安い」ということは主題ではない。世に流通する商品である限りは原価率などのコストパフォーマンスも大切であるが、お得であることは感動することの世界ではオマケに過ぎない。感動するには「物語」のようなものが必要である。たとえば伝統的な京菓子でさえも新作であった時代はあったわけで、そこには春夏秋冬というサイクルに彩られつつ、そのお菓子を囲んで語り合われるであろうストーリーのようなものがあって極上デザートはさらに至高の嗜好として愛されていくのである。新潟中央高校に通う長女がその帰り道に家族分の「りんごとチーズクリームオムレット」を買ってきた。長女はこの商品の開発にタッチしていたわけではないけれども、その誇らしい気持ちのままに語られる学園ストーリーはこのコンビニ商品に深みを与えてくれる。

b0061413_1115342.jpg 長女が通う新潟中央高校は1900年5月1日に新潟県高等女学校として設立され、114年の伝統がある。学究コース(特別進学)、普通科、音楽科と調理師免許が高校で取得できる食物科がある。今回のこのコラボ商品については調理、栄養、食品、食品衛生、食文化、公衆衛生、衛生法規などを専門的に学べるこの食物科の存在が光っているようである。 今年の6月に「中央祭」と呼ばれる体育祭を父兄として見学させてもらったのだが、私はこの学校のファンになった。特に数少ない男子生徒たちの大ファンになってしまった。公立高校はco-education(男女が共に学ぶこと)の方針からこの新潟中央高校もすべての学科に男子も出願できるのであるが、やはり歴史ある女子校であった伝統から男子生徒の数は少ない。それでも特に音楽科と食物科に関しては精鋭の男子が「その専門分野を極めたい」とその門を叩き、乙女坂と呼ばれる正門前の坂を登って通学している。体育祭では連合ごとの男子バージョンの衣装を身にまといつつ、生徒会の歌などは乙女チックな振り付けを何かに耐えているような表情で黙々とこなす。しかしながら音楽科があることもあってすべての音楽は生演奏であり、体育祭の応援歌であっても高度なハモリを効かせるところにその存在感を存分に示し、リレーなどの体育競技ではまさに各チームのキーマンとして乙女たちの声援を浴びつつ輝きを放つ彼らに心底感動した。「男のなかの男」というよりは「女のなかの男」という感じはするが、武士(もののふ)という表現はももいろクローバーZのサポーターよりも彼らにこそ相応しい。写真の商品の右下には校章であるイカリのマーク(海が近いのです)が入っている。 このコンビニデザートを食べながら長女とした話は「あのね、ソフトボール部で内野手をしていて福岡ソフトバンクホークスの大ファンのクラスメイトの女の子がね、うちのお父さんと野球の話がしたいって言っているんだよ」「そうか、じゃあ今度うちに遊びに来てもらって、大阪球場を本拠地にしていた時代からのホークスの歴史について55分間の特別授業をしてやろう」というようなものであった。会話がはずむこと、その会話のなかにわずかでも甘さがあること、それがデザートの真骨頂であり醍醐味ではなかろうか。



マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-10-05 11:40 | 草外道
2014年 09月 10日

コッヘル246番 手作りみたらし団子お月見バージョン

b0061413_2157997.jpg 上新粉をこねてシャラポア(妻・日本人)と8歳の末娘が月見団子を作っている時に、ちょっと面白いことがあった。8歳の末娘は開封したての上新粉の香りを嗅ぎながら「山形県にマス釣りに行った時の餌の臭いがする」と言う。シャラポアは「そんな気持ち悪いこと言わないでよー」と言いつつ試しに臭いを嗅いでみると、そう言われてみればそんな気もしてきたという。末娘の犬的(褒め言葉です)な嗅覚はすごい。餌のツナギにインターネットで覚えた釣りの裏ワザとして上新粉を微量であるが使っていたのであった。また、山形に釣りに出かけたのは10ヶ月前のことだというのにその嗅覚を活かした記憶力にも感心したのであった。 8歳の嗅覚にはどうもかなわないなぁと思いつつも私も古来の日本人の感覚をほんの少し取り戻しつつある。というのは昨年、東北楽天ゴールデンイーグルスがパリーグ優勝をして以来、楽天優勝記念セールで買ったムーンフェイズ腕時計を常にしているので、月の満ち欠けというものについてはそれまでよりも敏感にはなった。昨夜がスーパームーンで一昨日が中秋の名月であったことも10日前から意識していた。それがどうした?と言われそうだが、日本の古典を読んでいればグレゴリウス暦に基づく時間感覚はないし、もちろんそれを基調にしていて現代人はほとんどの人が持っている七曜の曜日感覚も当然もっていない。ただ、現在の月の満ち欠けがどうなっているかについてはとても敏感である。海面の高さなどは目に見えて変化をするぐらいにその引力は強力である。血液をはじめとする水分がその大半である人体にこれが影響を与えないわけがない。実際に、現在はグレゴリウス暦にしたがってデジタル的に日付で決まることが多い各地のお祭りも、月の満ち欠けが暦の基準であった明治時代初期までは「祭りのピークが満月の夜に来るように」日取りや段取りが決まっていたところが多いだろう。西洋の、満月の夜になると狼に変貌してしまうという狼男伝承もまた、この満月のハイテンション効果を端的に言い立てていたものかもしれない。

b0061413_21573297.jpg ともかく、グレゴリウス暦を基調とする現代においても古来からの天文の法則によって日付が決定していく春秋のお彼岸の中日と中秋の名月は子どもの豊かな五感のためにも大切にしたいと思ってきた。シャラポアと末娘はそういうわけで10ヶ月前の釣りの楽しい思い出とともに団子をこね始めた。正式には団子の数は十五夜は十五個、十三夜は十三個となっているそうだがみんな団子は好きなのでもうちょっと多めにセットする。ちなみに十五夜の中秋の名月鑑賞に彼女を誘うことができた独身男は「やっぱり十五夜を一緒に見れたなら十三夜も一緒に見なきゃ月見は完成しないよ」と、ひと月後の満月鑑賞に誘うのがいい意味でとても古典的な誘いの手口である。旧暦9月13日の「十三夜」は今年は10月6日であり、狼男に変身する大チャンスである。 さて、コッヘル料理に話を戻す。末娘はひとつをにぎり鮨の形にした。みたらし団子のタレを穴子のにぎりにかけるような感じで食べたいからだという。丸くは収まらないが、その感覚もまたいいだろう。私はそのタレを作る。水と醤油と砂糖の他に、とろみを出すための吉野葛の存在が私にとっては不可欠である。吉野葛は近くのスーパーマーケットで手に入る。最近は、コンビニだけではなくスーパーでもポスシステム(レジが人気投票のようなものと連動していて品揃えを左右するシステム)が導入されているように思えるけれども、幸に風流を愛して和菓子を手作りする人たちがたくさん居てくれるおかげで吉野葛が身近なところで手に入る。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-09-10 00:01 | 草外道
2014年 09月 02日

コッヘル245番 海鮮丼

b0061413_1285373.jpg スーパーマーケットの生鮮食品部門の関係者の方が法事で「スーパーへの刺身別注」というのをされて、自宅にて法事の後のお斎(お食事)にかなりの分量のお刺身盛り合わせがそのご自宅で豪華オードブルとして並んだ。美味しくいただいていたのだがご高齢の方が多くて半分以上が残ってしまって「季節柄、今日中に食べてください」と言われつつ、折り箱ならぬ氷袋入トロ箱でお土産としてもらって帰ってきた。家族と刺身を分けあいつつ、私はこの機会にコッヘルでの海鮮丼というものをすることにした。スーパーの鮮魚部門、恐るべしという実感が満ちてきた。ご近所の魚屋さんへも含めて「刺身別注」という注文方法は頭のなかにしっかりと入れておきたいと思いつつ、この海鮮丼を胃の中に入れた。「胃のなかの買わず」という諺はないけれど(だって今、私が作ったから)エンゲル係数(生活費のなかの食品の比率)という数値だけを高めるために食糧費をぐっと抑えることに執念を燃やす人も少なくないとは思うけれども、何種類ものお刺身というご馳走が並ぶという華やかさは素晴らしいもので、日頃の節約や倹約を忘れるための「何か」がなければ、虚しくてなかなか倹約や節約というものには励めないという気がした。 それから、今回は写真を撮り忘れてしまって別な機会に改めてブログ記事にすることになると思うけれども、この海鮮丼には「醤油スプレー」が実に有効であった。醤油の量をかなり節約できるというだけでなく、刺身の全域に「醤油コーティング」ができて味についての貢献度も大なのである。塩分を気にして減塩醤油などを使っても、結局は物足りないので減塩醤油をドバドバとかけてしまうという人には効果大であろう。私は実を言うと10年以上前から「野外クッキングには調味料の容器が割れやすかったり持ち運びにくかったりする」ということから100円ショップの霧吹きに醤油、日本酒、油などのラベルを貼ってバーベキューなどには「噴射」をしてきた。知り合い家族の子どもたちには「スプレーおじさん」というアダ名をつけられて「スプレーおじさん、スプレーして!」と親しまれてきた。今年に入ったぐらいから「醤油スプレー」がジワジワと流行りはじめ、醤油や油専門もスプレー容器がキッチン用品専門店などでも販売されるようになり「とうとう俺の時代が来たなぁ」ということも実感している今日この頃である。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-09-02 13:03 | 草外道
2014年 08月 25日

コッヘル244番 生ビール

b0061413_0261881.jpg 蓮如上人は「寒天には、御酒等のかんをよくさせられて、路次の寒さをも忘られ候うようにと仰せられそうろう。また炎天の時は、酒など冷やせと仰せられそうろう。」とおっしゃったということが『蓮如上人御一代記聞書』のなかに書いてある。寒いなか寺を訪ねてこられたご門徒さんには熱燗をサーブし、夏の炎天下に寺を訪ねてこられた方へは「酒など冷やせ」という教えである。この教え、まずは自分で実践していて暑い夏には「ビールなど冷やせ」と自分で自分に言い聞かせる。 コッヘル料理とはいえないもののコッヘルで生ビールを豪快に飲んでみたいものであるという夢を叶えることができた。寺院の会議にて年間の寺院会計の決算と予算のことなどをはじめとするいくつかの議題を終えた後には懇親会がある。春先と夏のにその会があるのだが、夏の料理は私がダッチオーブンで揚げたフライドチキンとポテトにシャラポア(妻・日本人)作のオイキムチというのが最近の定番になりつつある。このオイキムチはとっくにこのシリーズに登場していたと勘違いしていたが、コッヘル100番のシャラポアのおにぎりの付け合せとして写真のなかの脇役として登場していたのみであった。最高のビールのお供として、いずれ主役として登場させたい。それはともかく近所の酒屋さんから業務用の生ビールサーバーをレンタルできるということを知り、さらに「20人以上でビールを飲むならば生ビールは決して高くない」ということも知ってしまったので、生ビールを導入してから3シーズン目ぐらいになると思う。ビアジョッキも酒屋さんからレンタルしているのであるが、懇親会が終わってからとうとうカップタイプのコッヘルを取り出してきて「コッヘルで生ビールを飲みたい」という夢を実現させることにした。愛用のチタンのコッヘルの口当たりは非常にいい。生ビールの「嬉しい冷たさ」はアルミのコッヘルの方がより体感できるのだが(わはは、私の夏休みの自由研究として比較調査してみました)口当たりがチタンの方がいいために生ビールの本体の冷たい美味しさがスムーズに体に入ってくる。「こりゃ、チタン製のビアジョッキとかビアグラスとかタンプラーとかを作ったらバカ売れして俺は大金持ちになるのではないか?」なんて思ったけれども、私が思いつくようなことはすでに製品化されているということは今の時代、検索すればすぐに分かっちゃうんだよなぁ。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-08-25 01:27 | 草外道
2014年 08月 18日

コッヘル243番 島らっきょう

b0061413_2251047.jpg 一時期ほどではないけれどもまだまだ暑い。暑い時には沖縄の食べ物というものはなかなかいいものだと感じられる。そこで「島野菜」のなかでも大好物の「島らっきょう」をコッヘル上に。ここにカツオブシをのせる。脱法ドラッグが危険ドラッグと呼ばれるようになったことに合わせて、脱法ハーブと呼ばれてきたものも危険ハーブと呼ばれるようになってくるか、もしくはすでにそう呼ばれていることと思う。その脱法ハーブも、ちょっと前には合法ハーブと呼ばれていたわけであるけれども、古来から愛されている香りの強い野菜を楽しんだ方がよい。「完全合法野菜」とか名称に関してはそういうことを謳えば謳うほどに怪しくないものも怪しくなってしまうのだなぁ。しかし、この島らっきょう本体にはリラックス効果こそあれ酔う要素はないのだけれども実に酒を誘う。当然の相性というべきか、いちばんはやはり泡盛であるが芋焼酎や麦焼酎というものも実にいい。飲み過ぎて人に迷惑をかけない限りは、あるいは運転しない限りは合法で実によかった。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-08-18 23:10 | 草外道
2014年 08月 09日

コッヘル242番 海苔ワサビチーズ(韓国のりバージョン)

b0061413_15445384.jpg 前回のコッヘル241番の海苔ワサビチーズに関しては、それを試してみた方々から「こりゃいい!」という嬉しいご感想を中心に反響があった。ただ、その非常にシンプルな作り方について「レシピ以前」という表現しかし得なかったことについては悔いを残している。特にそれを教えていただいた方(日本人シャラポアの友だち)に申し訳ない気がした。もっと「レシピ以前」よりもいい表現はないか?「超基本シンプルレシピ」ということなのだが、その名称では芸がない。140文字以内で作り方を記すことができるということで「Twitterレシピ」という表現が浮かんだが、これはすでに存在していて、しかも高名なシェフがそれをTwitterでやっていてけっこうそれが広まっているというようなこともついさっき知った。ふと、「ワサビ付きスライスチーズ 海苔で巻き」 という五・七・五で、このレシピの肝要にしてほぼ全容を詠めた。おお!「川柳レシピ」の誕生だ!いや、落ち着いて下さい、落ち着いて下さい、落ち着いて下さい!チューブ入りのワサビは年中冷蔵庫にひとつは入っているので季節感はなかったけれども山葵(わさび)というのは春の季語として歳時記にもあるではあーりませんか。(山葵の花は夏の季語らしい)おおお!「俳句レシピ」だったではあーりませんか。まあ今後とも「俳句レシピ」というのは滅多に出なくても「短歌レシピ」のオリジナルには挑戦していきたいなぁ。 というわけで「ワサビ付きスライスチーズ 海苔で巻き」という俳句レシピはシンプルであるがゆえにこれ以上のアレンジは加えようがないと思っていたが、スライスチーズとワサビはそのままに海苔を韓国のりに変えただけで「まったく別物」と言ってもいいものになった。元の完成度が高いので、これを「改善」とは言ってはいけない、けれども、バリエーションとしては大いにアリだと思っている。チーズの塩気に韓国のりの塩気とほのかなごま油の香りが加わりつつ、完全に韓流に傾くというわけでもなくワサビはその存在感を保っているのである。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-08-09 16:18 | 草外道