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2015年 07月 21日

草煩悩(23) アシックスのGT2000(ランニングシューズ)

b0061413_2332752.jpg シュテフィ・グラフ(Steffi Graf)という女子のテニス選手がいた。80年代後半から90年代中盤まで無敵の強さを誇った名プレイヤーである。単純にテニスをやるためのテニスシューズを買いに行った時に、アディダスから出ていた「シュテフィ・グラフ・シグニチャーモデル・オールコート用」を試履してみて「ありゃ、これはまるで自分のために作られたオーダーシューズのようにしっくりくるぞぉ!」と感じた。グラフ選手は175センチと女子としては大柄であるが、それでも私がぴったりだった10インチ(28センチ)の大きな足はしていなかっただろうが、あまりに足にフィットして驚いたのだ。アディダスのテニスシューズはスタン・スミスという大定番(こちらはマイナーチェンジをしつつも現行品だ)を履いていたこともあるが、それは(今考えればだけれども)既成品にこちらが合わせる感じで履いていたようだ。もっともスタン・スミスは超シンプルデザインで人気だったわけで機能的にはかなりの昔から「ちょっと古い」というものであった。シュテフィ・グラフのモデルの方は当時の最新モデル。なんせスニーカーという普段使いの最たるものが「自分にピッタリ」というその心地よさはなかなか得がたいもので、テニスはもちろんジョギングさえもジョギングシューズではなくてグラフモデルでやりたがったぐらいに快適だった。ああ、なぜシュテフィ・グラフが引退してシューズも製造中止になる前に買いだめをしておかなかったのかと悔やまれる。テニスシューズのみならずいろんなジャンルのシューズを試履するたびにどこかで「アディダスがかつて作っていたグラフモデルほどはしっくりこないなぁ」という思いをもつことになるのだから。

b0061413_23322457.jpg 履物に対してそんな思いを持ち続けていたのだが、最近のスポーツ用品店では足型を測定しつつ既成品のなかからピッタリの一足を推薦してくれるというサービスをしているところがある。中学生の息子が走り幅跳びと短距離用の競技者用スパイクを買いに行く際に、私もついでに「占い師さんにみてもらうよりはずっと科学的な見地から私に合うシューズは何になるのかアドバイス的なものをもらおう」という感覚でついていった。そして店員さんに測定をしてもらった。無料でやってくれる足の測定というものは私が考えていたよりもずっと本格的なものであって立った時に足裏の全域のどこに体重がかかっているかを精査する。若い男性店員さんは数値データと重心ポイントも示された足型図を交互に見ながら「土踏まずのアーチの形もしっかりしているしスポーツマンらしい足ですが、左足のカカトに重心がかかりすぎなのが気にかかりますね、もしかして右腰のあたりに腰痛か違和感はありませんか?」と言われて私はこの店員のことをすっかりと信頼してしまった。占い師が若い人に「恋愛の問題に関するご相談でしょ?」といきなり言うように、店員さんが「腰痛持ちではないですか?」などと50歳代の男性に対してかなりの確立で言い当てられることを言われても私はかえって眉唾になるだけなのだが「右腰」というところの「右」というところに「そうなんだ!」と即答しつつ首肯して信頼するような要素があった。この足型に合う推薦シューズは?とこちらから早速問うと、出てきたのがアシックスのGT2000というモデルである。GT2000という型番は車っぽいけれどもアシックの商品名としての通称は「ニューヨーク3」というそうだ。ニューヨークシティマラソンのような都市でのフルマラソン大会を5時間前後(ということは競技者というよりジョギングランナーだな、かえっていいけれども…)で完走するランナー向けというコンセプトの商品らしい。それを履いてみるとシュテフィ・グラフのテニスシューズ以来の「これは俺のために作られたものではないのか!」という感触があった。さらに自分の足型に併せてこのシューズにも合わせる感じでオリジナル中敷きをカットするといいという。私はノーマルの中敷きのクッション性も「さすがアシックス」という感じで気に入ったのだが、すっかりと店員を信頼したし中敷きは自分で簡単に取り外しできるのでそれもいただくことにした。店員が持って来たのがNIKEでもアディダスでも、はたまたブルックスやディアドラだったとしても私は試履でフィットすれば購入する流れになっていたとは思うが、アシックスという信頼できるスポーツ用品メーカーの定番シューズであるということも私にとっては好ましかった。半年後ぐらいにはまた再び重心ポイント表示付きの足型測定をしてもらって、私なりに改善がされていたらもう一足を購入するつもりである。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-07-21 01:14 | 物草
2015年 05月 25日

草煩悩(22) snowpeak(スノーピーク)のワンアクションちゃぶ台

b0061413_1152475.jpg 発売後7年以上を経てsnowpeak(スノーピーク)のワンアクションちゃぶ台はすっかりと定番商品となっているが、実は2008年 05月 21日のブログ記事に書いてあるように世界初の一般購入者は私である。 うちにあるsnowpeakの製品のなかでもこのワンアクションで折りたためるちゃぶ台は家族の人気者であり、9歳の末娘なども折り紙を作るなどの作業時に私のところにこのちゃぶ台を借りに来る。インドアでもアウトドアでも、もはやなくてはならないアイテムとなっている。しかし、7年以上の時を経て折りたたみ式(足が収納できるだけでなく真ん中から2つにたためる)でもあることもあって不具合が生じてきた。まずは折りたためなくなり、構わずにそのまま使用していたら足がぐらつくようになってきた。普通のちゃぶ台であれば全体を破棄して新しいものに買い換えるという判断をしていただろう。しかし「これは修理に関して永久保証されているsnowpeak製品であった」ということが意識された。本社が近くはないけれども同じ新潟県内にあるということで、広大なキャンプ場も併設されているsnowpeak本社へと持っていった。広い敷地の本社のなかで「修理依頼はどこに行けばいいのだろうか?」と迷っていたら「ヘッドクォーター内のショップで受け付けています」と社員の方が案内してくれた。そのショップで若い男女の社員が対応してくれた。ちゃぶ台を見せてみると「足の部分のパイプが湾曲していて、これは簡単な修理では直らないのでお預かりして送付することになります、後で見積もりをしますが、修理代として出せる金額の上限を教えてください」と言われた。私は「このちゃぶ台は発売日の午前中に旧本社のショールームで買ったもので、本でいえばベストセラーの初版本のようなもので家族みんなの愛用品です、直るならば修理金額に上限はありません」と、案外とキッパリ言った。それを聞いた店員は「ちょっとお待ちください」と壊れたちゃぶ台を持って、どうやら修理工房へと走っていった。10分ほどで戻ってきて「修理代は送料込みで3264円になります」と言った。その金額をその場で払ってショップでペグやらロープやらの小物を買って帰った。後日、電話があって「折りたたみ機能は完璧に直りました。あと、テーブルの表面に小さなキズがたくさんあるのですが、無償でやらしてもらうので研磨してもよろしいですか?」ということの確認であった。「もちろん、やっていただければありがたいです」と答えたが、その問い合わせ自体が非常に嬉しかった。こちら側の製品への愛着を察知してくれ、もしかしたら小さなキズにもメモリアルがあるのかもしれないという可能性を意識してくれているのだなぁと感じたのだ。数日後、たいへん丁寧で厳重な包装でsnowpeakのマークが入った大きな段ボール箱が届けられた。それを開けた時に家族中から歓声のようなものがあがった。研磨された表面は比喩ではなくて新品時よりも美しい竹の木目が浮かび上がっており、もちろん折りたたみ機能を含む故障箇所の修理はパーフェクトであった。これは正直に言って購入時の感激よりも大きかった。 実はつい最近になってsnowpeakが株式会社として上場したことを少し心配していた。「自分のところで作ったプロダクツを修理が可能ならば面倒をみるのは当然のことなので、snowpeak製品には保証書は付けない」など独特の社是が株主の意見によってはブレることも今後はあるのでは?とチラッとだが思ってしまったからだ。でもそれは杞憂。snowpeakの製品を長く愛用している人は安心してそれを誇りに思っていいと思う。 テレビで作家の村上龍のインタビューにsnowpeakの山井社長は「我々はアウトドア馬鹿の変態集団であります」と堂々と言っていたが、こんなに素晴らしい変態はなかなかいない。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-05-25 06:08 | 物草
2015年 03月 24日

アコースティック・ギターアンプAERのBINGOのその後

b0061413_1892754.jpg 今月、ブログに書かせてもらった愛用品のアコースティックギター用のアンプに嬉しい後日談ができた。実は、その日のブログを読んでいた旧友から「もしかしたら私が修理できるかもしれないよ」という連絡をいただき、アンプの輸入代理店も代わり「見積もりのための点検だけで7000円かかり、修理不能という判断もある」と言われて落ち込んでいた私には大変な朗報であった。しかも、それを診てくれたのが大学で電気工学を学び大手ゲーム機メーカーに就職し、アコースティクではなくてエレキだけれども自分でもギターを弾くことを趣味としていて、しかも古いマーシャルのアンプを見事に修理した経験もあるという、もうこれ以上最適な人はいないと断言できるほどの人材がブログを読んでいてくれていた。 結論から言えば、故障はけっこう深刻であり、15年間の経年劣化もあって簡単にはいかなかった。しかし、苦労をして部品を探してもらっていて「部品がかなり特別なものを使っているので取り寄せるのに時間が数ヶ月かかる」ということであるが「しばらく待ってもらうことになるが、たぶんそれで修理が可能だろう」ということであった。嬉しいお知らせが多くて、何だか矛盾しているようだけれども「これだけ喜ばせてくれたら、もはや治らなくても悔いなし」といった気持ちである。それで、自分では怖くて分解できなかったし、分解しても何がどうなっていることなど到底わからないのであるが、点検のためにアンプを開けてもらったところを写真で送ってもらった。 私はてっきり真空管などのレトロでアナログな部品が使われている(ある高名なブルーズギタリストも、アフターライブで一緒に飲んでいる時にこのアンプの話をしていたら御自身も愛用者でこのBINGOのことを真空管アンプだと思い込んでおられる)と思いきや、けっこう要所にドイツ製などのデジタル部品が使われているという。どちらにせよ、デジタルを駆使しつついかにもアナログ的な音を出していたなんて、何だかわけがわからなくなってきた話だけれども、それはそれで改めて知って感動している。 そしてMICジャックにNEUTRIKの刻印があって欧州のコネクタ等の専門メーカーのものが使われていたそうだ。このジャックはキャノンケーブルと普通のフォーンプラグが使用できる二刀流で、ギターアンプといえばこのBINGOの他はほとんど知らなかった私としては、その異なるプラグの両方をつなげることはけっこう当たり前と思っていたら「かなり珍しい部品を使っているからできること」ということらしい。愛用品だと言っていて、初めて知ることが多い。 どちらにしろ、ブログ記事を書いていて良かったなぁ。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2015-03-24 18:35 | 物草
2015年 03月 07日

草煩悩(21) AERのBINGO(アコーステックギター用アンプ)

b0061413_0304768.jpg AERというドイツ製らしいアコーステックギター専用のアンプである。最近知った話だがJAZZギタリストのパットメセニーはフルアコとはいえエレキギターでも一時期はこのアンプからの音色を気に入って使用していたらしい。2000年頃に、まだ勤め人でボーナスというものをもらっていた頃に、そのボーナスを頂いた直後に購入した。楽器店の店先でその音色に吸い寄せられるようにして買った。結婚後のもっとも大きな衝動買いであったかもしれない。これに接続するタカミネのエレガット(ナイロン弦のプラグ接続可能なクラシックギター)と同じぐらいの価格だったのだ。かれこれ15年近くが経過して、困ったことに「調子が良い時しか音が出ない」という状態になってしまった。そこでこのアンプを片手で持って(重たいけれども取っ手が付いているので何とか片手で持てる)楽器屋さんに買い替えに行った。気に入ったものが見つかれば下取りに出そうと思ったのだ。ところが比較のためにお店のサイレント仕様(アンプにつながないと音がほとんど鳴らない)のエレガットを借りてこのBINGOを久しぶりに鳴らしたら、その時には調子が良かった。若い店員さんが「これが伝説のBINGOですか、初めて音を聴きましたが圧倒的にいい音ですね」と商売を忘れて感心しきりだった。でも、その楽器店での1時間以内の間にまた調子が悪くなってまた音が鳴らなくなってしまった。

b0061413_031753.jpg その後で何種類かのアコーステック用のアンプの新製品を試させてもらったけれども、調子がいい時のBINGOの音が耳に残っているのでお店にあった数種類では何だか満足できなかった。私はけっこう高い修理費がかかってもいいので、BINGOをお店に置いて修理を頼むことにした。すると数日後に電話があり「加藤さんすみません、元々15年近く前の製品なので部品調達など修理が難しい上にAERのBINGOは輸入代理店がかわってしまっています、修理可能かどうかを判断する点検に7000円かかることになるのですが…」と実に申し訳なさそうに店員さんが言った。つまり7000円払って調べてもらって「修理不可能です」と宣言されることもあるのだなぁと思うとその電話で2分ほど考えさせてもらったけれども「ああ…引取りに行きます、修理や検査はいいです」と言うことになった。一応、このBINGOの後継機種というか輸入代理店をかえてのこの系統のアンプは入手可能らしいけれども、これは実際にその音を聴いてみないと買えない。手放すつもりがまた自分の元に帰ってきた。相変わらずに「調子が良い時しか音が鳴らない」という状態だ。でも、最近ではそれもまたいいのかもしれないと、負け惜しみながらそう思っている。私自身も「よっぽど調子が良い時でないと演奏しない」のだから。  ※ と、このブログ記事を書いた直後にFacebookにオールドマーシャルなどのアンプを修理した経験がある旧友から「修理可能かもよ」という連絡が入った。それでも直らないかもしれないけれども、でも書いてみて良かったなぁ。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-03-07 01:08 | 物草
2015年 01月 11日

草煩悩(20) Snowpeak(スノーピーク)の椅子

b0061413_2273310.jpg Snowpeak(スノーピーク)のフォールディング(折りたたみ)チェアである。5年前に自宅のリフォームをした時に革張りのソファタイプの椅子などを処分した。それは高度成長期あたりのゴージャスの象徴のようなものであったが、いろんな意味でその「重さ」に疲れた。庫裡(くり)と呼ばれる寺院の住居は、年間の行事によって色々な使い方をせざるを得ないので椅子をほとんどキャンプ用品の折りたたみの椅子に切り替えたのだが、その結果はいいことの方がかなり多い。 ゴージャスな椅子に比べてこのタイプの椅子はカジュアルという言葉が浮かんでくるけれども、まずは自宅でカジュアルに飲む酒が旨い。酒を飲むには高級な革張りの椅子の方が良さそうに思えるし、確かに最初はそんな感じもするけれども1時間以上を経過すると何だか疲れてくる。キャンプ用の椅子は「ずっと座り続けていても疲れない」ということに気がついて、食卓の椅子もディスクトップパソコンに向かう時の椅子もすべてこのタイプにした。考えてみれば巨匠と言われる映画監督なんかもこういうタイプの椅子にかなりの長時間座り続けている。自宅のなかでの椅子の移動が容易であるし、だいたいキャンプをはじめとして行楽には家族で出かける人数分の椅子をたたんで車に詰め込むのだ。 Snowpeakの製品は「全製品をずっと修理部品代実費で面倒みます」という方針のもとに保証するのは当たり前という考えで作られているのだが、正直言ってキャンプ用品としては高価な製品が多い。なのでSnowpeakの椅子を家族の人数分以上をまとめ買いした時には「結局はゴージャスな椅子と値段ではそんなには変わらないぐらいか?」とさえ思った。しかし購入した後で数年を経過した今は不具合が起こった時には同じ新潟県内にあるSnowpeak本社(広大なキャンプ場も兼ねている)に持ち込めばいいという安心感もあって、やっぱりこれにして良かったと思う。 そのSnowpeakの椅子のなかでもお気にい入りは横がワイドになっている現行品ではなくて写真の5年ほど前のタイプのもの。ワイドでない分の「ちょうどいい感じ」がたまらなく好きだ。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-01-11 22:50 | 物草
2014年 12月 09日

草煩悩(19) 高田耕造商店の純国産最高級たわし

b0061413_114481.jpg 今年の夏、京都出張での用事が終わり錦市場の大安というところで昼間酒を飲んだ後で、地下鉄に乗るために千鳥足で歩き、そのまま何気なく東急ハンズの京都店にフラリと入った。キッチン用品のコーナーに化粧箱に入った「たわし」がディスプレイされていたのを最初は何かの冗談だと思った。たわしが化粧箱に入っていたのを初めて見た。小さいサイズのたわしで2400円、普通のサイズで税込だと3000円を超えるというのも驚いた。昔、デパートのなかのエルメスのお店でディスプレイしてあったポロシャツを一目で気に入って値札を見たら、どうも願望があったのか最初の一瞥(いちべつ)で1500円に見えて「こりゃ即、買いだなぁ」と思ったら、二度目に見たら「やっぱり15000円か、そうだよな、うーん迷うなぁ…」と思いつつ、冷静にもう一度桁を数えたら150000円だった。さすがに一点豪華主義を貫こうと思っても、15万円のポロシャツは気軽に着れないのでやめた。その時以来になる「二桁違いショック」であった。通常、たわしというのは雑貨屋、ホームセンター、スーパー、の他に100円ショップで税込108円で売られているものというイメージがある。今月14日の解散総選挙の結果がどうなるかはわからないが、おそらく今後も2年近く100円ショップでは108円で売られるであろう。それが約30倍の値段で売られている。私は酒が入っているせいもあって、その純国産高級たわしを購入したのだった。ただ、正直に書けば、その時は純国産高級たわしの良さを知ろうという動機で購入したのではなかった。シャラポア(妻・日本人)に「たまにはお前に高級品のプレゼントだよ」と、化粧箱に入った品を渡してワクワクしながらそれを開けたらタワシがひとつだったらどうなるだろうか?というリアクション見たさに通常の30倍するたわしを東急ハンズで買い上げたのであった。ある意味、酔っぱらいらしい買い物であり、購入の動機は不純だった。そして、帰ってからそのプレゼントはそれなりにウケた。それで目的は達したように思えたが、シャラポアが本当のプレゼントをもらい続けることになるのは、その後日からであった。 私は調理は好きだけれども洗い物は嫌々やってきた。ところがどうだろう、この高田耕造商店製の最高級たわしに関しては、まるでサラブレッドの毛を撫でながらその感触を楽しんで愛でるかのように、自分の方から積極的に触りたくなってしまうのだ。もうチクチクして指先を痛める従来のタワシには戻れないワタシが居る。後に専用のガラスコップ用も購入するのだが、ガラス容器などは効果てきめんである。かなりゴシゴシやってもガラスを傷つけることがない。それでいてコーヒー牛乳を飲んで一日放置してあったようなコップもバッチリ落ちる。これは、体も洗えるのではないだろうか?と思ったら、何と本当に高田耕造商店では全社員が体も頭もこのたわしで洗っているのだそうだ。原材料は棕櫚(しゅろ)であるけれども、そのしゅろの栽培自体を高田耕造商店が手がけ、その製造に関して薬品類は一切使っていないという。 食器もそうだが調理器具のなかでも私が愛でている鋳鉄製のダッチオーブンなどは、このたわし以外は使いたくない。本体に傷をつけることなく汚れを落とせるので安心してゴシゴシできる。 購入後約半年が経過しているが、何とこのたわしは「使えば使うほどに状態が良くなってきている」という感触まである。使えば使うほどに劣化をするのではなくエイジングされていくというようなものが、ダッチオーブンやジーンズや楽器以外にも存在した。しかもこんな身近なところにあった。どうもこの高級たわしの存在は業界内でも旋風を巻き起こしたらしく、大手の亀の子たわしも棕櫚を使ったたわしを「亀の子 棕櫚たわし極メ」というシリーズとして500円前後(3000円の衝撃こそないものの、たわしとしては高級品の位置づけである)の値付けで出している。高価なものだが、毎日のように使うものだけに高価であった効果はすぐに出る。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-12-09 13:43 | 物草
2014年 07月 01日

草煩悩(18) マグリットの空の傘とネギの傘と末娘考案の傘

b0061413_13174195.jpg 今まで、このシリーズは自分の愛用品とそれについての愛着なり思い入れを記してきたが、このたびは「かつて愛用していたのだが失くしてしまったもの」について書く。したがって愛着というよりも執着が先にくる。写真はかつて愛用していたのだがどこかに置き忘れてしまったルネ・フランソワ・ギスラン・マグリット (René François Ghislain Magritte)の空の絵が描かれた傘である。かつてシャラポア(妻・日本人)がプレゼントしてくれた象印(ハンティングワールド)の高級な傘をどこかに忘れてこっぴどく怒られて以来、高級な傘などもう絶対に持たないと心に決めていた私であったが、マグリット展をやっていた時の新潟県立近代美術館(長岡市)のショップで売っていたのを見つけて一目惚れをして買ったものだ。まず雨の日や雪の日に傘をさせば青空が広がるということ自体がシュルレアリスムそのものであるなぁと思ったからであった。冠婚葬祭の葬には不適切であるが、一時期は自慢気に愛用した。雨の日にこれをさしてキャバクラやスナックに得意げに行った。このように目立つというか素晴らしくアウトスタンディングな傘であれば置き忘れる心配はなく、もしも忘れたとしてもすぐに見つかるはずだと思ったものの、どこかに痛恨の置き忘れをしてしまった。どこか、なんて場所はないのだが、どこかが特定できるぐらいであれば忘れない。というわけで、外から帰ってきて水滴が付いている様子も実にシュールだなぁと写真を撮っていたぐらい好きな傘であったのだが失ってしまった。「傘を忘れるのは必ず晴れている時である」という名言なんだかマーフィーの法則なんだかわからない言葉が生まれてきたことだけが収穫であった。やはり傘をなくさないようにするためには千利休がその七則の第一にあげた「雨はなくとも傘の用意」というぐらいの心がけを常にもつようでなくてはいけないのだろう。

b0061413_1312926.png 話にオマケを付け加えるとして、NASAが開発中の超音速旅客機が実にネギに似ているとネットなどで評判である。なるほどひと目でネギに馴染みがある多くの日本人にとっては超音速で飛ぶネギなのか?と思い、さらに見ればみるほどにネギである。念の為に解説すると、写真の上のほうがNASAの産業パートナーであるロッキード・マーティンが作成したデザインであり、下のほうがネギである。これだけでも似ているがネギの根の方の先端を細い機首を表現するように斜めにカットすればさらに似てくる感じがする。

b0061413_13122110.jpg そこでブログ記事のマグリットの傘と併せて思い出したのが「台湾製のネギの傘」のことであった。アマゾンや楽天やヤフーでは取り扱っていないのだが、なかなかいいなぁ、もっとストレートに言えば欲しいシロモノだなぁと思ってしまった。パソコン画面にこのネギの傘の写真を出している時に近くに居た末娘(8歳)に「ほら、こんな傘があるんだよ」と言ってみると笑いながらも即座に「私はスイカの傘が欲しいなぁ、外側は緑のシマシマで、傘を開くと内側は真っ赤で黒い種が描いてある傘があったらいいなぁ」と言った。うーんバカ親としてのひいき目があることを承知で、先日の雪ダルマの和菓子のデッサン画もそうだったが、この末娘の発想は独特でユニークである。絵を描いたりキャラを考えたりすることは現在は高校1年生の長女の少女時代もそうだったのだが、さらに末娘ものもは妙にプラグマティック(実用主義)でありなおかつどことなくシュールなのである。スイカの傘、絵を描かせて別注するか?

b0061413_13124196.jpg 末娘に負けじと私もシュールなものの創作をしたくなったが、思いついたのは「ネギを背負った鴨の像」というオブジェを作りたくなってしまった。彫刻、というものはやったことがないので粘土細工でチェレンジしてみようかなぁ。本願他力(他力本願などという言葉は本来はないのです)を「棚から牡丹餅」という用語例で使われることには不快な思いをもっているが「幸せとは掴むものでもあるけれども基本的にはやって来てくれるものである」ということは確かであると思う。その恵みに対する感謝感激も忘れてはならない。そのやって来てくれた幸せに対して「おお!ダブルラッキー!」と叫びたくなるダイナミズムを表現するのに「ネギを背負った鴨の像」というものはなかなかいいのではないだろうか。上手くいけば粘土細工で作ったものを3Dプリンターで増産して各ご家庭で鮭を咥えた木彫の熊の置物にとってかわるオブジェとして広まっていく可能性があるのではないだろうか? と妄想の暴走をしつつ、実は私が発想する「ネギを背負った鴨の像」も「スイカの傘」も、もしかしたらすでにこの世にはあるかもしれないともちょっと思う。 ただ、大事なのは想像して創造すること。マグリットは散歩中、路上に絵を描いている子どもに出会うと、その絵を踏まないように、絵を描く子どもの作業を邪魔しないように遠回りして歩いたという。この世にすでにあろうがなかろうが「スイカの傘」の想像を私は大事にしたいなぁ。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-07-01 14:26 | 物草
2014年 04月 22日

草煩悩(17) 象印(HUNTING WORLD)のジーンズ

b0061413_841490.jpg HUNTING WORLD(ハンティング・ワールド)の製品のことをここでは「象印」と呼ばせていただきたい。いきなりだが20年近く前に体重が94キロにまでになったことがある。放っておいたら100キロ越えになっていただろう。草野球で哲学堂グランド(東京)で外野フェンス直撃の長打を放って「三塁打だ!」と直感したが二塁をまわったところで早急に送球は帰ってきて、しかもしばらくは二塁の塁上でゼーゼーハーハーしていた。「こりゃイカン!」と遺憾に思って己のサボリ体質は真面目に自覚していたので半年先のハーフマラソン大会にエントリーカードを提出し、深夜のスロージョギングをコツコツとやった。さらに痩身化計画のダメ押しのため「スリムになった時に履く高級ジーンズを買う」ということを思い立った。半年間の深夜の夜食分を充当すればいい。池袋駅の東口の西武で買ったか西口の東武で買ったのか、西も東もわからぬ私には思い出せない。(とりあえず西本願寺ではなく東本願寺に属している)とにかく「あのぉ…もっと大きなサイズもありますが本当に試着はしなくていいんですね?」と言われたことは覚えている。

b0061413_8412211.jpg その象印のジーンズが半年後にバッチリと履けるようになったことは私なりの快挙であった。その後、たまにしか履かなくなったとはいえかれこれ20年近く経って、一種の「天然物ヴィンテージ」と化している。写真の皮パッチは、あの有名な象印のバックと同じように象の印があった。普通、象印のバッグをそのまま洗うということはないと思うのでバッグを持っている方は安心していただきたたい。ただ、10年ちょっと経過時点ではしぶとく象印は残っていたのであるが20年近くの時を経て象の印も文字も完全に消えてしまった。一枚の皮が縫い付けてあるだけという、何ともマヌケにも見える図がここにある。昨日8歳の誕生日を迎えた末娘は「ここにマジックで名前を書けばいい」とすすめてくれるし、シャラポア(妻・日本人)は「私が象のイラストを描いてやろっか?」と言う。私は実はシャラポアのイラストのファンであるし、名前を書くのもどっちも真面目になかなかいいと思っている。とにかく、象印の象が消えてしまったことに一抹の寂しさはあるものの、高級ブランド品という呪縛から解き放たれて「よそ行きの普段着」というような位置づけから純普段着となった。それは降格とか二軍落ちということではなく、ブランド品であるから愛されていたモノから無条件に愛されるモノに時を経て転化したのである。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-04-22 09:39 | 物草
2014年 02月 28日

草煩悩(16) ムーンフェイズ付き腕時計

b0061413_2327124.jpg 今日は2月28日で、僧侶の同業者には忙しい人が多い。というのは、月忌参りといってご命日に当たる日にお参りに行く場合、31日がご命日の方の家の場合には、4月と6月と9月と11月には30日に併せてお参りをさせていただく。(うちの寺の場合です)2月の場合は、今日の28日に28日と29日と30日と31日が命日の方のところをお参りさせていただくということになって忙しくなる。閏年は一日分だけ余裕があるが、それにしても三日分となる。グレゴリオ暦は、4年に一度の閏年だけ一日分を加えて調整し、1年をデジタル的に365分割したものであるが、当たり前だが毎年2月は日が少ない。サラリー(月給)というものをもらっていた時代だけはこの2月が好きだった。28日間、あるいは閏年でも29日間という期間であるのにサラリーは31日間ある月と同じ月給が銀行にちゃんと振り込まれたからである。 さて、デジタル的なグレゴリオ暦をもとにしながらカレンダーがあり、日程表などがある。それをもとにデジタル的に何曜日の何日の午前あるいは午後の何時からこういう予定にしましょうね、と打ち合わせる。これが世の中のリズムになっている。こうでないと鉄道や飛行機やバスはダイヤを組めないし、テレビ局やラジオ局は番組表を作成できない。それはデジタル的な良さである。ただ、人間というのはデジタル的なものを使いこなせたり考え方ができうることは大したものであるが、生物として極めてアナログ的な部分もある。部分もあるというよりは、かなりの部分がアナログ的であり、ことに感性の部分はアナログ的なものが大半といってもいい。 さて、写真の腕時計は国産のムーンフェイズ(月齢表)付きのものである。昨年の東北楽天ゴールデンイーグルスのパ・リーグ制覇での「楽天優勝セール」で購入したものである。これだけが星野監督の背番号にちなんだ77%OFFでゲットできた。77%OFF製品は「数量限定ですぐになくなってしまっていた」という苦情が多かったのであるが、狙っていたBOSEのパソコン用スピーカーの77%OFFの購入をほんの少し躊躇してからクリックしたらすでに売り切れていて熱くなっていたところだった。だから衝動買いといえば衝動買いなのであるが、中世の文学はもちろんのこと明治に入ってからもしばらくの間までの日本人は「カレンダーはなくても空の月の状態はどうなっているかみんな知っていた」ということを薄々感じていたので 「江戸の刻」というちょっと変わったムーンフェイズ時計を購入するつもりでいたと妻(日本人・シャラポア)にも公言していたのであった。「江戸の刻」はなんせ和服にもバッチリ合うはずだし、毎月リングをはめ変えなければいけないのはちょっと面倒だが、和服にこの腕時計でキャバクラなどに行き「いけねぇ、もう丑の刻でぇ、そろそろおいとましねえと女房に怒られちまぅ、まあ今夜は満月だからお月様でも見上げながら帰ぇるかぁ」と言いつつキャバ嬢に小判(オモチャ)をチップに渡すということをしてみたかったのである。そういうわけで、元々ムーンフェイズ時計はずっと欲しかったのである。 25年ぐらい前だったと思うが、腕時計の世界でこのムーンフェイズというのが流行ったような時代があったような気がする。15歳のうちの長女などは当然それも知らないので「今日は月がキレイだったなー」なんてことを言ったら腕時計を見せて「こういう形をしていただろう?」と言うと「何それ?オッシャレー!最新式?」などと反応する。古いものは新しいということだ。ブレゲが18世紀後半に作った時計には、現在と同じ仕組みのムーンフェイズがすでに用いられているそうだ。今でもオメガなどのスイス製にたまにムーンフェイズ搭載のものを見かけるが、機械式はえらく高価であるのはもちろん重くなってしまう。(それがいい人にはそれでいい)私のは国産のクォーツで(それもグランドールなのでどこまでが国産か…?)大雑把にいえばカシオのG-SHOCKぐらいの値段である。しかも滅多に大幅値引きがされないBOSEのスピーカーとは違って、購入した後でのネットショップ情報を見ればけっこう大幅値引きもされている商品であった。それでも私はこのムーンフェイズ付きの腕時計をたいそう気に入って常用しつつ愛でている。先日、「何だか今日の宴会はずいぶんと盛り上がったなぁ」と感じつつ腕時計を見たら満月であった。実は月とのそういう相関関係を感じたことは特にこの腕時計をしてから実に多くあった。昔の太陰暦では祭りの日は満月の日に設定されていたことであろう。ただ、いいことばかりではない。ムーンフェイズ時計を腕にはめて新聞を読んでいると感じる(これはデータをとったわけではなくて感触に過ぎない)が、突発的な暴行、傷害、殺人事件というものも満月の日やその前後に多いような気がしている。さらにこれも個人的な感触でしかないけれども競馬で万馬券の大きいのが出たりするのも満月や満月に近いレース日が多いような気がしている。まあ人間の勝手な予想でオッズというものが出るので本命がコケやすいとわかっても万馬券の組み合わせなど無数にあるのでなかなか有効利用はしにくいけれども、この感触から「月を愛でた上での風流な馬券」というものもたまに買ってみたいという気はしている。 満月の夜のように月の引力が強い日には大陸が16センチほど浮き上がっている。どこかの地域がそうだというのではなく地球自身が微妙に「楕円形に歪む」ほどにそうなる。「16センチも浮き上がるなんてウッソだー!」と言われちゃうけれども海を見れば潮の満ち引きで数メートルも違っている。陸上、海上、海中を問わず多くの動植物がその影響を受ける。血液を中心とした水分でカラダの大半ができている人間がその影響を受けない方がおかしい。 今年は買いそびれてしまったけれども、来年は月齢表も付いている 農家日記 とか ヨガ手帳 なんかも併せて使うかもしれない。そして宴会や飲み会や馬鹿騒ぎのスケジュールはなるべく満月の夜に組み込んでいきたい。来年の今頃、私は狼男になっているかもしれない。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-02-28 01:01 | 物草
2014年 02月 03日

草煩悩(15) 昔のスノーピークのトートバッグ(S)

b0061413_0522776.jpg 東本願寺の近くの北川仏具店(烏丸通りをはさんで東本願寺の東側なのに北がわ仏具店なのだ)に用事があって立ち寄った。この仏具店さんとはお互いの先代からお付き合いがある。すると北川仏具店さんのご夫妻がそろって私のバッグを指さして「うわっ、それは昔のスノーピークのバッグじゃないですか!」と言ったのであった。今まで知らなかったのであるが、ご夫妻はアウトドア活動の愛好家であり、割と最近にテントやタープなどを念願のスノーピーク製品で揃えたらしい。琵琶湖湖畔に新品のスノーピークのテントとタープをはったのはいいけれど「トータルの値段を考えたら、もしも盗まれちゃったらどうしようとついつい考えてしもうて、テントをはった場所から一歩も動けなくなってしまいましたわ」とご主人は言った。そんなスノーピークの高級テントに比べると、このバッグはモデルチェンジされている現行品も5000円を切っているはずだ。うわぁ~超高級品だぁという値段ではないと思う。ショルダーバックにもなり、満載しても中身がネットで落ちない工夫もあり、程良いサイズであり、常用してからあっという間に10年ぐらい経過しているのではないだろうか。防水のビニールに表面は丈夫な6号幌布(キャンバス)を組み合わせて作られているようだ。「うちが作った製品で修理と修復が可能なものは対処させてもらいます」というスノーピークの方針に今後もブレがない限り(たぶんそこはブレないと信じる)さらにヘタれたとしてもまだまだ使い続けると思う。北川仏具店を出て烏丸通りを京都駅に向かって歩く途中で、私はふと気がついたことがあった。なるほど、仏具店さんも仏具の製作と販売とともに、仏具の修理と修復ということも大事なお仕事である。スノーピーク製品と仏具、アウトドアと(原則)インドアでまったく関連性がないように思えて、ご商売における哲学には通底するものがあるような気がした。端的に言って、数あるアウトドア用品のなかで仏具店のご夫妻がスノーピーク製品を好まれてそれを選ぶということが実に自然なことのように思えてきたのであった。「スノーピークの山井社長も真宗門徒で北川さんのところで扱っていらっしゃる系統の仏壇と仏具でお参りしていらっしゃるんですよ」と言ってアウトドア愛好家の北川さん夫妻を喜ばせてやりたくなったが、それは京都駅の手前まで歩いて来てふと頭に浮かんだことであり、また次回の再訪を楽しみにすることにした。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2014-02-03 01:34 | 物草