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2015年 03月 31日

どこに毒があるかわからない時代のフグを味わう

私はミュージシャンとしての桑田佳祐よりも、もしかしたら
ラジオでのパーソナリティを中心にしたDJとしての桑田佳祐が大好きかもしれない。
ものすごく幅が広く、なおかつマニアでもある彼から教えてもらったミュージシャンは実に多く、
そのいくつかを高校生以来ぐらいからずっと愛聴しているということも少なくない。

同じように当人の芸もさることながら、北野武(ビートたけし)のお笑いマニアぶりと
その的確な芸能評論もたまらなく好きである。
こちらの方も本人の監督した映画やお笑い芸よりも好きかもしれない。

ダウンタウンの松本人志にもそういうところがある。大変なお笑いマニアでありつつ、
お笑いに関する評論が実に的確である。少なくとも私はそう思う。
ナンシー関さんがまだ生きておられた頃だから、けっこう前の話であるが
松本人志がどこかで
「お笑いに関しての意見やコメントで的確で信頼できるのは
 ナンシー関さんとみうらじゅんさんの二人だけだ」
と断言していて、本当にそうだなぁと思った。

その松本人志が最近はフジテレビで『ワイドナショー』(毎週日曜10:00~10:55)
というのをやっている。
日曜日の法事を勤めている確立が高い時間帯なので、たいがい録画して
月曜日か火曜日に観ることが多い。
松本人志が信頼する、そのみうらじゅんも時々ゲストとして招かれているようだ。

川崎市での中学一年生の殺害事件のことに関して、みうらじゅんは
「法整備のことを言うよりも、私は仏教が流行ればいいと思うのです」
とコメントをした。
今までのみうらじゅんのコメントが
「サッカー日本代表の新監督はスピルバーグ監督ではダメなんですか?」 
とか
「国会議員の路上キスは路チューではなくて空チュー、地チュー、水チューなら良かったのに」
などの、面白すぎる大ボケコメントが多かったために
「法律よりも仏教が流行ればいい」
とのコメントにはスタジオ内に笑い声が起きたのだが、
私はおっしゃるとおりだと思った。
そして、流行らせたいな、流行らせなきゃ、と感じた。

さて、これは先々週の3月15日放送分だったのだが、
主に川崎の中1男子殺害事件に関するネット私刑と実名報道等について
松本人志は
「まず被害者の写真をあれだけ出しておいて…まず被害者を守って欲しい」
という正論を述べた上で、その報道の現状とネット私刑などの問題を全部ひっくるめての
感想であると思うのだが
「フグがまだ食べ慣れていない感じで…どこに毒があるか分からん時に食わされている感がある」
と述べた。

松本人志はギャグとして成立している時でも成立していない時でも
こと比喩(たとえ)については天才的な閃きとセンスをもっている人だと思っているが、
この言葉は実に今の時代の空気を思いもよらなかった方向から言い当ててくれた気がする。

イギリスで産業革命が起こったばかりの時代には、労働者も資本家もその毒がどこにあるか
よくわからないままにフグを味わっていたようなものかもしれない。
高度成長期の日本は公害問題などの毒の部分に気がつかなかったり無視をしつつ邁進していった。
原子力発電は、放射性廃棄物の処分が確立されていないことなどの毒の部分は最初から
わかっていたのだろうけれども、そのうちに毒消しができるのではないかという楽観と
毒の部分を意識させない風潮をあえて作った上でフグを喰ってきた。

どこに毒があるのか、どこに薬があるのかもわからないままではあるけれども、
とにかく仏教は流行らせたい。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2015-03-31 01:53 | 草評
2015年 03月 27日

箱入り末娘

b0061413_122437100.jpg 散らかった部屋をブログに投稿すると家族に怒られることもあるのだが、まぁ面白すぎたので勘弁してくれ。ディスクトップパソコンで作業をしていると背中に不気味な気配を感じ、さらに何かが後ろ頭に当たった。振り向くと、8歳の末娘が縦長の段ボールをスッポリと被りながら私を驚かせに来ていた。わははははは、素直にビックリしたぞ。さて、この箱のなかにはその末娘も大喜びの品物が入っていた。答えから先に言うと、実は麻雀牌(マージャンパイ)と麻雀用の消音マットのセットであった。引き出物代わりにもらってきた選べるカタログをめくっていて、高級海苔にしようか梅干し詰め合わせにしようかと迷っていたところ、横から中学生の息子とこの末娘が「これがいい!絶対にこれがいい!」と指さした代物が、玩具欄のコーナーにキッズ用玩具に混じってあった麻雀セットであった。息子はもちろんこの8歳の末娘も、シャラポア(娘の母・日本人)とともにテレビで麻雀のシーンがある時(たとえばドクターX)などを見ている際に「これがやりたい、これが欲しい!」などと画面を指さして言っていた。昔、質屋さんなどが街角にあった時代にはよく店頭に置いてあったのが麻雀牌だが、最近は玩具店やデパートなどでもなかなか見かけないので、その子どもたちの熱意にも負けて「よし、これにしてやるか」と決めた。 それにしても食べ物にしても温泉にしても「昭和の文化大好き少女」である末娘の本領発揮である。私とシャラポア、息子、末娘という組み合わせで時々麻雀を打つ。(高校生の長女はまるで興味なし) 末娘には2・2・2・2・2・2・2というセブンペアの役である七対子(チートイツ)という技と、ポンやチーをしたいけれども我慢させて2・3・3・3・3の組み合わせを目指して「あとひとつ」になったところでリーチをかける(結果としてピンフやタンヤオにもなっていることがある)という2つの技を何とか理解してもらった。七対子をやっている時には手配が7つに区切られているで何をやっているか丸わかりなのであるが、それでもけっこうテンパイまで持ってくるし、テンパイすれば何の単騎待ちをしているのかまるで分からないのでそれはそれでけっこう健闘してくる。 中学生の息子はもともと囲碁や将棋が大好きであり、麻雀の役もよく理解している。ただ、三色(さんしき)という役がカッコいいと思っていて決め打ちをしてくるのでフリテンで悩むことが多い。 もちろん、プライド以外は何も賭けていない。末娘は牌をかき混ぜつつ、積み木感覚で積み上げてご満悦である。私もサントリーオールドのロックなどを飲みながら麻雀を打っていて「昭和かっ!」と思わずつぶやく。思えば、その麻雀マットを敷いたコタツそのものが末娘のリクエストで購入したものであった。「薪ストーブがある家にコタツは不要だろぉ」という私の意見に対して「コタツでみかんを食べる以上の幸せがどこにあるか?」と幼いながらに精一杯私を説得して購入したコタツだ。 そんな末娘に私は「昭和かっ!」というツッコミを入れることが多いのだが、それもまた悪くないなぁと思うのであった。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2015-03-27 13:01 | 雑草
2015年 03月 24日

アコースティック・ギターアンプAERのBINGOのその後

b0061413_1892754.jpg 今月、ブログに書かせてもらった愛用品のアコースティックギター用のアンプに嬉しい後日談ができた。実は、その日のブログを読んでいた旧友から「もしかしたら私が修理できるかもしれないよ」という連絡をいただき、アンプの輸入代理店も代わり「見積もりのための点検だけで7000円かかり、修理不能という判断もある」と言われて落ち込んでいた私には大変な朗報であった。しかも、それを診てくれたのが大学で電気工学を学び大手ゲーム機メーカーに就職し、アコースティクではなくてエレキだけれども自分でもギターを弾くことを趣味としていて、しかも古いマーシャルのアンプを見事に修理した経験もあるという、もうこれ以上最適な人はいないと断言できるほどの人材がブログを読んでいてくれていた。 結論から言えば、故障はけっこう深刻であり、15年間の経年劣化もあって簡単にはいかなかった。しかし、苦労をして部品を探してもらっていて「部品がかなり特別なものを使っているので取り寄せるのに時間が数ヶ月かかる」ということであるが「しばらく待ってもらうことになるが、たぶんそれで修理が可能だろう」ということであった。嬉しいお知らせが多くて、何だか矛盾しているようだけれども「これだけ喜ばせてくれたら、もはや治らなくても悔いなし」といった気持ちである。それで、自分では怖くて分解できなかったし、分解しても何がどうなっていることなど到底わからないのであるが、点検のためにアンプを開けてもらったところを写真で送ってもらった。 私はてっきり真空管などのレトロでアナログな部品が使われている(ある高名なブルーズギタリストも、アフターライブで一緒に飲んでいる時にこのアンプの話をしていたら御自身も愛用者でこのBINGOのことを真空管アンプだと思い込んでおられる)と思いきや、けっこう要所にドイツ製などのデジタル部品が使われているという。どちらにせよ、デジタルを駆使しつついかにもアナログ的な音を出していたなんて、何だかわけがわからなくなってきた話だけれども、それはそれで改めて知って感動している。 そしてMICジャックにNEUTRIKの刻印があって欧州のコネクタ等の専門メーカーのものが使われていたそうだ。このジャックはキャノンケーブルと普通のフォーンプラグが使用できる二刀流で、ギターアンプといえばこのBINGOの他はほとんど知らなかった私としては、その異なるプラグの両方をつなげることはけっこう当たり前と思っていたら「かなり珍しい部品を使っているからできること」ということらしい。愛用品だと言っていて、初めて知ることが多い。 どちらにしろ、ブログ記事を書いていて良かったなぁ。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2015-03-24 18:35 | 物草
2015年 03月 20日

コッヘル267番 塩鶏バルサミコソース

b0061413_11242074.jpg ひとつ前のコッヘル266番の塩鶏は、鶏肉の特に胸肉を使う料理の原型のようなものになっている。塩鶏を使って色々なバリエーションが広がってくるしそれを楽しめる。今回はベースになっている塩味にほんの少し別な調味料を替えてみるだけで、その基本的なパフォーマンスを発揮してくれて立派に主菜的な役割を果たしてくれるということで簡単なバルサミコのソースを紹介してみたい。以前にも書いたことがあるけれども、バルサミコ酢というのはそのままでは使いにくい酢のように思えて、煮詰めて黒いソース状にするだけで実に優秀なソースとなる。実際にイタリアンのお店で(フレンチでも)イカスミ以外で黒いソースというのはたいがい、この「煮詰めたバルサミコ」である場合が多いように思う。ただ、バルサミコ酢単体では非常に焦げ付きやすいのでオリーブオイルを混ぜるといい。万能型の塩鶏という素材に、これまた万能ソース的な使い方ができるソースとの組み合わせはやはり相性もいい。塩味も鶏本体の部分だけで丁度良い感じだ。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-03-20 23:41 | 草外道
2015年 03月 17日

コッヘル266番 塩鶏

b0061413_21213585.jpg これは鶏胸肉を使った料理のなかでも「これがなくては困る」というぐらいの定番となっている。これは現在は放映されていない生活情報番組の「はなまるマーケット」でも紹介されて反響をよんだ。考案したのは主婦ブロガーの西山京子さんである。そのオリジナルのレシピと調味料の分量については、本家のブログを参照(リンク)させていただくことにしよう。手順としても(1)鶏の胸肉の観音開きをして厚さを均一にし、フォークで数ヶ所穴をあける。(2) 鍋に開いた鶏胸肉、砂糖(小さじ1)、塩(小さじ1)を入れてもみこむ。(3)皮の面を下にして日本酒(50cc)を回しかけ、アルミホイルの落し蓋をして中弱火にする。(4)湯気が立って鶏肉の淵が白く、表面が白っぽくなったら上下返して1~2分蒸し煮にし、火を止めて約5分以上蒸らす。(5)切り分けて皿に盛る という五つの工程だけでいい。しかも、しかもですよ!もうこれ以上は省略できないだろうと考えていたこの工程の「鍋」の部分にダッチオーブンスキレットを使うと(3)のプロセスのなかのアルミホイルでの落し蓋さえ省略してもいいことに気がついた。(4)の5分以上の蒸らしの時間をダッチオーブンかスキレットのリッド(蓋)をかけておけばいいだけということに気がついた。 出来上がったものはシンプルながらいつまでもジューシーで飽きの来ない極上の肉料理である。鶏胸肉なのでサラダの他に色々な他の料理にも流用できるし、いずれはこのシリーズのなかで紹介したいが鍋に残った調味料にお湯を注ぐだけでもかなりいい感じのチキンスープができる。 もはや我が家のローテーションの柱ですらある。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-03-17 21:45 | 草外道
2015年 03月 14日

草仏教掲示板(79) 人を選ぶ人は人に選ばれない (ある女子高生のつぶやき)

b0061413_23483365.jpg ある女子高生のつぶやきをそのまま法語として掲示させていただいた。選びということを否定しているわけではない。希望通りであったかどうかは別として、高校生以上ということになれば選んだ学校に通っている。そこで友人関係も形成していく。そういうなかでの実感のあるつぶやきであった。

マーヒー加藤(ブログ文)
日本人・シャラポア(書)
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by kaneniwa | 2015-03-14 23:57 | 草仏教
2015年 03月 11日

3月11日

4日間ほどブログ投稿をしていなかったら
3月11日になってしまった。

東日本大震災が起こった日であるけれど、いつものようにブログの更新をしておくか、
とも思ったけれど、いつもより長くパソコンの前に座っていたけれども
何だか一行も書き出せなくて時間が過ぎた。

もう早くも4年が経った。
小学生だった長女が高校生になっていると思うと
その実感もひとしおだ。

2、3日前の陽気が嘘のように今日は寒風が吹き荒れている。

マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2015-03-11 18:06 | 草評
2015年 03月 07日

草煩悩(21) AERのBINGO(アコーステックギター用アンプ)

b0061413_0304768.jpg AERというドイツ製らしいアコーステックギター専用のアンプである。最近知った話だがJAZZギタリストのパットメセニーはフルアコとはいえエレキギターでも一時期はこのアンプからの音色を気に入って使用していたらしい。2000年頃に、まだ勤め人でボーナスというものをもらっていた頃に、そのボーナスを頂いた直後に購入した。楽器店の店先でその音色に吸い寄せられるようにして買った。結婚後のもっとも大きな衝動買いであったかもしれない。これに接続するタカミネのエレガット(ナイロン弦のプラグ接続可能なクラシックギター)と同じぐらいの価格だったのだ。かれこれ15年近くが経過して、困ったことに「調子が良い時しか音が出ない」という状態になってしまった。そこでこのアンプを片手で持って(重たいけれども取っ手が付いているので何とか片手で持てる)楽器屋さんに買い替えに行った。気に入ったものが見つかれば下取りに出そうと思ったのだ。ところが比較のためにお店のサイレント仕様(アンプにつながないと音がほとんど鳴らない)のエレガットを借りてこのBINGOを久しぶりに鳴らしたら、その時には調子が良かった。若い店員さんが「これが伝説のBINGOですか、初めて音を聴きましたが圧倒的にいい音ですね」と商売を忘れて感心しきりだった。でも、その楽器店での1時間以内の間にまた調子が悪くなってまた音が鳴らなくなってしまった。

b0061413_031753.jpg その後で何種類かのアコーステック用のアンプの新製品を試させてもらったけれども、調子がいい時のBINGOの音が耳に残っているのでお店にあった数種類では何だか満足できなかった。私はけっこう高い修理費がかかってもいいので、BINGOをお店に置いて修理を頼むことにした。すると数日後に電話があり「加藤さんすみません、元々15年近く前の製品なので部品調達など修理が難しい上にAERのBINGOは輸入代理店がかわってしまっています、修理可能かどうかを判断する点検に7000円かかることになるのですが…」と実に申し訳なさそうに店員さんが言った。つまり7000円払って調べてもらって「修理不可能です」と宣言されることもあるのだなぁと思うとその電話で2分ほど考えさせてもらったけれども「ああ…引取りに行きます、修理や検査はいいです」と言うことになった。一応、このBINGOの後継機種というか輸入代理店をかえてのこの系統のアンプは入手可能らしいけれども、これは実際にその音を聴いてみないと買えない。手放すつもりがまた自分の元に帰ってきた。相変わらずに「調子が良い時しか音が鳴らない」という状態だ。でも、最近ではそれもまたいいのかもしれないと、負け惜しみながらそう思っている。私自身も「よっぽど調子が良い時でないと演奏しない」のだから。  ※ と、このブログ記事を書いた直後にFacebookにオールドマーシャルなどのアンプを修理した経験がある旧友から「修理可能かもよ」という連絡が入った。それでも直らないかもしれないけれども、でも書いてみて良かったなぁ。


マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-03-07 01:08 | 物草
2015年 03月 04日

コッヘル265番 鯖寿司(ガリ混ぜ酢飯バージョン)

b0061413_2258295.jpg 鯖の棒寿司とか押寿司というものは大好物であるのだがお土産用の鯖寿司は何だか高騰している気がする。京都のいづうの鯖寿司などは元祖であり(なんせ江戸時代の天明元年創業)ザ・鯖寿司というべきものであり大ファンであるけれどもこれが大き目であるとはいえ今現在、一本が5,832円(税込)するのである。そこでこれは15年ぐらい前からなのだが木箱型になっている押し寿司の道具を購入して家庭でワリと頻繁に作るようになっている。ワリと頻繁に食べるようになったら色々なバリエーションも持たせるようになってきて、今回は酢飯の方に刻んだガリを混ぜつつ押し寿司にしてみた。かつては平均寿命が日本全国のなかでワーストに近い方であった長野県をナンバー・ワンにまで押し上げたスタッフの一人である医師の鎌田實さんが頻繁に長野県内で講演会をした時に「青魚に含まれるDHA・EPAは、血液をサラサラにして動脈硬化や認知症を予防してくれるのだが、これはショウガと一緒に摂取するとその効果は倍増する」と言ったそうなのだが、受講者のおじいちゃんが「すると、回転寿司で鯖などの安いネタ中心に食事をしてガリをたっぷりと食べるといいのかなぁ?」と反応したらしい。鎌田氏は「なるほど、その発想はなかった」と言ったところをラジオで私が聞いていた。動脈硬化や認知症をどれだけ予防してくれるかはよく分からないものの「体にいいものは舌や脳だけではなく体全体が美味しいと言っている」ような感覚はなんとなくあった。

マーヒー加藤

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by kaneniwa | 2015-03-04 23:13 | 草外道
2015年 03月 01日

石川一雄さんに会ってきました(3)

b0061413_2326168.jpg 狭山事件の再審を求める現地事務所内には、すでに焼失されている石川一雄さんの当時のご自宅が再現されていた。これは焼失された家の設計図が大工さんのところに残っていたために、その設計図にしたがって当時の家を映画の舞台美術チームが力を貸して忠実に再現したと伺った。この家が再現されたことによって石川さんの強要された自白のなかのつじつまが合わない部分が浮き彫りになってくる。これもひとつの「映画の力」であると感じた。この再現された家を訪問させていただいた数時間後、新幹線のなかで読むために何気なく書店で手にとった町山智浩著の『USAカニバケツ/超大国の三面記事的真実』という本の冒頭部分にウエスト・メンフィス3と呼ばれる事件について、それはホラー好きやオカルト好き、パンクロックやブラックメタルと呼ばれるものを愛好していた青年三人が犯人に違いないという偏見に基いての冤罪事件ではないかということをドキュメンタリーとして撮った『パラダイス・ロスト』という映画の紹介であった。ロックバンドのメタリカはこの映画のためにオリジナル曲を提供し、俳優のジョニー・デップはアメリカのCBSのテレビ番組で三人の無実を訴えた。

b0061413_23262350.jpg 忠実に再現された石川さん宅の鴨居である。強要された自白によれば、この鴨居から被害者の女子高校生が所有していたピンク色の万年筆が見つかっているという。私の写真では赤いサインペンとなっているが、ピンク色の万年筆であれば目立つことには違いがない。私は179センチの長身ではあるが、別に脚立や椅子の上に乗って撮影したのではなくてその場で背伸びをしての撮影だ。1963年の5月1日に事件が起こり、石川さん宅から女子高生が所持していた万年筆が発見されたというのが2ヶ月近く経った6月26日のことである。その間に、捜査が行われていなかったわけではなく、少なくとも2回の家宅捜索が10名以上のプロの捜査員によって行われている。実際にかなりの時を経てからになるけれども1986年の11月12日にはその家宅捜索に関わった元刑事7人が「鴨居に万年筆はなかった」と証言し、1992年の7月7日に第1回の家宅捜査に関わっていた元刑事が「鴨居は捜査済みであった」と証言をしている。その万年筆には当然のごとく石川さんの指紋は付いておらず、しかも入っていたインクは前日まで被害者であった女子高生が使用していたライトブルーのインクではなくブラックブルーのインクであったという。 狭山事件について知れば知るほどに、なぜこれで有罪判決が出るのか分からなくなってくる。他にも色々なものがあるのだが有罪証拠というもののほとんどが石川さんの無罪を証明しつつ、改ざんと捏造の方の証拠となっているとしか見えないのだが、この鴨居にあったという万年筆はまさにその筆頭である。他にも数多くのことが裁判記録を読むだけでもその不自然さは実感できるのであるが、こうして「映画スタッフの力」というものもその無罪を証明する力に加わって焼失された石川さんの家を忠実に再現していることに無条件に感銘を受けた。その感銘が感動に変わるのは、実際に再審(裁判のやり直し)が行われて石川一雄さんの無罪判決が出る日である。


加藤 真人 (ブログ文)
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by kaneniwa | 2015-03-01 23:25 | 草評