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草仏教ブログ

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2009年 05月 11日

草図 (6) 丘珠(おかたま)空港 







丘珠空港は北海道の札幌の空港である。
空港といっても国際線も乗り入れしている大きな空港である千歳空港
とは違い、札幌と函館、札幌と稚内、札幌と釧路の間などを結んでいる。
新潟県でも佐渡島に佐渡空港というヘリポートのような空港があるものの、
これだけ同じ都道府県内の空路を結ぶ路線があるのはおそらく北海道だけで
あり、それだけで 「やっぱ北海道は広いや」 と言うことができる。

どうでもいい話だが、佐渡島の佐渡空港の近くには
ホテルエアポート というラブホテル(だと思うのだが)がある。

さて、私が丘珠空港に行ったのが4年前。
札幌から女満別に行く飛行機に乗った。

実は私は飛行機に乗るのがそんなに好きではない。
「鉄の塊が空を飛ぶなんて信じられない」 というタイプではなく、
単純に高所恐怖症なのだ。
脚立に乗って作業をする時など、軽く腰がひけるのが自分でも嫌だ。
都会のシースルーのエレベーターなどは喜べない。
そのぶん、鉄道や船、自動車、オートバイなどの他の乗り物は大好きだ。
子どもと遊園地の観覧車に乗ると、
父親の威厳のために 「ホントはちと怖い」 ということを隠して
平静を装ってはいるが、内心、ちょっとビクビクしている。
娘と息子が観覧車のなかではしゃぎだしたりすると
「こらぁああああ!」 と大きな声で怒る。
揺れるとさすがに怖いからだ。
ただ、高所恐怖症は子どもたちには遺伝していないようなので
ヘンな安心をする。シャラポア(妻・日本人)はけっこう高いところが好きだもんなぁ。

1986年に、中国でアントノフというソ連製(現ロシア)の飛行機
に乗ったことがある。
隣に座った香港人が
「この区間、気流が不安定でよく落ちているんだよね」
という聞きたくないセリフを言っていた。
どっすーん という感じのかなり乱暴に感じた着陸の後、
その香港人が小さく 「ラッキー」 とつぶいやいた。

そのことを思い出すたびに、
私の恐怖を増長させたその香港人を殴りたくなってしまう。

これは私の考えたギャグではなく、このブログにも時々コメントを
下さる佐平次さんのギャグであるが
 旧ソ(窮鼠)猫を噛む
という気持ちになってくる。

札幌→女満別はYS-11だと思ったらサーブ340というプロペラ機だった。
旧ソのアントノフではなくてスウェーデン製だったが37人乗りであり、
それがアントノフを思い出させてくれた。
根拠は薄いのだが、高所恐怖症は克服できないまでもジャンボジェット機は
「こんなにたくさんの善良な市民が乗っているものが落ちるわけがない」
と思える。根拠が薄いままに大船(おおぶね)に乗ったつもりで、
大船(おおふな)行きの電車と同じだという暗示を自分にかける。

しかし37人乗りだと、バスよりも定員が少ないなぁ。

乗客の半数以上がネクタイを締めたビジネスマン風だったように記憶している。

離陸、着陸、旋回で、小さな飛行機は角度というものを感じやすく冷や汗が出た。
冷や汗が出ても、客室乗務員はクールな顔をしていた。

しかし、冷や汗を出しながらも、離陸直後の札幌の景色や
着陸前の女満別周辺の道東の春先のパッチワークのような広大な麦畑や
湖の景色を堪能した。

しかし、座席がプロペラが見えるところで、時々、プロペラが止まっているように
見えるたびにドキドキした。(実際、飛行中にたびたび数秒間は止まっているよね?)

さて、丘珠空港であるが、今まで思っていた 「空港」 というものの概念を変えてくれた。
何というのだろうか、空港というよりも、アメリカ合衆国のグレイハンドバスの
バスディーポという感じがした。
最初はここに飛行機が降り立ってくるという実感がなく、
大型バスが列ねてやってくるイメージがあった。

入っている売店も、他の日本の空港の売店や飲食処がデパート的な感じだとすれば、
丘珠空港のそれはスーパーマーケット的な感じ。
スーパーマーケットも郊外大駐車場系ではなくて地域密着型店の感じ。

立ち食いソバに肉まんを食べて飛行機に乗ったが、
しかし私はこのそういう丘珠空港、「味がある」 と感じた。
北海道らしさ、ということからいえば、これほど北海道らしい場所も
なかなかないかもしれない。

マーヒー加藤

by kaneniwa | 2009-05-11 23:02 | 草図


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