2009年 08月 26日
この写真はデジカメの記録が間違っていなければ、2006年の3月26日の午前11時39分。日本文理高校が甲子園での春の選抜高校野球で高崎商業を破り、初勝利をあげた直後のものである。マーヒーはこの前日、神戸で友人の結婚式があり、神戸空港から新潟に帰る飛行機は夕方だったので、ちょうど甲子園球場で観戦していたのだ。写真のとおり、バックネット裏の大会本部席のすぐとなりで横山投手(現在阪神タイガース)の投げる凄いスライダーを観た。 しかし、今日、記事の内容から本当にアップしたい写真はこれではなかった。携帯電話に付いたカメラで、甲子園に掲示板として掲げられていた 「高校野球を観戦する皆さんへの注意事項」 を撮っていたのだが、まさかこういうことが起こるとは思えずに消去してしまったようだ。 その注意事項のひとつに 「高校野球では選手の個人名をコールしての応援は慎んでください」 と書いてあった。 どんなスーパースターが登場しようと、そこはプロ野球と違って高校生なのだから応援上や観戦上、個人名をコールすることはしないということはよくわかる。 その、一種の禁止事項を知ったうえで、やはり自然発生的に起こった9回表の日本文理高校の攻撃で伊藤直輝君の打席での 「イトウ!イトウ!」 という、アルプススタンドに反響して球場全体がうねるようなコールには心を動かされた。 ほとんどの人が伊藤君に打って欲しいと思ったのだ。 5試合で650球以上も一人で投げ抜いてきたエースピッチャーに、打って欲しいと思ったのだ。他に投手がいないから一人で投げ抜いたのではなく、代えようとした大井監督さんに野手陣が 「伊藤を代えないでくれ」 と言わしめるほどの精神的支柱だったのだ。したがって、9回表のコールは、単なる選手個人へのコールではなく、さまざまな思いが個人に集約される形で巻き起こったコールだったと考える。 もしかしたら、中京大中京の応援団のなかにさえ伊藤君には打って欲しいと心から思った人もいたかもしれない。 そして打った。続いて、本来はブルペン捕手の石塚君(マーヒーの旧姓と同じなので親しみもつなぁ) も初打席があの場面にして初球のカーブを快打するタイムリーヒットを打った。ずっと相手の配球を見続け、「初球は変化球でストライクを投げ込んでくるに違いない」と確信していたそうだ。大したもんだなぁ。 伊藤選手は 「最後のバッターが若林というのも運命だと思った、甲子園ではずっと幸せだった」 とコメントしていた。 最後の若林君の痛烈な打球が三塁線に抜け、11-10で勝つことを夢想しなかったわけではない。しかし、もしもそうなっていれば中京大中京の選手にとって一生の痛手になっていた。 野球に限らず、スポーツは台本のないドラマであるが、「誰もが幸せになり、観る人の誰もが満足した」 という、こんな筋書きがあるのか? と思ってしまい、まだ余韻から冷めないでいるのだ。 マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2009-08-26 22:01
| 草野球
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