2011年 07月 13日
北寄(ホッキ)貝は寿司ネタとして有名。水産物としてはホッキ貝と呼ばれることが多く、お寿司屋さんでも「ホッキ貝くださーい」というのが普通だろう。ただ、魚介図鑑ではウバガイとして掲載されていることがほとんどで二枚貝綱異歯亜綱バカガイ上科バカガイ科と分類されており、やたらバカバカと言われて可哀想だ。代表的な産地は福島県の相馬市だと言われていた。あるいは「ホッキ祭り」というものが毎年2月に行われる宮城県の山元町だと言われているのだが、市場で見たこのホッキ貝は北海道産である。いつものコッヘルなので、いかに大きなものか分かっていただけるだろう。この2枚貝の先端部分がおなじみの寿司ネタなのかな。 写真のようにダッチオーブンの横でじんわりと焼く。このダッチオーブンは直径12インチのキャンプ用で、うちにあるなかではいちばん大きなダッチオーブンなので、ここからもホッキ貝の大きさを感じていただけると思う。夏の貝のバーベキューはうちの家族にとって大事なイベントなのである。「海の日」は今年は7月18日であり、それもすぐだ。でも、恵みと夏の思い出の中心だった日本の海で今年起きた大惨事と現在進行形の深刻な事態があり、海辺のバーベキューも今年は趣が違う。趣は違うのだが、ほぼ原始時代から海辺の民はこうして貝を火で焼き、海のなかの海水の味わいだけぐらいで食べてきた。舌が喜ぶだけでなく、DNAにまで訴えかけてくる滋養は現代人の子どもにも深いところで分かる美味。 写真はホッキ貝から変わってダッチオーブンの中身のサザエである。サザエはコッヘル77番にすでに登場し、今回の調理法もほぼ同じである。ダッチオーブンという鋳鉄の利器と醤油という画期的万能調味料はあるものの、これに近いものを太古の人々も味わって育まれてきたはずである。「原子力より原始力」 かなり以前からこのブログでも幾度か書いてきたフレーズである。電気を否定するわけではない。パソコンを否定するわけではない。もちろん、利便性、快適性、合理性も否定する気にはならない。むしろ大事なことであるとさえ思う。しかし、それにも優先するのが「太古人も感じてきた喜びの世界」のことである。それは必ず現代人にも通じる。特に、私より原始人に近い子どもたちには必ず通じる。 いたずらっぽい気持ちでサザエがのったコッヘルを強烈な逆光のなかにかざす。手に入れることができたサザエが、こういうような感じで目に映った無数の人々がいるような気がした。最近、炭火焼きやダッチオーブンの扱いを革手袋をさせた9才の息子にも任せる機会が増えてきた。メカニックなものが大好きな息子であり、パソコンをいじらせてやると目を輝かせる。しかし、貝のバーベキューのために火興しやその管理をしている息子の目はさらに輝きを増している。原始人の喜びを連想させる目の輝きをしている。それを見ていると「原子力より原始力」は間違っていないと思うのだ。重ねて言うが、私は文明まで否定する原始力原理主義者(?変な表現だ)ではない。事実として電気が行き届かない社会では民主主義なんかは成り立ちにくい。でも、文明も現代の人々の目の輝きのためにあって欲しいと心から願う。 マーヒー加藤 コッヘルバックナンバー
by kaneniwa
| 2011-07-13 00:29
| 草外道
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