2014年 04月 01日
寺人(てらんちゅー)である私たちにとって子どもたちの夏休みのど真ん中には忙しいお盆があるし3連休はもちろん日頃の土日もスケジュールが詰まってしまうことが多い。考えたら3泊以上の家族旅行というものは10年前のカウアイ島訪問以来やったことがなく、当時2歳だった長男にはその記憶がなく、その時には末娘はまだ生まれていなかった。そこでうちら家族なりのお祝い事も三つ以上あったことから、春のお彼岸が終わってから春休み中の平日に旅行に行くことになった。行き先は3月下旬の国内で唯一海開きがすでにされている石垣島を中心とした八重山諸島に決めて急用が入らぬうちに新潟空港から飛行機に飛び乗ったら飛行機は飛んでいった〜ものなり〜ANAかしこ、ANAかしこ。夕方5時35分に「南ぬ島 石垣空港」(正式名称であります)に着き、チャーターしてあった東海交通のジャンボタクシーに乗り込んでベッセルホテル(実に素晴らしいホテルであったが、それはまた別のお話)にチェックインしてちょびっとだけ休息の後、すぐに徒歩で向かった先が「ライブハウス居酒屋うさぎや」である。下調べもしていたのだがそこは初めての街であることもあって、最初につい最近出来たばかりの「うさぎや支店」に行ってしまう。しかし、本店は徒歩7分から8分のところと聞いて家族5人はライブ開始に合わせてダッシュして予約してあった本店にライブ開始直前に滑り込んだのでぇございました。ANAかしこ、ANAかしこ。 写真はジーマミー豆腐さー。食べかけ写真でスミマセン。新潟の私らが住む下越地方における「くるみ豆腐」のようなもの。全国的日本料理でいえば「ごま豆腐」のような感じ。しかし、そこはクルミや胡麻ではなくてピーナッツを使用しているし、豆腐も島豆腐ベースであることから「なじみがありつつも珍しい!そして美味い!」という家族の感想となった。行き先が石垣島に決まってからのネット検索中心のにわか調べではあるものの「芭蕉布」のような正統派民謡酒場や「アイランドライブ琉歌」などの三線(さんしん)速弾きも含む民謡ショーがあるところ、あるいは「島育ち」のように踊って参加しつつ八重山民謡を中心とした沖縄民謡を楽しむ場所、さらには「キャデラック」が閉店した後に「メガヒットパラダイス」として新装されたいわゆるCLUB的なBARまでを含めて「初日の夜から竜宮城に来た気分を味わう」ということをテーマに音楽を楽しめる場所に足を運ぶことを計画していたのであった。そのなかで「うさぎや」さんに決めたのは、三線だけではなくギターやカホンなどの楽器もあり、八重山民謡や琉球民謡だけではなくて喜納昌吉や石垣島出身のBEGINなどのいわゆる「沖縄ポップス」もやってくれそうで、それはカーオーディオのなかなどでうちの家族全員にも親しみがあるということが大きなポイントだった。 そして、到着する時間帯からしても夕食もそこで取ることとなるような感じであったので「いちばん美味しそうなところ」ということもまた大きなポイントであった。実際にミミポン(ミミガーのポン酢漬け)や豆腐餻(とうふよう)といった割とすぐに出てくるオツマミから始まって「うさぎや」さんでの食事は南国のお刺身にしても肉料理にしても実に美味しかったのである。子どもら3人はソフトドリンクであるが、私と妻(シャラポア・日本人)は三ツ星マークのオリオンの生ビールで乾杯である。あとから聞いた話によれば地元沖縄県ではキリンやサッポロなどの本州や北海道のビールがオリオンビール比べて「格上」と見られており、オリオンビールはそういったビールに比べて少しだけ安いので「オリオンビールで我慢している」という人も少なくないということもあるような、ないような。それでも過去2回沖縄本島は訪ねたことがある私としては、あるいは本州の沖縄料理店でオリオンビールが置いていないということがあると「オタフクソースを置いていない広島風お好み焼き店に入ったような気分」になってしまうことから、当然の如くにオリオンビールを指名する。竜宮城気分を味わうのに不可欠である。オリオンビールの生をジョッキで2杯飲み「よっしゃー泡盛に切り替えるかぁ!」と思ったら「オジー自慢のオリオンビール」なんてぇ曲をバンドが演って盛り上がってきたので、思わず歌につられてオリオンビールを追加であった。 写真はうちの長女(もうすぐ合格した高校の入学式だなぁ)が「このサラダ、超絶美味しい!」と言ってお代わりをしてひと皿を一人で食べた「青パパイヤのサラダ」である。青パパイヤの鮮烈さとともに下に敷かれた島野菜に南国の生命力のようなものを感じた。ライブでは、もしも演奏がされなかったら家族のためにリクエストしようとしたBEGINの「島人ぬ宝」のあの印象的なイントロが奏でられ、そして歌われた。我が家では、羽生結弦選手の五輪でのフリー演技の始動からの演技時間とBEGINのDVDでの「島人ぬ宝」の演奏時間が、拍手や歓声や掛け声のタイミングまで含めてバッチリと合うということを発見したソチ五輪開催中からずっとヘビロテでこの曲を家のなかでかけていたので、妻も長女も長男も末娘までが大喜びであった。ライブの終盤は「女はパーの手で、男はグーの手で、上の方にある障子をとにかく開けたり締めたりすること」という実にシンプルな言葉でカチャーシーの踊り方を教えてもらいつつ飲めや歌えやの竜宮城的時間が過ぎていった。家族連れということもあって、この「うさぎや」さんの本店(支店の方は割と正統派民謡中心だそうです)に来て良かったなぁと感じた。 実は、石垣島に着いて早々の24日の夜7時からの部のライブと食事を堪能した爽快感を残したままに、一日置いて26日の夜も家族のなかでのソロ活動(単独行動)として夜9時からの部のライブに独り参加したのだ。お客さんはリピーターになる人が多いなぁと感じていたが、一日置いてさっそくに私自身が早くもリピーターとなった。さすがに7時からの部と違って子連れや家族客は少なかったが、それもほぼ満員。そのステージの中央に具志堅昌美さんが立っていてとても嬉しかった。実は「石垣島滞在中に訪れるライブハウスはどこにしようか?」ということを妙に熱心に調べるようになった時に、YouTubeにアップされていたうさぎやでのライブの様子の動画で彼女の歌声を聞いた時点で、すでに魅了されていたのだ。そして一人客としての再訪でもあり、いちばん前のテーブルで相席となって聞いた彼女の生声は、もう宮古島民謡も含む沖縄民謡(その比率は7時からの部よりも多かったように思った)にしても沖縄ポップスにしても、全身をゾクゾクさせてくれるものがあった。喜納昌吉さんの「ハイサイおじさん」の歌詞はね、戦争でクレージーになってしまったおじさんを子どもたちがからかうやりとりを歌っていて、そういう形で戦争の悲惨さを歌ったんだよということもそのMCで教えてくれた。 写真中央は具志堅昌美さんの休憩中にステージに立った横浜出身のお店のスタッフの女性。「三線は初心者です」と言いながらなかなかのもの。「涙そうそう」をやるというので「横浜弁で歌って!」と、酔っぱらいのヤジに近い失礼なことを言ったら歌のエンディングで♪涙そうそう〜じゃん!とやってくれた。なかなかの返し技だ。24日の夜もそうだったがお店のスタッフからは「この本店の他に近くに支店ができ、宮古島店、さらには埼玉県の大宮支店までできて人手が足りません。我々といっしょに働きませんか!」という呼びかけを聞いた。そんな景気のいい話を聞くこと自体が久しぶりだ。島の大きさがほぼ同じで人口が減りに減って5万人の佐渡ヶ島と、出生率も国内では高くてさらに他の地から定住する人と併せて増えに増えての5万人の石垣島との違いを感じた。この26日の夜9時からの部で、相席となった隣の、やはり独り客だった東京都の江戸川区から来たという妙齢のレディは前回か前々回の石垣島の滞在中に知り合って親しくなったというスタッフ女性を探していた。別な女性スタッフが「その人は最近ここを辞めて今は名蔵ビーチの乗馬クラブで働いていますよ」と答えているのを耳にして「ええ!私は今日の昼間、その名蔵の乗馬クラブで子ども三人を馬に乗せてもらっていたのですよ!」とデジタルカメラのモニターを見せると女性スタッフは「そうそう!この乗馬クラブだわ!」と言った。ここでその続きを書きたいが、それはまた別なお話。 「一魚一会」という文字の大漁旗が掲げられた店内。まさにうちの長女と長男もまたこのように「一期一会」の言葉をもじった名を与えたのであったが他にも嬉しい出会いがこのお店を通じてあった。話は24日に戻って7時からの部のライブが終わった後で、お店の男性スタッフが「三線を弾いてみたい方は是非どうぞ」と言った。その時点で食事と音楽を堪能した私たち家族はホテルに歩いて帰ることにしたのだが、注文していた私の泡盛のロックがライブ終了のタイミングで私の前に置かれた。「これは一気に飲めないのでオレだけもうちょっとゆっくりしてから独りで歩いて帰る」ということにした。すると近くに居た息子さんと娘さんを連れた私と同年代のお父さんが「三線体験」というには上手すぎる三線演奏を奏ではじめた。スカボロー・フェアなんていう難曲まで奏でた。こりゃ人情噺の名人の噺家の出囃子なんかに使ったら最高だろうなぁ…なんて思った。その三線名人のお父さんと目が合った時に私はFacebookのイイネ!マークを真似して親指を立てた。間違って中指を立てずに良かった。三線名人のお父さんは私の側に来てくれて、次の9時からの分のライブが始まるまでの15分間ほどいっしょに泡盛を飲んだ。三線とギターが大好きな、千葉県の習志野から家族旅行でやって来た会社員のお父さんだった。このお父さんと石垣島の滞在中に劇的な再会をすることになろうとはその時には思わなかったのであるが、それはまた別なお話。 マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2014-04-01 06:06
| 七草
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