2014年 05月 02日
今年も筍シーズンがやってきた。このコッヘルシリーズのなかでもテーマ食材といっていいものである。過去、表記についてタケノコ、竹の子と表記は統一されていなかったが、やっぱり竹かんむりに旬と書いての「筍」の表記で統一しておきたい。(来年の今頃にはまた忘れているかもしれないけれど…)英語には「10年間」のことをひと言「decade」とあらわせる言葉がある。「10年はでけぇど」というダジャレでずっと記憶している。それに対して日本語ではめぐる季節のなかの「10日間」をたったひと言「旬」という言葉であらわす。重ねて、竹かんむりに旬と書いて「筍」という文字を見ると「なるほどこれからの10日間は筍の最盛期だよなぁ」(地域差や環境差があります)とつくづく感じさせてもらえる。 かつて、寺院といえば竹林はつきものであった。竹林というようないいものではなく竹やぶというような状態であっても、多くの寺院が筍が出る環境にあった。それが多くの寺院で消滅するようになった。手入れが大変であるということと時代の要請に応じて墓地に転じたということがあると思う。うちの寺院では文章化はされていないものの「竹やぶがないと寺院に西日が当たりすぎるので守るように」という、先々代住職の遺言のような方針があって守り続けている。大まかな時代認識として寺院に竹林がつきものだったのは「昭和の時代」であったとも言える。 今年の初物の掘りたての筍は、掘りたてを茹でた後にすき焼きの具材とした。8歳の末娘からのリクエストであった。どういうわけか平成18年生まれのこの末娘のメンタリティは「昭和」なのである。昨年末、この末娘が欲しがったものが「コタツ」であった。私としては、私なりの苦労をして薪ストーブを導入して機動にのった4シーズン目の冬であり「薪ストーブのおかげで他の暖房はほとんど要らなくなった」ということを誇りに思っていたので、正直言ってこの末娘のリクエストは面白くなかったのであるが、8歳(当時7歳)なりの一所懸命なプレゼンテーションはなかなか可愛いものであった。その要旨は「家族でコタツに入りながらミカンを食べながらテレビを見るという以上の幸せはないのではないか?」ということだった。「昭和かっ!」と言いたくなるが、その末娘の幸福感を全面否定すればかつてのタカトシのお決まりのフレーズである「欧米かっ!」で逆襲されるような気がした。そこで「ゆとり教育」というものも終焉をむかえた時節に「ニトリ今日行く」ということになってコタツを購入した。久しぶりにコタツというものが家庭に来てみれば、これはなかなかのくつろぎ空間であった。そして末娘はひとシーズン活躍してきたコタツで初物の筍をすき焼きで食べたいという。ご馳走としてのステイタス感がすき焼きということも含めて「昭和かっ!」と思いつつ、雰囲気全体も味に含めてなかなか良いものであった。メンタリティが昭和の末娘は、平成世代にも昭和世代にも可愛がられている。 マーヒー加藤 コッヘルバックナンバー
by kaneniwa
| 2014-05-02 23:36
| 草外道
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