2014年 05月 16日
人の心にもとより善悪なし これは道元禅師の言葉である。僧侶ではない人の言葉を法語として掲示できうるというところに浄土真宗の特徴のようなものを感じていたことは確かで、前回はとうとう壇蜜の言葉までが登場した。面白かったのはご年配の方から「この壇蜜という方はさぞかし歴史に名を残す名僧でいらっしゃるんでしょうねぇ」と言われたことだ。ともかく、気がつけばけっこう久しぶりに僧侶の言葉の登場である。そして、それは浄土真宗の僧侶ではなく曹洞宗の開祖であられる道元禅師の言葉である。この言葉は『正法眼蔵』のなかにあるのであるが、私は『正法眼蔵』を通して読んだことがない。学生時代に岩波文庫で読んだといえば読んだことはあるけれども、基本的な仏教の言葉さえまったく吟味できなった頃であるから、やっぱり読んだことがあるとは言えない。ただ、わからなくてもいくつか感じてくる言葉というものは私なりにあって、ある意味浄土真宗の僧侶の視点からすぐに感じてくるものがある言葉が「人の心にもとより善悪なし」であった。 大長編野球漫画である『あぶさん』の全巻のなかで(こちらは詳細までは覚えてはいないけれど『正法眼蔵』に比べたら胸をはって「読みました」と言える)私がいちばん感動したシーンは村田兆治投手のカムバックのくだりである。ロサンゼルスでジョーブ博士による右肘の手術を経て2年ぶりのマウンドに上がった村田兆治投手に対し、打者のあぶさん(景浦)はタイミングのずれた大きな空振りをする。しかし、マウンド上でその空振りは自分の全盛期のストレートをイメージしてのものであると察した村田投手が投じた渾身のストレートを、あぶさんはレフトスタンドに大ホームランを放つのであるが、打たれた村田投手は「帰ってきた、オレはここに帰ってきたんだ!」とこぶしを握りしめて歓喜の涙を流すのだ。あぶさんは実在のプロ野球選手が登場するとはいえその対決はフィクションではあるが、その後の「サンデー兆冶」としての劇的なカムバックの象徴となっているような名シーンであった。その村田兆治さんが肘の故障を抱えてつつジョーブ博士と出会う前まで、かなり怪しげな療法や思想にも頼ろうとしたようである。そしてスポーツ医学の第一人者のジョーブ博士の手術を受け、そのカムバックを静かに待つ間に読んだものが道元と親鸞であったと私は聞いている。そして、村田さんは取材をしにきたスポーツライター(確か玉木正之さん)にこう言ったと聞く。「道元も親鸞も、ただただ道を求めてもがき苦しんでいただけなんだ」と。法語とは少し関係のない話になってしまったけれども、その村田兆治さんが引退後のライフワークとしているのが「離島の青少年に野球を教える」ということで、新潟県の粟島をその第一弾として、全国各地の離島を駆けまわった。その集大成として今年の8月18日から5日間、新潟県の佐渡市にて全国離島交流中学生野球大会(離島甲子園)が開催される。北から南から、東から西から村田兆治さんの薫陶を受けた24チームが佐渡ヶ島に集結する。ああ、出かけてみたい。始球式はたぶん村田兆治さんだと思う。65歳の村田さんがマサカリ投法で、豪速球の始球式を見ることができるだろう。 マーヒー加藤 (ブログ文) 日本人シャラポア (書)
by kaneniwa
| 2014-05-16 16:54
| 草仏教
|
アバウト
カレンダー
メモ帳
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
POP-ID通信。 あぱかば・ブログ篇 音楽の杜 あんつぁんの風の吹くまま about ・ぶん Tangled with... 私の旅はこんな旅 紅茶国C村の日々 梟通信~ホンの戯言 アメリカ南部ど田舎奮闘記 コードネームはG26 コンチェルト2号感動の毎日 陽射し mitsukiのお気楽大作戦 イヌの遠吠え 絵は、ふってくるかな散歩... お局のショールーム日記@... カンパーニュママの一眼レ... レゲエのある生活 shino-blue日記 不思議空間「遠野」 -「... 藪の中のつむじ曲がり 良い子はまねをしてはいけません Ro-menが好き! 湖彦山だより なんとかなるさ ちゃたろうな日々 All About 身辺雑事 WE HAVE TO... のんびりニイガタにっき イギリス ウェールズの自... 野球馬鹿の生活 すたっふ日記 ファビオからのお知らせ 好都合な虚構 アロマテラピー・アミティ... 盆の風だより3 殿村栄一の日記 ツジメシ。プロダクトデザ... そうだ、寺建てよ。 FC2ブログに移転しました 塩と胡椒 夭夭亭 クリシュナダイアリー いいあんべぇブログ いぬの虎鉄とキャンプな日々 久次郎さんブログ 最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||