2014年 06月 22日
BUDDHA(仏陀)という言葉は「目覚めた人」や「目覚め」という意味であり、もちろんそこで言う目覚めには宗教的な意味合いがこめられているのであるが、当時から今に至るまでインドでは日常の朝起きる時や昼寝からの覚醒もBUDDHAという言葉であらわされているのである。 僧侶というと早寝早起きのイメージが持たれているようだ。実際には春と秋のお彼岸中など早寝はともかく早起きをせざるを得ない期間もあるが、私は基本的には早起きは苦手である。低血圧でもある。学生時代も一限目の授業は何とか寝床から這って行っても出欠の点呼後はぐっすりと教室で熟睡することが多かった。徹夜マージャン明けの時だったと思うが、出欠の点呼後に大熟睡をして2時間以上が経過して、起きたら全然知らない教授が授業をしていて教室の周りは全然知らない女子学生ばっかりということがあった。ある意味「目が覚めたら隣に知らない女がいた」と言えないこともない。言えないか? 社会人となった後も早起きは苦手であり、二つの目覚まし時計を寝る前に「宝探し」の要領で部屋に仕込んで眠るということなどをやったことがある。スヌーズ機能(目覚ましを停めても5分後あたりに再度鳴ってくれる)というものが付いた目覚まし時計が普及し始めた時には「何といいものが出てくれたのだろうか!」と嬉しく思ったがスヌーズ(snooze)という言葉の意味自体に「居眠り」とか「うたた寝」という意味があるように、5回鳴ろうとも10回鳴ろうとも朦朧(もうろう)とした意識のなかでも律儀にその回数を押して惰眠をむさぼってしまう。つまり、スヌーズ機能というものは私が大好きな「二度寝、三度寝」という習慣をさらに堅固なものとして定着させてしまうものであると知った。 そんな私の「目覚めのための闘争」の遍歴のなかで比較的に上手くいったのが「コーヒー大作戦」であった。ONとOFFのスイッチが付いているだけのいちばんシンプルなコーヒーメーカーを買った。さらに「タイマー付きの延長コード」といういいモノを見つけたので同時に買った。寝る前にコーヒーメーカーにコーヒーの粉がたっぷりと入ったペーパーフィルターを仕込み、適量の水を仕込みタイマー付きの延長コードにコンセントを差し込んで6時間後に起きなければならない日はタイマーを「6時間後になったらスイッチオン」とセットしておいてコーヒーメーカー本体のスイッチをONにして寝る。するってぇと6時間後に枕元にコーヒーの香りが漂ってくるので、まずその香りで半分目が覚める。コーヒー好きであるので粉は昨晩からセットしてあって風味は若干落ちてはいるもののせっかくの淹れたてコーヒーが目の前にあるものだからすぐ隣に用意してあるマグカップにたっぷりと注いで飲む。飲み終わったぐらいの時間を見計らってセットしてある目覚まし時計が鳴るのであるが、それまでの「人がせっかくいい気持ちで寝ているのに煩いなぁ!」という止め方ではなくコーヒーを飲んでかなり目覚めかけていることで「よしよし!」という感じで余裕をもって止めて一日が始まっていった。なかなかいい作戦であった。 ただ、この作戦は独身時代のものであり、結婚後は1回もやっていない。 結婚後は携帯電話のアラームとシャラポア(妻・日本人)に起こしてもらうことが主流だ。「シャラポアよ、この私を目覚めさせてくれてありがとう!」と言って爽やかに起きる朝もあるが、シャラポアのスヌーズ機能に甘えて「あと10分!」という言葉を2回ぐらいならいいけれども3回、4回と繰り返して怒られることもある。朝から怒られた日のスタートは嫌な予感に満ちている。 さあ、そんな私が久しぶりに見つけた「早起き大作戦」である。なかなかのスグレモノを見つけた。そのスグレモノとはiPhoneやアンドロイドのスマホやiPod touchとそれからiPadで使うことができる無料アプリ(100円を払うと表示される広告を削除することができる)のRadiON というアプリである。目覚まし機能はオマケのようなもので、このアプリの本来はインターネットラジオである。世界中の5万局という膨大な数のFM局にアクセスできるのだ。クラシック専門局とジャズ専門局(ともに韓国で放送局名はハングル語で読めないがオンエア中の曲がアルファベットで表示されるのでありがたい)や合衆国のBob Marley(ボブ・マーリー)の曲ばかりがオンエアされるもの、ボサノバ専門、アコースティックブルースばかりがオンエアされる局などをプリセットしつつ愛聴しているのだが、今月になってからこのアプリのアラーム機能が素晴らしいことに気がついた。まず、アラームの音が選べるのだが「鶏の鳴き声」にしておいて、それが3分かけて徐々に鳴き声が大きくなっていくという設定にした。さらに「20回本体を振らないとその音は止まらない」という素晴らしい設定があることに気がついてそれを試してみた。片手でも楽に扱えるスマホやiPod touchではなくて、iPadにこれを入れたということの効果が素晴らしかった。最初は小さい鶏のグックドゥルドゥルドゥーの声で身体が「朝である」と認識し、その鳴き声が大きくなってきて「何だか煩いなぁ」と感じて両手でiPadを持って団扇をあおぐよりも大きな動作で20回、振る。早朝から20回、iPadを振ることで一日を始めている光景というものはあんまり人様に見せたくはないが、この動作を伴うということによって一発で目覚めることができる。早起きにも「心技体」というものがあるとして、低血圧という言い訳はあるけれども私の汚れた心は常に惰眠をむさぼりたがっている。そこにテクニカルな技としてはRadiONのアラームを導入するということで対処しつつ、やっぱりキモは「体を動かすことによって目覚める」という要素が大きいことに気がつく。それによって心の方も目覚めてくる。サッカーなどでの用語例とはニュアンスはだいぶ違うものの「身体能力」というものの大切さがわかった。しかも頭でわかったのではなく身をもって知った。 マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2014-06-22 23:59
| 草評
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