2015年 07月 27日
一昨日の出来事を記録という意味でも記しておきたいと思う。 先週ほどではないものの33℃を越える猛暑のなかを 一人の80歳過ぎの知り合いのおじいちゃんが リヤカーを引いて寺院のために大量のお米をもってきた。 このおじいちゃんは視力などの衰えで自動車の運転免許証は最近になって返上された。 それで5キロほどの道のりをリヤカーを引いて 1時間30分以上をかけてやってきたのだ。 途中で汗だくになってシャツを2回、着替えたという。 新米の時期でもないけれども、 ふとシャラポア(妻・日本人)と家族の喜ぶ顔が見たかったからだという。 無条件に頭が下がった。 損か得か、合理的かそうではないか、ばかりを判断材料としている生活そのもを 無条件に反省させられた。 おじいちゃんのリヤカーは、ワゴン車(ホンダのエアウェーブ)に 何とかギリギリに積載することができたので、 シャラポアがご自宅まで送っていくことにした。 おじいちゃんとシャラポアが何度もお互いに御礼を言い合っているのは とてもいい光景のように思えた。 途中でシャラポアはそのおじいちゃんの好きな銘柄のお酒を買って ご自宅に送り届けたのだが、帰ってくるなり 「こういう人がいるからお寺に居ると出会いは無限だと思える」 と言いつつ感動しきりであった。 愛知県の豊田市塩ノ沢に七三郎さん(文化四年に80歳で亡くなっておられる) という人が住んでいて、 ある大風の日に京都の東本願寺のことが心配になって 山の上に登って京都の方向に吹く風を少しでも弱めたいと 筵(むしろ)をはったそうだ。 その物理的な効果は微々たるもの、というよりはほとんどなかったはずだ。 しかし、心理的な効果はどうだっただろうか? 心理ということば自体が、失礼なのかもしれない。 信仰心ということにおいてはピュアなものが物理的な力や財力の大小の問題を 凌駕するということは当たり前のようにあるだろう。 心が動けば、やがてとてつもなく大きなものが動くことにつながってくる。 鈴木大拙(D・T・SUZUKIというバイクの製品名ような呼び名で日本より米国で有名) という仏教学者も、その晩年は「妙好人」(みょうこうにん)という 主に浄土真宗の純朴きわまりない信仰をもつ人々に惹かれていった。 最近の私が心底驚いたことを二つあげるとすれば、 ひとつは「妙好人」と言われるような純朴な人が 善導大師や鈴木大拙の著作のなかだけにあるのではなく、 私の身近なところに確かに実在されていらっしゃるということ。 もうひとつは、戦後の日本において平和のもとに 明かりがさし始めた時代に流れた歌謡曲の名作である 笠置シズ子が歌った「東京ブギウギ」の作詞者の鈴木勝という人が 鈴木大拙の長男であったという事実を発見したことである。 マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2015-07-27 06:44
| 草評
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