2015年 11月 11日
仏教寺院ではめったにないことだろうが、 神社では「遷宮」といって、本殿の大規模改修の時に その場所を移して「ほぼ建て直す」という大事業をやる。 神社でも修復を重ねれば場所を移すことは滅多にない仏教寺院同様に 数百年その形態を保てるだけのしっかりした技術によって 建造されているのにも関わらず、なぜわざわざ遷宮ということをするかといえば 「そのしっかりした技術の継承を行うため」 というのが理由らしい。 今日の午前中、50年ぶりの国産ジェット旅客機として 三菱重工業と子会社の三菱航空機が開発した MRJ(三菱リージョナルジェット)の初飛行(テスト)が行われた。 予定よりも国産部品の比率が少なかったり、 それを審査する国土交通省にしても久しぶりの新機種チェックであって なかなか大変であったということが昨晩のニュースとして流れていた。 プロペラ機である日本航空機製造のYS−11は、2006年までは 現役の旅客機として活躍していたが、いつ最後に乗っただろうか? ということが思い出せないほどである。 他にもHONDAのプライベートジェットなどはあるけれども 定員92名というほどの国産旅客機の登場は、本当に久しぶりである。 それ自体はとてもいいニュースであると感じるけれども、 やはり51年間も国産飛行機の開発がなかったという事実が 「以前から受け継がれてきたものがない」 ということで、ゼロから発想できるメリット面を勘案しても 航空機が実際に乗員をのせて運べるまでの段取りにスムーズさを欠く要因が いくつもあるようだ。 一見、必要がないとも、場合によっては「寄付金の無駄遣い」とも思われる 遷宮は多くの有名な神社で「20年に1回」というスパンで行われているが、 これぐらいであると、一生で3回関わるとするならば 「若手宮大工時代」 「中堅宮大工時代」 「棟梁、もしくは大ベテラン宮大工時代」 として、それぞれ指導を受ける立場と指導をする立場で技術継承が スムーズに行われるのだろうなぁと思う。 航空機もプロペラ機からジェット機となっているけれども、 その基本部品については中小企業のなかでそれぞれに伝承されてきた 細かい技術がその基盤になっているということもあるだろう。 2030年代において、また新しい国産旅客機が生まれてきた時に 「ああ、やっぱり2017年にMRJが飛んで良かった」 と心から言えるのかもしれない。 仏教寺院は、神社と違って直し直しその形態を保っていくしかないと実感している。 ただし、50年間、新しい寺院がひとつもできないような宗派は その歴史が終わっても仕方ないとも思っている。 マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2015-11-11 14:17
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