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2006年 08月 18日

セレンディピティ(serendipity)について(3)

セレンディピティ(serendipity)について(3)_b0061413_044060.jpg今、セレンディピティという言葉との関連で、シンクロニシティという言葉について言及しようと思っていた矢先に、ネットなどのニュースで文化庁長官で日本のユング派の心理学者の第一人者である河合隼雄先生が、脳梗塞で倒れられ、肺炎も併発している重体の状態で奈良県の天理市内の病院に緊急搬送されたというニュースが入ってきた。

このシンクロニシティという言葉は、この河合隼雄さんの著作を読んで初めて知った言葉だった。お茶を出してひと言ふた言を交わしただけのことで「会ったことがある」と言うと大口を叩くことになるかもしれないが、マーヒーはこの河合隼雄先生に会ったことがある。講演会でも控え室でも、ダジャレ連発の方だった。

シンクロニシティは、共時性 などと訳されているが、マーヒーは 「奇遇」 でいいと思っている。 このシンクロニシティは、科学的に証明することがおそらく今後もたいへんに難しいために、心理学の世界のなかでも呪術的思考であると異端視する見解もある。

ユングのシンクロニシティの有名な例は、プラム・プディングに関わるものである。Deschamps さんという人が、お隣りの de Fortgibu さんからプラム・プディングをご馳走してもらったことがあった。その約10年後、Deschamps さんはパリのレストランでプラム・プディングを注文したが、ギャルソンはちょうど他の客に最後のプディングが出されてしまった後だと答えた。その客がde Fortgibu さんだった。更に数年後、 Deschamps さんはある集会で、再びプラム・プディングを注文した。Deschampsさん は軽いジョークとして、これで de Fortgibuさんがいなければ大丈夫だと友人に話していたまさにその瞬間、de Fortgibu さんが、間違ってその部屋に入ってきた。

うーん、これはちょっと長いエピソードだったので、もうちょっとシンプルに短い例を出そう。

ある日、ユング先生がクライアント(患者)さんと対話していた。なかなか対話がはずまなかった時に、カブト虫の話をすると会話がノッてきた。するとそこにカブト虫が一匹入ってきた。

マーヒーが心理学の巨匠を分析しても仕方ないが、シンクロニシティは偶然のなかに必然を見定める思考法だと思えば、そんなに呪術的なものだと思わずにすむのではないかと思う。カブト虫の話をしなかったら、入ってきたカブト虫に意識は向けられなかったのではないかと思う。カブト虫を発見するのに、カブト虫のお話が必要だったのだ。

プラム・プディングの例で言うならば、確かに数学の確率でいうならば、それが起こる確率というものは天文学的数値になるのかもしれない。しかし、その条件を吟味していけば、これはマーヒーの推測であるが、Deschamps さんが de Fortgibu さんに最初におごってもらったプラム・プディングというものはたいへんに美味しいものだったのだ。それでDeschampsさんがものすごくプラム・プディングのファンになったのかもしれないし、パリでどれぐらいのお店がプラム・プディングを作っているのか知らないけれど、プラム・プディングを自作するぐらいのde Fortgibu さんが行くお店なので、それはたいへんな名店だった可能性もある。集会所での再会にしても、最初の前提である「この二人は隣人同士だった」ということを考えると、天文学的な数値は徐々に「あってもいい話」になってくるのだ。

マーヒー加藤

by kaneniwa | 2006-08-18 00:56 | 草仏教


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