2006年 08月 18日
マーヒーのシンクロニシティ体験を一つ披露しよう。と言っても、別にオドロオドロしい話ではない。5年ほど前に車で出張先から帰ってくる途中に急に雪が降ってきて、車のフロントガラスの霜を取るためのスプレーを買おうと思った。それで走っている最中にオートバックスの看板を見つけて、霜取りのスプレーを1本買うだけの用事でそのオートバックスに立ち寄った。レジに霜取りスプレー1本だけをもって行って、「ありがとうございます」と言った女性店員さんの胸の名札を見ると 「霜取」 と刻印されていた。 その時に急に寒くなってこなければ、 ふとスプレーを買おうと思わなければ、いろんなレバが重ならなければこんな5年前のささいな出来事など覚えてはないだろうし、残念ながら5年前はすでにこのマーヒーは結婚していたが、この霜取さんという人と恋にでもおちて結婚して子どももいる、などという状態にならなければ「シンクロニシティ体験だ」と堂々と語ることなどは本来はないだろう。 本当にすごいシンクロ二シティとしてよく語られるのは 1838年、エドガー・アラン・ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』という小説にまつわるお話だ。こっちの方は、ちょっとオドロオドロしいお話だ。ストーリーの概要は船が沈没して、4人の男性が大海をボートで漂流することになる。飢えと渇きの極限状態の中で、リチャード・パーカーという1人の男性が、4人の中で誰か1人が、他の3人の食糧になるというくじ引きをしようと提案し、食糧になったのは言い出した本人だったという内容。 そして小説が出版されてから46年後、ポーの小説と全く同じような惨劇が1884年10月28日、イギリスで起こった。4人の男性が海難事故に遭い漂流したのだ。水も食料も底をつき、提案により、くじ引きで負けた人間が食料となることになり、そのやり方もくじ引き。くじ引きを提案して食べられてしまった男の名前は、よくありそうな名前といえばそうであるが、リチャード・パーカーで、救出され生き残った3人は、小説家のポーの名前すら知らなかったという。 その他、タイタニック号の惨劇を細かいところまで予感していたかのような先行小説や、阪神大震災の発生時刻を予感していたようなその神戸の喫茶店の店名「コーヒーハウス5時45分」のお話など、奇妙な偶然の一致のお話をしていたら枚挙にいとまないが、このブログ記事は、元々、セレンディピティという言葉についての連作で、やはりシンクロニシティと関連は深いとは思うが、科学の嫌う呪術的思考という方面に流れやすい。 次のブログ記事で、一応の区切りにしておこう。 (続く) マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2006-08-18 01:36
| 草仏教
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