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2006年 12月 13日

美空ひばりの『JAZZ&STANDARDS』を語る (2) 虹の彼方に OVER THE RAINBOW

美空ひばりの『JAZZ&STANDARDS』に針を落とす、
(という表現は古いな)いや、CDをトレイに入れて再生すると、
一曲目は「虹の彼方に OVER THE RAINBOW」である。

最初、バイオリンかチェロのピッチカートか?というような音が聞こえるが、
それはやがてハープだと分かる。それも小型のハープではなく、おそらく
フルサイズの大きなハープのように思う。

そこに、なんせマッキントッシュのパフォーマに音符を打ち込むなんて
いう時代ではないので本物の音と分かるが、なかなかの人数構成での
ストリングス(弦)がからんでくる。元々スケールの大きな曲だが劇的なイントロだ。

クレジット(録音の記録)に目をやると、この一曲目の伴奏には
原信夫とシャープス・アンド・フラッツが参加していることだけが記されていて、
その他録音年月日などの記載はない。

したがって、推測するには原信夫とシャープス・アンド・フラッツを本隊として、
そこに名前はわからないが、かなりのハープの名手と弦楽器の名手を加えて
編成した、特別なオーケストラというか、スペシャル・ビッグ・バンドをこの歌の
収録のためだけに結成したとマーヒーは推測する。

 あのスマップが5枚目か6枚目のアルバムをニューヨークのスタジオ録音で
収録した時に、バックバンドに集められた演奏者があまりにもJAZZ界の精鋭
ぞろいだったため、スマップの録音が終わった後に、
「せっかくこれだけのメンバーが集まったんだから」
と収録された、たった半日で即興的に作ったJAZZのセッションアルバムが、
ニューヨークのJAZZチャートで1位になったことがあると聞いている。
 美空ひばりの『JAZZ&STANDARDS』も、美空ひばりの驚異的歌唱力を
堪能することができるのと同時に、実は、この一曲目以外にも多く参加していた
原信夫とシャープス・アンド・フラッツとその仲間の演奏にも大注目なのである。
元来、JAZZのビッグバンドを志向していたはずのシャープス・アンド・フラッツが、
やりたい曲を美空ひばりという希有な歌姫といっしょに演奏できるという大きな
喜びが随所(ずいしょ)から伝わってくる演奏なのだ。

スマップのNY録音が豪華メンバーだったのは、率直に言って所属事務所の
強大な力によるが、美空ひばりのJAZZは出会いを喜んで日本のJAZZマンたちが
集結したかの印象がある。

イントロに続いて美空ひばりの歌声がストリングスにからんでくる。
何という存在感だろう。

「虹の彼方に OVER THE RAINBOW」は、たとえば最近では元ちとせが
カヴァーして確か自動車のCMなんかにも使われていた。元ちとせの独特の
節回しでの歌も存在感があったが、衝撃度は美空ひばりがさらに高い。
元々ミュージカルのハイライト・シーンで歌われるために作られた曲だが、
劇的である。

歌詞は、この一曲目の場合は英語の原詩ではなく水島哲さんによる訳詞だが、
全部を紹介すると著作権上の問題があると思うので最初の一節だけ紹介すると
  ♪ 夜毎(よごと)にみる夢は 虹の橋のデイトの夢
である。
えっ、と思う人がいるだろう。この歌詞で、カラオケで
「虹の彼方に OVER THE RAINBOW」を入れて歌ってみるといい。
こういう洋楽の訳詞をやったこともない者が苦言を呈してしまうと、
「字余りで歌えない」とか、「歌詞がこなれていない」とか、
もっとハッキリ言えば「ダサダサだ~」と言いたくなる。

ところが、美空ひばりの天才的歌唱は、この字余りを恐るべきことに
絶妙のシンコペーション(裏打ちリズム)にさえ変えてしまって堂々と歌う。
何という驚異的な表現力だろうか。美空ひばりのこの歌は全然ダサくない。

というわけで、どんなコンサートでもトリをはり得るようなこの絶唱が、
なぜ一曲目に収録されているの?と思う。
これじゃ一曲目でいきなりおなかいっぱいになっちゃうじゃないの?
と思っちゃう。

でもでも、何回も聞いていて、やはりこれが一曲目で正解だと、
マーヒーは思う。
次々に衝撃は続く。 

ああ、『徒然草』も進めなきゃいけないし、年末までに連載は終わるかな?


マーヒー加藤
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by kaneniwa | 2006-12-13 16:45 | 草音


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