2007年 03月 27日
雙六の上手といひし人に、其の行を問ひ侍りしかば、 「勝たんとうつべからず。負けじとうつべきなり。 いづれの手か疾く負けぬべきと案じて、その手をつかはずして、 一めなりとも、おそく負くべき手につくべし」 といふ。 道を知れる教、身を治め、國を保たん道も、又しかなり。 (吉田兼好法師 『徒然草』 第110段) ゲームの達人と言われている人に、その必勝法をうかがってみたら、 「勝ちたいと思って打ってはいけない。負けないように打たなくちゃ。 こんな打ち方をしたらすぐに負けちゃうなぁと思ったら、 そんな打ち方はやめて、ちょっとでも負けるのが遅くなるような打ち方がいいね」 と言った。 これはゲームとは言ってもその道を熟知する人のコメントであり、 自分の身を正し、国を治める人もこうでなくちゃいけないな。 超訳BYマーヒー 実はこの段、短いのですが、いろいろ考えさせられます。 雙六(すごろく)というのはこの時代、二人ひと組での対戦で、 12のラインがひかれた盤上に白と黒とに色分けされた12の馬を それぞれが持ち、二つのサイコロをふっての攻防の駆け引きを競って いたようです。(ルールはさまざなな遊戯法があったみたいでよく分かりません) 吉田くんは、どうもこの雙六の世界でもなかなかの打ち手であったような 感触ですね。 ゲームというと、現代ではもちろんスポーツなんかはその主流だと思いますが、 あらゆる競技で、初心者はオフェンス(攻撃)意識が思考の大半を占めている ように思います。初心者というわけではありませんが、野球もその創成期は 21点を先に先制した方が勝ちというルールで行われていました。 攻撃はおもしろく楽しいので、初心者が何らかのゲームにはまる時には そのオフェンス意識は欠かせないものですが、ゲームに慣れるにしたがって、 やはりデフェンス(防御)への意識というものが強くなってきます。 デフェンスの意識に目覚め、その深いおもしろさを知った時に、 そのゲームに熟達したというか、成熟したといえるのではないかと思います。 現代で、雙六に似たゲームとして、何となくゴルフを連想するのですが、 林の中に打ち込んで無謀にもそこからピンを狙う人と、まず林からの 脱出を第一に優先させる人では、通常の場合は前者が初心者で後者が 上級者なんだろうなぁと、この110段を読んでなぜか感じました。 そして、ゲームの問題だけにしていないところが、何とも考えさせられます。 追記 マーヒー加藤
by kaneniwa
| 2007-03-27 18:58
| 徒然草
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